「幾何中心」の版間の差分

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2024年7月14日 (日) 13:26時点における最新版

Centroid of a triangle

数学における幾何中心(きかちゅうしん、テンプレート:Lang-en-short)は、その図形に属する全ての点に亙ってとった算術平均の位置にある。この定義は任意の有限次元ユークリッド空間の任意の図形に対して一般化することができる。やや不正確な言い方だが、幾何中心はその点で図形をピン止めすればその図形が完全に釣り合うような点である。

初等幾何学において、「重心」("barycenter") が幾何中心の同義語として用いられるが、天文学天体物理学において テンプレート:Ill2 (barycenter) は互いを周る多数の天体成す系の重心(質量中心)として用いられ、また物理学において質量中心は(局所密度や比重量を重みとする)全ての点の重み付き算術平均を表している。考えている物理的対象が一様な密度を持つならば質量中心はその図形の幾何中心に一致する。

性質

凸図形の幾何中心は必ずその図形の内側に載っているが、凸でない図形の場合には図形の外部へ出る場合もある。例えば、アニュラス(環帯)やボウル形の幾何中心は、それら図形の中空部分にある。

幾何中心が定まるならば、それはその図形のテンプレート:仮リンクに対するテンプレート:Ill2である。特に、図形の幾何中心はその各鏡像対称の不変超平面全ての交わりの上に載っている。多くの図形(正多角形, 正多面体, 円筒, 矩形, 菱形, 円周, 球面, 楕円, 楕円体, スーパー楕円, テンプレート:Ill2, など)の幾何中心がこの原理だけで決定できる。

特に平行四辺形の幾何中心はその二つの対角線の交点であるが、ほかの四辺形ではそれは正しくない。

同じ理由から、不動点を持たないテンプレート:Ill2図形の幾何中心は定義されない(か考えている空間の外にあるとする)。

重心の計算

テンプレート:Mvar 個の点 テンプレート:Math の成す有限集合の幾何中心は C=x1+x2++xkk で与えられる点であるテンプレート:Sfn。この点は、集合の各点からの平方ユークリッド距離の和を最小化する。

平面図形 テンプレート:Mvar の重心を、図形を有限個のより単純な図形 テンプレート:Math に分割することで計算することができる。各小図形片 テンプレート:Mvar の重心を テンプレート:Mvar, 面積を テンプレート:Mvar として、テンプレート:Mvar の重心の各座標Cx:=CixAiAi,Cy:=CiyAiAi と求められる。テンプレート:Mvar に穴があったり、小片が重なっていたり、小片が図形の外にはみ出していたりする場合でも、面積を符号付きで考えていれば式は成立する。具体的には、各小片の符号付き面積の符号は、考えている図形の存在する空間の各点 テンプレート:Mvar に対し、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar に属すれば テンプレート:Mvar を含むすべての小片 テンプレート:Mvar に対するテンプレート:Mvar の符号の和が テンプレート:Math, さもなくば テンプレート:Math となるように正または負と決められる。

テンプレート:Mvar の「面積」のところを「体積」とし、テンプレート:Mvar-座標にも同じ形の式を追加すれば、同じことは三次元でも成り立つ。また同様に、テンプレート:Mvar-次元体積(容積)をとれば、任意の次元 テンプレート:Mvar に対する テンプレート:Math の任意の部分集合に対しても成り立つ。

テンプレート:Math の部分集合 テンプレート:Mvar の重心を積分 C=xg(x)𝑑𝑥g(x)𝑑𝑥 によって計算することもできる。ただし、積分は全空間 テンプレート:Math にわたってとるものとし、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar指示函数とするテンプレート:Sfn。分母は単に テンプレート:Mvar の測度(テンプレート:Mvar-次元容積)のことであるのに注意せよ。この公式は テンプレート:Mvar零集合の場合や積分が発散する場合には有効でない。

別の公式として、テンプレート:Mathテンプレート:Mvar と方程式 テンプレート:Math の定める超平面との交わりの測度として、幾何中心 テンプレート:Mvar の第 テンプレート:Mvar-座標は Ck=zSk(z)𝑑𝑧Sk(z)𝑑𝑧 で与えられる。これもやはり分母は単に テンプレート:Mvar の測度である。

特に平面図形として、連続函数 テンプレート:Mvar と区間 テンプレート:Closed-closed で囲まれた領域を考えるとき、その重心 テンプレート:Math は、テンプレート:Math (テンプレート:Math のとき、テンプレート:Mvar をその領域の面積 (=ab[f(x)g(x)]𝑑𝑥) としてx¯=1Aabx[f(x)g(x)]𝑑𝑥,y¯=1Aab[f(x)+g(x)2][f(x)g(x)]𝑑𝑥で与えられる。テンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

各種図形の重心とその位置

テンプレート:Seealso

三角形の重心

三角形の重心は、三角形の三つの中線(各中線は各頂点とその対辺の中点を結ぶ)の交点である。三角形の重心は、その三角形のオイラー線上にあり、オイラー線はまた垂心外心といった種々の中心も結ぶテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

重心を通る三つの中線は何れもその三角形の面積を二分するが、これは重心を通る他の種類の線に対しては成り立たない。等分割から最も遠い状況は、重心を通る直線が三角形の辺と平行となるときに生じ、この場合にできる小さい三角形と台形に関して、台形の面積はもとの三角形の テンプレート:Math になる[1]

頂点を テンプレート:Mvar, 重心を テンプレート:Mvar とする三角形の載った平面上の任意の点を テンプレート:Mvar とすれば、三頂点からの テンプレート:Mvar の距離の平方和は、三頂点からの重心 テンプレート:Mvar の距離の平方和よりも テンプレート:Mvar 間の距離の平方の三倍だけ大きい。式で書けば

PA2+PB2+PC2=GA2+GB2+GC2+3PG2

が成り立つテンプレート:Sfn。 三角形の三辺の長さの平方和は、重心から各頂点への距離の平方和の三倍:

AB2+BC2+CA2=3(GA2+GB2+GC2)

であるテンプレート:Sfn。 三角形の重心は、三角形の辺からの向き付けられた距離の積を最大化する[2]

三角形の重心はその中線を テンプレート:Math に分ける、つまり各辺から対する頂点へ結んだ距離の テンプレート:Math の位置にある。その各座標は三頂点の座標の算術平均になっている。つまり、三頂点 テンプレート:Math に対し、幾何中心 テンプレート:Mvarテンプレート:Ill2では テンプレート:Mvar と書くのがふつう)は C=13(L+M+N)=(13(xL+xM+xN),13(yL+yM+yN)) で与えられる。したがって、この重心はテンプレート:Ill2において テンプレート:Math の位置にある。

テンプレート:Ill2において三角形の重心は、三角形の各辺の長さ テンプレート:Mvar および各頂点の角度 テンプレート:Mvar を用いて以下のような形(いずれも同値):[3]C=1a:1b:1c=bc:ca:ab=cscL:cscM:cscN=cosL+cosMcosN:cosM+cosNcosL:cosN+cosLcosM=secL+secMsecN:secM+secNsecL:secN+secLsecM に書ける。

多角形の重心

自己交叉を持たない閉多角形の重心は、その テンプレート:Mvar 個の頂点を反時計回りに テンプレート:Math とするとき、各座標が Cx=16Ai=0n1(xi+xi+1)(xiyi+1xi+1yi)Cy=16Ai=0n1(yi+yi+1)(xiyi+1xi+1yi) で与えられる点 テンプレート:Math を言う。ただし テンプレート:Mvar はこの多角形が囲む符号付き面積 A=12i=0n1(xiyi+1xi+1yi) であるテンプレート:Sfnテンプレート:Full

上記の公式で テンプレート:Math のときの テンプレート:Math に対応する頂点座標が現れているが、ここでは頂点たちは多角形の外周に沿って現れた順に番号付けしていって一周したら、さらに頂点 テンプレート:Mathテンプレート:Math へ戻ったものと考える。上では反時計回りとしたが、時計回りにした場合すべての符号が反転するから、上記の重心座標の式はその場合にもそのまま有効である。

錐体の重心

円錐または角錐の重心は、テンプレート:Ill2と底面の重心を結ぶ線分上にある。錐体の重心は底面から頂点への テンプレート:Math のところにあり、錐面の場合は底面から頂点への テンプレート:Math のところにある。

単体の重心

四面体はその面が四つの三角形であるような三次元空間内の図形である。四面体の頂点から対面の重心へ結んだ線文は中線 (median) と言い、二つの対辺の中点同士を結ぶ線分は陪中線 (bimedian) と呼ぶ。よって四面体には四つの中線と三つの陪中線があることになるが、これら七つの線分はすべて四面体の重心において交わる[4]。この中線は重心によって テンプレート:Math に分けられる。四面体の重心は、その四面体のモンジュ点と外心(外接球面の中心)との中点であり、これら三点が載った「オイラー線」は三角形のオイラー線の四面体版である。

これらの結果は任意の テンプレート:Mvar-次元単体に以下のように一般化される。単体の頂点集合を テンプレート:Math とすれば、各頂点をその位置ベクトルと同一視して、重心は C=1n+1i=0nvi で与えられる。

半球の重心

半球体の重心は、球の中心と半球の極を結ぶ線分を テンプレート:Math に分ける。中空半球(中空球体の半分)の重心は、球の中心と半球面の極を結ぶ線分を二分する。

関連項目

注釈

テンプレート:Reflist

参考文献

外部リンク

  1. テンプレート:Cite web
  2. Clark Kimberling, "Trilinear distance inequalities for the symmedian point, the centroid, and other triangle centers", Forum Geometricorum, 10 (2010), 135--139. http://forumgeom.fau.edu/FG2010volume10/FG201015index.html
  3. Clark Kimberling's Encyclopedia of Triangles テンプレート:Cite web
  4. Leung, Kam-tim; and Suen, Suk-nam; "Vectors, matrices and geometry", Hong Kong University Press, 1994, pp. 53–54