定積過程

提供: testwiki
2024年9月18日 (水) 09:27時点におけるimported>ゲリラリラックスによる版 (理想気体の定積過程 (初等的な説明))
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

テンプレート:出典の明記 {{#invoke:Sidebar |collapsible | bodyclass = plainlist skin-invert-image | titlestyle = padding-bottom:0.3em;border-bottom:1px solid #aaa; | title = 熱力学 | imagestyle = display:block;margin:0.3em 0 0.4em; | image = | caption = 古典的テンプレート:仮リンク | listtitlestyle = background:#ddf,;text-align:center;color: light-dark(black,white); | width = 256px | expanded =

| list1name =branches | list1title = 分野 | list1 = テンプレート:Startflatlist

テンプレート:Endflatlist

| list2name = laws | list2title = 熱力学の法則 | list2 = テンプレート:Startflatlist

テンプレート:Endflatlist

| list3name = systems | list3title = | list3 =

テンプレート:Sidebar

| list4name = sysprop | list4title =系の特性

| list4 =

注: 斜体はテンプレート:仮リンクを示す。
テンプレート:Sidebar

| list5name = material | list5title = テンプレート:仮リンク | list5 =

比熱容量  c=
TS
NT
圧縮率  β=
1V
Vp
熱膨張  α=
1V
VT

| list6name = equations | list6title = テンプレート:仮リンク | list6 = テンプレート:Startflatlist

| list7name = potentials | list7title = 熱力学ポテンシャル | list7 = テンプレート:Startflatlist

テンプレート:Endflatlist テンプレート:Unbulleted list

| list8name = hist/cult | list8title = テンプレート:Hlist | list8 =

テンプレート:Sidebar

| list9name = scientists | list9title = 科学者 | list9 = テンプレート:Startflatlist

テンプレート:Endflatlist

| below =

}} 定積過程(ていせきかてい、テンプレート:Lang-en-short)とは、体積を一定に保ちながら、系をある状態から別の状態へと変化させる熱力学過程のことである。等容変化ともいう。準静的過程とは限らない。例えば、燃焼熱を測定する際にボンベ熱量計の中で起こる過程は、不可逆な定積過程である。容積一定の容器の中で起こる熱力学過程は、定積過程として解析できることが多い。例えば、容積一定の容器に入れた気体液体を温めたり冷やしたりする過程は、典型的な定積過程である。このような過程でも準静的過程には限らない。過程の途中で容器内の温度や圧力が不均一であってもよいし、過冷却過飽和などが起こっていてもよい。

閉じた系の体積 V を一定に保ちながら、ある平衡状態Aから別の平衡状態Bに移行させる定積過程について考える。 系の体積が一定に保たれるので、系の体積変化に伴う仕事はない。よって、電気的仕事などのその他の仕事もないときには、熱力学第一法則により、定積過程の内部エネルギー変化 ΔU は系が外部から得た Q に等しい。 テンプレート:Indent エンタルピー H の変化は H = U + PV より テンプレート:Indent となる。ただし ΔP は過程に伴う系の圧力変化 テンプレート:Indent である。

内部エネルギー U と容器の容積 V により系の状態を一意に指定できる場合には、系の温度 T を (U,V) の関数として テンプレート:Indent と表すことができる。T(U,V) の関数形は容器の中にある物質の量と種類で決まる。

一般には、内部エネルギー U と容器の容積 V だけで系の状態を一意に指定できるとは限らない。例えば、燃焼などの化学反応が容積一定の断熱容器の中で起こった場合は ΔU = Q = 0 であるが、容器内の温度は変化する。よってこの場合は、系の温度 T を (U,V) の関数として表すことはできない。以下では断りのない限り、 系の状態が (U,V) により一意に定まる場合について述べる。

定積過程における状態量の変化

内部エネルギーが U で体積が V のときの系の温度を T(U,V) とするならエントロピー S の変化は テンプレート:Indent である。なぜなら、系の温度が T(U,V) のとき、環境の温度 Tテンプレート:Sub を Tテンプレート:Sub = T(U,V) + δT と設定して系に熱量 d'Q を与えるなら、 温度差 δT が十分に小さいときにこの過程は準静的微小変化になり、さらに定積過程であれば dU = d'Q なので、エントロピーの定義により テンプレート:Indent となるからである。

ヘルムホルツエネルギー F の変化は、F = U - TS の関係を使って テンプレート:Indent となる。 ギブズエネルギー G の変化は、G = F + PV の関係を使って テンプレート:Indent となる。

以上より、体積 V が一定の過程における U, H, S, F, G の変化量は、系が外部から得た熱 Q と過程に伴う系の圧力変化 ΔP と始状態のエントロピー Sテンプレート:Sub と 関数 T(U, V) から求められることが分かる。

定積等温過程における状態量の変化

等温過程では ΔT = 0 であるので、定積等温過程では U, H, S, F, G の変化量は、以下の式で与えられる。 テンプレート:Indent テンプレート:Indent テンプレート:Indent テンプレート:Indent テンプレート:Indent 定積等温過程ではヘルムホルツエネルギー F は変化しない。

適当な量の純物質が封入された密閉容器を加熱することで、定積等温過程を実現することができる。すなわち、固相と気相の二相共存の状態にある系を加熱していくと、純物質の量が適当な量であれば三重点に達して、固相と気相と液相の三相共存状態になる。液相が現れてから固相が消えるまでは、定積等温過程である。三重点で加えられた熱量の分だけ系の内部エネルギーは増加するが、三相が共存している間はヘルムホルツエネルギーは変化しない。

温度による表示

系の状態は (U, V) の関数として表すよりも、(T, V) の関数として表したほうが実用上は便利である。 純物質の三重点のように (T, V) だけでは系の状態が一意に定まらない場合もあるが、ここでは始状態が (Tテンプレート:Sub, V) で、終状態が (Tテンプレート:Sub, V) でそれぞれ一意に定まる場合について述べる。

一般に、系の温度 T(U, V) は 有限個の点を除いて U で偏微分可能であり テンプレート:Indent である。 テンプレート:Math となる範囲と テンプレート:Math となる範囲を分けて考えれば、定積過程では内部エネルギー U の変化は テンプレート:Indent となる。ここで最右辺の第二項の和は、Tテンプレート:Sub とTテンプレート:Sub の間にある、テンプレート:Math となる温度 T についてとる。温度 Tテンプレート:Sub は Tテンプレート:Sub から Tテンプレート:Sub まで準静的に変化させたときに定積等温過程となる i 番目の温度であり、Δテンプレート:SubU(Tテンプレート:Sub, V) はその等温過程で外界から吸収する熱 Q である。

エントロピー S の変化も同様に考えると テンプレート:Indent となる。

系の定積熱容量テンプレート:Indent で定義すると U と S の変化はそれぞれ テンプレート:Indent テンプレート:Indent と表される。また (T, V) の関数として S が一意に定まる温度範囲で テンプレート:Indent であることから テンプレート:Indent が成り立つ。

ヘルムホルツエネルギー F の変化は、定積等温過程では ΔF = 0 なので テンプレート:Indent となる。また テンプレート:Indent であることから テンプレート:Indent が成り立つ。

エンタルピー H とギブズエネルギー G の変化はそれぞれ テンプレート:Indent テンプレート:Indent である。

以上より、体積 V が一定の過程における U, S, F, H, G の変化量は、系の定積熱容量 Cテンプレート:Sub(T, V) と過程に伴う系の圧力変化 ΔP と始状態のエントロピー Sテンプレート:Sub と Cテンプレート:Sub(T, V) が発散する温度 Tテンプレート:Sub における内部エネルギーの跳び Δテンプレート:SubU(Tテンプレート:Sub, V) から求められることが分かる。

理想気体の定積過程

容積 V の容器に入った物質量 n の理想気体を状態Aから状態Bに移行させる定積過程について考える。理想気体の定積モル熱容量 Cテンプレート:Sub は体積 V に依らない。簡単のため、ここでは Cテンプレート:Sub が温度 T にも依らない定数とする。

内部エネルギー U とエントロピー S の変化はそれぞれ テンプレート:Indent テンプレート:Indent である。 ヘルムホルツエネルギー F の変化は テンプレート:Indent となる。ただし Sテンプレート:Sub(T,Vテンプレート:Sub) は、温度 T、モル体積 Vテンプレート:Sub = V/n におけるこの理想気体のモルエントロピーである。

エンタルピー H の変化は、理想気体の状態方程式 PV = nRT とマイヤーの関係式 Cテンプレート:Sub(T) = Cテンプレート:Sub(T) + R を使うと テンプレート:Indent となる。ギブズエネルギー G の変化も同様に テンプレート:Indent となる。

定積過程では、理想気体は外部に仕事 W をしない。 テンプレート:Indent 定積過程で理想気体が外部から得る Q は テンプレート:Indent である。

理想気体の定積過程 (初等的な説明)

理想気体を状態Aから状態Bへと移行させる定積過程を考える。このとき熱力学第一法則より、

テンプレート:Indent

ただしΔUは過程による理想気体の内部エネルギーの変化、Qは過程中に理想気体に与えられた熱量Wは理想気体が外部にした仕事である。ここで、この過程を無限に分割した微小過程を考えると、その微小過程中に外部にする仕事dWは、

テンプレート:Indent

である。ここでPは圧力、dVは微小体積変化である。定積過程においては体積が一定なので、

テンプレート:Indent

テンプレート:Indent

となる。よって、熱力学第一法則の式は、

テンプレート:Indent

と書き直せる。ここで、定積過程における気体の、単位物質量あたりの比熱定積モル比熱と命名しcVとすると、比熱の定義より、

テンプレート:Indent

となる。ここでnは理想気体の物質量、Tは絶対温度である。

以上のことから気体の内部エネルギーと定積モル比熱について次の関係が成り立つ。

テンプレート:Indent

内部エネルギーの変化量 ΔU絶対温度の変化量 ΔT も、ともに過程によらず始点と終点の状態のみに依存する物理量なので、この等式は定積過程に限らずあらゆる過程で成り立つ(ただし、 Q=ncVΔT は定積過程でのみ成り立つ。)。

関連項目