独立 (確率論)

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

テンプレート:Probability fundamentals 確率論における独立(どくりつ、テンプレート:Lang-en-short)とは、2つの事象が何れも起こる確率がそれぞれの確率の積に等しいことをいう。一方の事象が起こったことが分かっても、他方の事象の確率が変化しないことを意味する。

この「独立」の概念は、2個以上の事象、2個以上の確率変数、2個以上の試行に対して定義される。

2つの確率変数独立であるとは、「ある確率変数の値が一定範囲に入る事象」と「別の確率変数の値が別の一定範囲に入る事象」が、考えられるどのような「一定範囲」(「考えられる」とは通常ボレル集合族を指す)を定めても事象として独立であることをいう。2つの確率変数が独立である場合は、一方の変数が値をとっても、他方の変数の確率分布が変化しないことを意味するテンプレート:Sfn

確率論における独立は、他の分野における独立性の概念と区別する意味で、確率論的独立(かくりつろんてきどくりつ、テンプレート:Lang-en-short)あるいは統計的独立(とうけいてきどくりつ、テンプレート:Lang-en-short)などとも呼ばれる。

定義

事象の独立

独立を定義するのに最も基本となるのは、事象の独立テンプレート:Efnである。2つの事象 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar独立であるとは

P(AB)=P(A)P(B)

が成り立つことである。ここで、左辺の テンプレート:Math は事象 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が何れも起こる事象(積事象)を表し、たとえば テンプレート:Math は事象 テンプレート:Mvar確率を表す。事象 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が独立であることを記号 テンプレート:Math で表すこともある[1]。もし、テンプレート:Math であれば、条件付き確率 テンプレート:Math を用いて定義式を

P(AB)=P(A)

と書き換えることもできる。これは事象 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が独立であるとは、事象 テンプレート:Mvar が起こることが事象 テンプレート:Mvar確率に一切の影響を与えないことを意味する。上の定義は テンプレート:Math のときにも対応しているので、通常は上の定義を用いる。事象が独立でないことを従属というテンプレート:Sfn

一般に、(有限とは限らない)事象の テンプレート:Math独立であるとは、その部分有限族 テンプレート:Math に対して

P(Aλ1Aλ2Aλn)=P(Aλ1)P(Aλ2)P(Aλn) 

が成立することをいう。

確率変数の独立

まず基本となる、2つの確率変数が独立であることの定義を述べるテンプレート:Efn。2つの確率変数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar独立であるとは、任意の実数 テンプレート:Mvar に対して

P(X<a,Y<b)=P(X<a)P(Y<b)

が成り立つことである。つまり、確率変数の同時累積分布関数が周辺累積分布関数の積に分解されるとき、独立であるという。確率変数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が独立であることを記号 テンプレート:Math で表すこともある[2]

一般に、(共通の確率空間上の実)確率変数の族 テンプレート:Math独立であるとは、任意の実数 テンプレート:Mvar に対して、事象の族

{{Xλ<aλ}|λΛ}

が独立であることをいうテンプレート:Efn。つまり、任意の実数 テンプレート:Mvar と添字集合 テンプレート:Math の任意の有限部分族 テンプレート:Math に対して

P(Xλ1<aλ1,Xλ2<aλ2,,Xλn<aλn)=P(Xλ1<aλ2)P(Xλ2<aλ1)P(Xλn<aλn)

が成り立つことをいう。

完全加法族の独立

完全加法族の場合は、完全加法族の族 テンプレート:Math独立であるとは、その任意の有限部分族

{λ1,λ2,,λn}

に対して、

P(A1A2An)=P(A1)P(A2)P(An),A1λ1,A2λ2,,Anλn

が成立することをいう。事象 テンプレート:Mvar に対しては事象の生成する完全加法族 テンプレート:Math とし、確率変数 テンプレート:Mvar に対しては確率変数の生成する完全加法族 テンプレート:Math とすると、完全加法族による定義は上に挙げた事象のまた確率変数の定義と一致する。またこれら3種類の対象の混ざった独立性も定義できる。

日本産業規格

日本産業規格では、「確率変数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が独立であるための必要十分条件は,その同時分布関数が,テンプレート:Math と表されることである。ただし,テンプレート:Math 及び テンプレート:Math は,それぞれ テンプレート:Mvar 及び テンプレート:Mvar の周辺分布関数である。」と定義しているテンプレート:Sfn

定理

独立性を満たす場合に成立する定理や、独立性の十分条件の代表例を挙げる。

2つの確率変数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が互いに独立である場合

E[XY]=E[X]E[Y]
FX,Y(x,y)=FX(x)FY(y),fX,Y(x,y)=fX(x)fY(y)
V(X+Y)=V(X)+V(Y)

次を満たすとき確率変数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar は独立になる。

E[f(X)g(Y)]=E[f(X)]E[g(Y)]
E[exp(i(ξX+ηY))]=E[exp(iξX)]E[exp(iηY)]

独立性の検定

テンプレート:See also 独立性を判断するには、独立性を仮定した上で対象の振る舞いを調べ、独立性を仮定したことによる矛盾が引き出せるかどうかを確認する必要がある。独立性(あるいは従属性)を判別する手段として分割表を用いた独立性の検定がある。独立性の検定に用いられる手法には例えばカイ二乗検定などがある。独立性の検定によって2つの事象の間の従属性を判断することができるが、独立であるかどうか積極的に決定することは難しい。

脚注

注釈

テンプレート:Notelist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

テンプレート:確率論