臭化銅(I)

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テンプレート:Chembox 臭化銅(I)(しゅうかどう(I)、Copper(I) bromide)は、化学式がCuBrの無機化合物である。反磁性の固体で、硫化亜鉛と同様のポリマー構造をとる。この化合物は有機合成に広く用いられる。

性質

銅(II)不純物のためにしばしば着色(写真参照)されるが純粋なものは無色である[1]。臭化銅(I)は臭化物イオンによって四面体のCu中心が相互連結された特徴的な四配位のポリマー構造のためほとんどの溶媒には溶けない。ルイス塩基で処理すると付加化合物に変化する。例えば、ジメチルスルフィドでは無色の錯体が形成する[2]

CuBr +S(CHA3)A2CuBr(S(CHA3)A2)

この錯体は線形ジオメトリで、銅は二配位である。また、他のソフトな配位子により関連した錯体を作ることもできる。例えば、トリフェニルホスフィンはCuBr(P(C6H5)3)を与える。しかし、この化学種はより複雑な構造をとる。

合成

一般的には、臭化物の存在下で銅(II)塩を亜硫酸塩で還元することで合成される[3]

2CuBrA2 +HA2O +SOA3A22CuBr +SOA4A2 +2HBr

また、塩化銅(I)の合成と同じような方法で、臭化水素酸に銅粉末を溶解させても生成する。

2HBr +2Cu2CuBr +HA2

有機化学への応用

ザンドマイヤー反応では、CuBrはアニリン化合物を対応する臭化アリールに変換する[4]

ArNA2A+ +CuBrArBr +NA2 +CuA+

先述の錯体CuBr(S(CH3)2)は有機銅試薬の合成に広く用いられる[2]。関連するCuBr錯体は原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization)と銅触媒クロス脱水素カップリング(CDC)の触媒に使われる。

脚注

  1. Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5.
  2. 2.0 2.1 Jarowicki, K.; Kocienski, P. J.; Qun, L. "1,2-Metallate Rearrangement: (Z)-4-(2-Propenyl)-3-Octen-1-ol" Organic Syntheses, Collected Volume 10, p.662 (2004). http://www.orgsyn.org/orgsyn/pdfs/V79P0011.pdf
  3. Keller, R. N.; Wycoff, H. D. "Copper(I) chloride" Inorganic Syntheses 1946; Volume II, p 1-4.
  4. Hartwell, J. L. "o-Chlorobromobenzene" Organic Syntheses, Collected Volume 3, p.185 (1955). http://www.orgsyn.org/orgsyn/pdfs/CV3P0185.pdf

テンプレート:銅の化合物