ベズーの等式

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ベズーの等式(ベズーのとうしき、テンプレート:Lang-en-short)は初等整数論における定理である。ベズーの補題(ベズーのほだい、テンプレート:Lang-en-short)とも呼ばれる。テンプレート:Math theorem テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar は (テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar) のベズー係数 (Bézout coefficients) と呼ばれる。それらは一意的ではない。ベズー係数の組は拡張ユークリッドの互除法によって計算できる。テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar がどちらも テンプレート:Math でなければ、拡張ユークリッドの互除法から |x||bd| かつ |y||ad| であるような 2 つの組の一方が出る。

ベズーの補題は任意の主イデアル整域において正しいが、正しくないような整域が存在する。

解の構造

(例えば拡張されたユークリッドの互除法を使って)ベズー係数の一組 (テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar) が計算されたとき、すべての組は

(x+kbgcd(a,b), ykagcd(a,b))

の形で表せる、ただし テンプレート:Math は任意の整数であり分数は整数になる。

ベズー係数のこれらの組の中で、ちょうど2つが

|x||bgcd(a,b)|and|y||agcd(a,b)|.

を満たす。また、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の一方が他方の約数であるときのみ等号が成立しうる。

これは除法の原理による。すなわち、2つの整数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が与えられると、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar を割らなければ、ちょうど1つの組 テンプレート:Math が存在して、テンプレート:Math かつ テンプレート:Math となり、別の1つの組が存在して、テンプレート:Math かつ テンプレート:Math となる。

拡張ユークリッドアルゴリズムはつねにこれらの2つの最小の組の1つをもたらす。

テンプレート:Mvar = 12、テンプレート:Mvar = 42 とすると、gcd (12, 42) = 6 である。このとき次のベズーの等式が成り立つ。赤で書かれたベズー係数は最小の組であり青は他のものである。

12×(10)+42×3=612×(3)+42×1=612×4+42×(1)=612×11+42×(3)=612×18+42×(5)=6

証明

ベズーの補題は性質を定義する除法の原理、すなわち テンプレート:Math でない整数 テンプレート:Mvar による割り算は テンプレート:Math よりも真に小さい余りをもつことの結果である。以下の証明は任意のユークリッド整域に対して適用することができる。

与えられた テンプレート:Math でない整数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar を整数として テンプレート:Math がとりうる整数の集合 テンプレート:Mvar について、テンプレート:Mvar の任意の要素 テンプレート:Math および整数 テンプレート:Mvar に対して テンプレート:Mathテンプレート:Mvar に含まれる。実際、テンプレート:Mathテンプレート:Math と書ければ、テンプレート:Math である。符号をかえれば テンプレート:Math も同様にいえることがわかる。

テンプレート:Mvar に含まれる正の整数のうち最小の数を テンプレート:Mvar とする。すると、テンプレート:Mvar の要素はすべて テンプレート:Mvar の倍数になっている。

というのは、もし テンプレート:Mvar の倍数で表せない数 テンプレート:Mvar が存在すると仮定すると テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar で割った商を テンプレート:Mvarテンプレート:Math でない余りを テンプレート:Mvar と置いて テンプレート:Math すなわち テンプレート:Math と書ける。 仮定より テンプレート:Math および テンプレート:Math から テンプレート:Mathテンプレート:Mvar は割り算の余りなので割る数 テンプレート:Mvar より小さく、これは テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar に含まれる最小の正整数であるという仮定に反する。すなわち テンプレート:Mvar の要素はすべて テンプレート:Mvar の倍数になっている。

テンプレート:Math の式で テンプレート:Math を代入すれば テンプレート:Mvar となるから、テンプレート:Math、同様に テンプレート:Math。 ということは、テンプレート:Math はともに テンプレート:Mvar の倍数であり、テンプレート:Mvarテンプレート:Math の公約数である。したがって テンプレート:Math の最大公約数 テンプレート:Mvar 以下であるから テンプレート:Math。……①

また テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の倍数だから、テンプレート:Math と置いて、テンプレート:Math となり、テンプレート:Mvar の要素は テンプレート:Mvar の倍数である。 特に テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の倍数だから テンプレート:Math。……②

①②より テンプレート:Math、すなわち、テンプレート:Mathテンプレート:Mvarテンプレート:Math の最大公約数)を満たす テンプレート:Math が存在する。[1]

一般化

3つ以上の整数に対して

ベズーの等式は2つよりも多い整数に対して拡張することができる:

gcd(a1,a2,,an)=d

とおくと、整数 x1,x2,,xn が存在して、

d=a1x1+a2x2++anxn

が成り立つ。また右辺の形の数式は以下の性質をもつ:

  1. テンプレート:Mvar はこの形の最小の正の整数である
  2. この形の数はすべて テンプレート:Mvar の倍数である

多項式に対して

テンプレート:Main ベズーの等式は上の一変数多項式に対して整数に対してとちょうど全く同じようにうまくいく。とくにベズー係数と最大公約数は拡張されたユークリッドの互除法によって計算できる。

2つの多項式の共通はそれらの最大公約数の根であるから、ベズーの等式と代数学の基本定理は次の結果を意味する:

体係数の一変数多項式 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar に対して、多項式 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が存在して テンプレート:Mvar + テンプレート:Mvar = 1 であることと、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が任意の代数的閉体(通例は複素数体)において共通根をもたないことが同値である。

この結果の任意個の多項式と不定元に対する一般化はヒルベルトの零点定理である。

主イデアル整域に対して

導入部で言及したように、ベズーの等式は整数においてだけでなく任意の他の単項イデアル整域 (PID) においてもうまくいく。つまり、テンプレート:Mvar が PID で テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の元で テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の最大公約元であれば、テンプレート:Mvar の元 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が存在して、テンプレート:Mvar + テンプレート:Mvar = テンプレート:Mvar である。理由:イデアル テンプレート:Mvar+テンプレート:Mvar が単項であり確かに テンプレート:Mvar に等しい。

ベズーの等式が成り立つような整域はベズー整域と呼ばれる。

歴史

フランス人数学者 エティエンヌ・ベズー(Étienne Bézout 1730年–1783年)がこの等式を多項式に対して証明した[2]。しかしながら、整数に対するこのステートメントは別のフランス人数学者テンプレート:仮リンク(Claude Gaspard Bachet de Méziriac 1581年–1638年)の仕事において既に見つかったものである[3][4]。これらのページにおいてバシェ は(方程式なしに)次を証明する[5]

“Proposition XVIII. Deux nombres premiers entre eux estant donnez, treuver le moindre multiple de chascun d’iceux, surpassant de l’unité un multiple de l’autre.”テンプレート:Fr icon(互いに素な2つの数が与えられたとき、一方の倍数が他方の倍数より 1 大きいような最小の倍数を見つけよ。)

この問題(すなわち テンプレート:Math)はベズーの方程式の特別なケースであり、バシェはそれを用いてページ199ffに現れる問題を解いた。次も参照[6]

関連項目

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脚注

注釈

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出典

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参考文献

外部リンク

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