単項イデアル整域

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代数学において単項イデアル整域（たんこうイデアルせいいき、あるいは主イデアル整域、テンプレート:Lang-en-short; PID）あるいは主環（しゅかん、テンプレート:Lang-fr-short）とは、任意のイデアルが単項イデアルである（可換）整域のことである。

より一般に、任意のイデアルが単項イデアルであるような（零環でない）可換環を単項イデアル環と呼ぶ（この場合、整域とは限らない、つまり零因子をもつかもしれない）が、文献によっては（例えばブルバキなどでは）「主（イデアル）環」という呼称によって、ここでいう「単項イデアル整域」のことを指している場合があるので注意が必要である。 テンプレート:可換環のクラス

例

単項イデアル整域の例を挙げる。以下では可換環 R の元 aテンプレート:Sub, …, aテンプレート:Sub の生成するイデアルを (aテンプレート:Sub, …, aテンプレート:Sub) = { rテンプレート:Subaテンプレート:Sub + … + rテンプレート:Subaテンプレート:Sub | rテンプレート:Sub ∈ R } と表す。


単項イデアル整域とならない整域の例を挙げる。

  • Z[X]: 整数係数の一変数多項式環。たとえばイデアル (2, X) は単項イデアルでない。
  • K[X, Y]: 体 K 上の二変数多項式環テンプレート:Sfn。たとえばイデアル (X, Y) は単項イデアルでない。

性質

R を単項イデアル整域とすると、以下の性質が成り立つ。

特徴付け

整域 R に対して、以下は同値である。

  1. R は単項イデアル整域である。
  2. R の任意の素イデアルが単項イデアルである[2]。
  3. R は UFD かつデデキント整域である。
  4. R の任意の有限生成イデアルが単項イデアル（すなわち R はベズー整域）であり、かつ R は単項イデアルに関する昇鎖条件を満足する。
  5. R にはデデキント–ハッセ・ノルムが入るテンプレート:Sfn。

体のノルムはデデキント–ハッセノルムだから、5 番の条件からユークリッド整域が PID であることが従う。4番の条件は

と類似する条件になっている。整域がベズー整域であるための必要十分条件は、その任意の二元が「その二元の線型結合である」最大公約元を持つことである。従って、ベズー整域は GCD 整域であり、ゆえに 4 番の条件は PID が UFD であることの別証明を示すものとなっている。

加群の構造

テンプレート:Main テンプレート:See also 単項イデアル整域上の有限生成加群の構造に関する主要な結果は以下のようなものである。

R が単項イデアル整域で M 有限生成 R-加群であるならば、M は次のような巡回加群（単項生成加群）の有限個の直和に分解されるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。

M≅R/(e1)⊕⋯⊕R/(er)⊕R⊕⋯⊕R

ただしR⊋(e1)⊇⋯⊇(er)⊋0である。特に有限生成直既約加群は R と同型か、ある既約元 p の正べき pテンプレート:Sup が生成するイデアルによる商加群 R/(pテンプレート:Sup) と同型である。

M が単項イデアル整域 R 上の自由加群ならば M の任意の部分加群もやはり自由であるテンプレート:Sfn。しかしこれを任意の環上の加群に対して考えたものは一般には正しくない。例えば Z[X] のイデアル (2, X) を Z[X] 上の加群としての Z[X] の部分加群と見ると自由でない。

脚注

注

テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

外部リンク


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  1. ↑ Over a PID, flat and torsion free are equivalent 2015年2月19日閲覧
  2. ↑ T. Y. Lam and Manuel L. Reyes, A Prime Ideal Principle in Commutative Algebra テンプレート:Webarchive
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