球面波

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テンプレート:出典の明記 球面波(きゅうめんは、テンプレート:Lang-en-short)とは、3次元の等方的な媒質中に存在する点波源から発生、もしくは一点に向かって収束する状の波動のことである。同位相の波面は全て点波源を中心とする同心球面を形成するため、この波動は波源に関して球対称となる。3次元波動方程式の球対称解として記述される。

球面波を表す式

球面波を記述する式には次の2通りのものが存在する。

ψ(r,t)=f(r±vt)r(1)ψ(r,t)=1rF(t±rv)(2)

ただしここでr は波源からの距離、t は時刻、v位相速度(ただしv > 0)である。

導出

上式は次のようにして導き出せる。

3次元の波動方程式は以下である:

Δψ2ψx2+2ψy2+2ψz2=1v22ψt2(3)

ただしここでは波源を原点、すなわち(x,y,z)=(0,0,0)としている。まずこれを球座標に変換し、角度には依存しないことを考慮すると、次式になる(ラプラス作用素#三次元を参照)。

Δψ=2rψr+2ψr2
(球座標への変換導出過程)
次の関係が成り立つ。
 r=x2+y2+z2
このとき
 rx=2x2x2+y2+z2=xr
したがって
 ψx=ψrrx=xrψr,2ψx2=x(xrψr)=1rψr+xrr(rxψr)=1rψr+xrr(xrψr)=1rψr+xr(xr2ψr+xr2ψr2)=r2x2r3ψr+x2r22ψr2
同様に
 2ψy2=r2y2r3ψr+y2r22ψr2,2ψz2=r2z2r3ψr+z2r22ψr2
したがって
Δψ=3r2(x2+y2+z2)r3ψr+x2+y2+z2r22ψr2=2rψr+2ψr2

ここで

1r2r2(rψ)=2rψr+2ψr2

となるので、以上を波動方程式(3)の左辺に代入して

1r2r2(rψ)=1v22ψt2

を得る。両辺にr をかけると

2r2(rψ)=1v22t2(rψ)

となるが、これはr ψについての1次元波動方程式であり、簡単に解くことができる:

rψ=f(r±vt)

または

rψ=F(t±rv)

したがって式(1)、(2)を得る。

特徴

  1. 波源からの距離が大きくなるにしたがって減衰し、r極限振幅は0となる。具体的にいえば、振幅は波源からの距離に反比例する。
  2. 波動の様子は半径からの方向には依存せず、半径からの距離および時間のみに依存する。
  3. 波源から十分離れた地点では波面のカーブが平面に近くなるため、減衰を無視できるほどの十分狭い領域では平面波として近似することができる。
  4. 特に調和球面波の場合、波の強さ(エネルギー)は、距離の2乗に反比例する(逆2乗の法則)。

調和球面波

調和球面波の様子。距離に比例して減衰していく様子がわかる。
調和球面波の様子。距離に比例して減衰していく様子がわかる。

球面波の特別な場合として、調和球面波が存在する。これは以下の式によって表されるものである。

ψ(r,t)=𝒜rsin[k(r±vt+δ)],=𝒜rsin[ω(t±rv+δ)]

ここで𝒜は波源強度とよばれる定数であり、k波数、ωは角振動数、δは初期位相である。

調和球面波のエネルギー

点波源を中心とする球面の単位面積あたりに単位時間運ばれるエネルギー、すなわち波の強度Iは以下のようになる。

I(r)=2π2ρvν2(𝒜r)2=2π2ρvν2𝒜2r2

ただしρは媒質の密度、ν振動数である。

この式より調和球面波の強度に関して逆2乗の法則が成り立っていることがわかる。

関連項目