代数的内部

数学の一分野である函数解析学において、ベクトル空間の部分集合の代数的内部（だいすうてきないぶ、テンプレート:Lang-en-short）あるいは動径核（radial kernel）は、集合の内部を細緻化する概念である。与えられた集合の代数的内部とは、その集合に属する点であって、その点を原点としてもとの集合が併呑となるような点、すなわちその集合のテンプレート:仮リンクの全体である。代数的内部の元は、しばしば（代数的）内点（internal points）と呼ばれる。

具体的に、$X$ が線型空間であるとき、$A\subseteq X$ の代数的内部は次で定義される。

$\mathrm{core}(A):=\{x_0\in A:\mathrm{\forall }x\in X,\mathrm{\exists }{t}_x>0,\mathrm{\forall }t\in [0,t_x],x_0+tx\in A\}.$

一般に $\mathrm{core}(A)\ne \mathrm{core}(\mathrm{core}(A))$ であることに注意されたい。しかし $A$ が凸集合であるなら、$\mathrm{core}(A)=\mathrm{core}(\mathrm{core}(A))$ である。また $A$ が凸集合であるときは、$x_0\in \mathrm{core}(A),y\in A,0<\lambda \le 1$ に対して $\lambda x_0+(1-\lambda )y\in \mathrm{core}(A)$ が成立する。

例

$A\subset {ℝ}^2$ が $A=\{x\in {ℝ}^2:x_2\ge x_1^2\text{ or }{x}_2\le 0\}$ で与えられるなら、$0\in \mathrm{core}(A)$ である。しかし、$0\in ̸\mathrm{int}(A)$ および $0\in ̸\mathrm{core}(\mathrm{core}(A))$ である。

性質

$A,B\subset X$ であるなら、次が成り立つ。

• $A$ が併呑集合であるための必要十分条件は、$0\in \mathrm{core}(A)$ である。
• $A+\mathrm{core}B\subset \mathrm{core}(A+B)$
• $B=\mathrm{core}B$ であるなら、$A+\mathrm{core}B=\mathrm{core}(A+B)$ である。

内部との関係

$X$ を線型位相空間とし、$\mathrm{int}$ を内部作用素とし、$A\subset X$ とする。このとき次が成り立つ：

• $\mathrm{int}A\subseteq \mathrm{core}A$
• $A$ が空でない凸集合で、$X$ が有限次元であるなら、$\mathrm{int}A=\mathrm{core}A$ である。
• $A$ が凸集合で、その内部が空でないなら、$\mathrm{int}A=\mathrm{core}A$である。
• $A$ が閉凸集合で、$X$ が完備距離空間であるなら、$\mathrm{int}A=\mathrm{core}A$である。

関連項目

• 内部
• 相対的内部
• 準相対的内部
• 順序単位
• テンプレート:仮リンク