ミルズの定数
数論におけるミルズの定数(テンプレート:Lang-en-short)とは、任意の自然数 テンプレート:Math に対して
がすべて素数となる最小の正実数 テンプレート:Math のことを言う。1947年に名前の由来である William Harold Mills により、素数の間隔に関する en:Guido Hoheisel および Albert Ingham らの成果を用いてその存在が証明されたテンプレート:R。値は証明されていないものの、リーマン予想を真と仮定した場合
となることが知られている。
ミルズ素数
ミルズの定数から生成される素数 テンプレート:Math はミルズ素数と呼ばれる。ミルズ素数を求めるには、適当な テンプレート:Math から順に テンプレート:Math を
の範囲における最小の素数としていけばよい。Hoheisel と Ingham らによって、テンプレート:Math が十分大きいとき テンプレート:Math と テンプレート:Math の間には少なくとも1つの素数が存在することが証明されているため、この不等式を満足するには テンプレート:Math を十分大きく取ればよい。もしリーマン予想が真ならば「十分大きい」必要はなくなり、テンプレート:Math としてミルズ素数
および上述した テンプレート:Math が得られる。
テンプレート:Math の上界として テンプレート:Math が知られているテンプレート:R。ミルズの定数を証明するにはこれを超えるまでミルズ素数を求めればよいが、そのような検証を行うにはあまりにも大きすぎる上界のため実用的でない。参考までに、2018年時点で知られている最大の素数は テンプレート:Math であり、テンプレート:Math よりはるかに小さい。
2017年現在、リーマン予想仮定の下(テンプレート:Math)のミルズ素数は11番目までは素数であることが証明されており、その値
は20,562桁にも及ぶテンプレート:R。また確率的素数としては14番目まで知られており、その値
は555,154桁にも及ぶ(テンプレート:OEIS)。
数値計算
ミルズ素数が分かればミルズの定数を計算することができる。
これにより、リーマン予想仮定の下の テンプレート:Math が6,850桁まで計算されているテンプレート:R。ミルズの定数を表す閉じた式は知られておらず、有理数かどうかも知られていないテンプレート:R。
近似分数
ミルズの定数の近似分数を近い順に記載する。収束分数(テンプレート:OEIS)は太字で示した。
1/1, 3/2, 4/3, 9/7, 13/10, 17/13, 47/36, 64/49, 81/62, 145/111, 226/173, 307/235, 840/643, 1147/878, 3134/2399, 4281/3277, 5428/4155, 6575/5033, 12003/9188, 221482/169539, 233485/178727, 245488/187915, 257491/197103, 269494/206291, 281497/215479, 293500/224667, 305503/233855, 317506/243043, 329509/252231, 341512/261419, 353515/270607, 365518/279795, 377521/288983, 389524/298171, 401527/307359, 413530/316547, 425533/325735, 4692866/3592273, 5118399/3918008, 5543932/4243743, 5969465/4569478, 6394998/4895213, 6820531/5220948, 7246064/5546683,7671597/5872418, 8097130/6198153, 8522663/6523888, 8948196/6849623, 9373729/7175358, 27695654/21200339, 37069383/28375697, 46443112/35551055, 148703065/113828523, 195146177/149379578, 241589289/184930633, 436735466/334310211, 1115060221/853551055, 1551795687/1187861266, 1988531153/1522171477, 3540326840/2710032743, 33414737247/25578155953, ...
解決
2024年4月30日、Kota Saitoによってミルズの定数が無理数であるとする論文がArXiv上に投稿された[1]。
一般化
は テンプレート:Math 以外でも、テンプレート:Math であれば テンプレート:Math が全て素数となる テンプレート:Math が存在する。ルジャンドル予想が真ならば テンプレート:Math の場合にも テンプレート:Math が存在することが言えるテンプレート:Rが、後にルジャンドル予想を仮定しない証明が与えられたテンプレート:R。
床関数を天井関数に置き換えた でも、任意の自然数 テンプレート:Math に対し テンプレート:Math が全て素数となる テンプレート:Math が存在することが証明されているテンプレート:R。テンプレート:Math のとき、 テンプレート:Math は テンプレート:Math であり、生成される素数は次の通り。
Elsholtz はリーマン予想を仮定せずに、 および について テンプレート:Math が全て素数となる テンプレート:Math および テンプレート:Math の値を導いた[2]。
脚注
参考文献
外部リンク
- テンプレート:MathWorld
- Who remembers the Mills number?, E. Kowalski.
- Awesome Prime Number Constant, Numberphile.