二乗平均平方根

提供: testwiki
2025年2月25日 (火) 17:40時点におけるimported>Tarepanによる版 (追加: 出典、特性節)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

テンプレート:読み仮名データ確率変数二乗算術平均平方根である[1]

概要

RMSはデータ確率変数離散信号連続関数など複数要素からなる対象について、要素を二乗し、それらの算術平均を取り、この平均値の平方根を取ったものである[1](⇒ #定義)。RMSは単位の維持や直交成分の二乗平均和などの特性をもつ[2](⇒ #特性)。これらの特性から「強さ」の指標として有用であり[3]実効値という名前で広く応用されている[4](⇒ #応用)。偏差のRMSは平均標準偏差と関連がある(⇒ #平均値および標準偏差との関係)。

絶対値の平均よりも計算が積和演算であるため高速化が容易である。二乗平均平方根は、一般化平均において指数パラメータテンプレート:Math としたものであるとも言える。

定義

口語的定義

RMSは「系列の各要素を2乗し、それらを平均し、平均値の平方根をとったもの」である[1]

離散信号での定義

大きさ nデータあるいは離散信号 {x1,x2,...,xn} のRMSは以下で定義される:

RMS[x]=1ni=1nxi2=x12+x22++xn2n

連続関数での定義

連続関数あるいは連続信号 x(t) の区間 [t1,t2] におけるRMSは以下で定義される:

RMS[x(t)]=1|t2t1|t1t2(x(t))2dt

確率論での定義

充分小さな テンプレート:Math に対して テンプレート:Math2 となる確率テンプレート:Math2 としたとき、テンプレート:Mvar の二乗平均平方根 テンプレート:Math

RMS[x]=x'2f(x)dx

と定義される。ここで関数 テンプレート:Math確率密度関数と呼ばれる。

特性

単位の維持

RMSの単位は元要素と同じ単位をもつ。

元要素の単位を k としてRMSの各段階での単位変換を考えると、要素を2乗して k2 となり、平均は単位に影響しないので k2 のままであり、最後に0.5乗(=ルート)して k になる。つまり元要素の単位とRMSの単位は一致する。

直交成分の二乗平均和

RMSは「直交成分の二乗平均の和」の平方根と同値である[2]

対象の信号 x(t) が互いに直交する成分 f(t)g(t) に分解できるとする。つまり以下が2つが成立するとする:

x(t)=f(t)+g(t),f(t)g(t)dt=0

ここでRMSの計算途中に2乗が現れることに注目し、二乗平均を MS() とすると、以下のように変形できる:

RMS(x)=MS(x)=1|t2t1|t1t2x2(t)dt=1|t2t1|t1t2f2(t)+2f(t)g(t)+g2(t)dt=1|t2t1|t1t2f2(t)+0+g2(t)dt=1|t2t1|t1t2f2(t)dt+1|t2t1|t1t2g2(t)dt=MS(f)+MS(g)

この式は3成分以上でも成立する。つまり「信号全体の二乗平均」の平方根であるRMSは「直交成分の二乗平均の和」の平方根と同値である[2]

この特性はRMSを「強さ」の指標として応用する上で有用である[3]。例えば関数をフーリエ級数展開して三角関数の和と捉えたとき、異なる周波数の三角関数が互いに直交するため直交成分の二乗平均和が成立する(参考: パーセヴァルの等式)。これにより要素波の強ささえ測れれば波全体の強さが測れる[3]

計算例

テンプレート:出典の明記 テンプレート:See also 例えば、データ テンプレート:Math2 の二乗平均平方根は次のようになる。

RMS[x]=15(12+12+22+32+52)=82.8284271

周期関数については通常、積分区間を周期の整数倍に一致させて求める。 たとえば テンプレート:Math2 については、周期を テンプレート:Math2 で表し、

RMS[sinωt]=1τ0τsin2ωtdt=1τ0τ1cos2ωt2dt=12

のようにする。同様に三角関数の和について、適当な周期を テンプレート:Mvar として、

RMS[ncnsinωnt]=1τ0τ(ncnsinωnt)2dt=1τm,n0τcmcnsin(ωmt)sin(ωnt)dt=1τm,n0τcmcncos(ωmtωnt)cos(ωmt+ωnt)2dt=12n(cn)2

となる。非対角成分積分すると テンプレート:Math になる(直交)ので、対角成分の積分だけが残る。

平均値および標準偏差との関係

テンプレート:出典の明記 変量 テンプレート:Mvar に対して期待値 テンプレート:Math が定まるなら、その量の期待値からの偏差 テンプレート:Math2 の二乗平均平方根 テンプレート:Math2 を与えることができる。この偏差の二乗平均平方根は テンプレート:Mvar の標準偏差 テンプレート:Mvar に等しい。

σx=1ni=1n(xix)2=RMS[xx]

また、二乗偏差 テンプレート:Math2 を展開すれば、偏差の二乗平均平方根は次のように書き直せる。

RMS[xx]=1ni=1n(xix)2=1ni=1nxi22x1ni=1nxi+x2=(RMS[x])2x2

ただし最後に期待値 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の平均値 テンプレート:Mvar に等しいことを使った。

x=x¯=1ni=1nxi

このとき次の関係が成り立つ。

(RMS[x])2=σx2+x2

期待値 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の算術平均 テンプレート:Mvar に等しいことは一般には成り立たない。たとえば テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の各回の測定値だとすれば、その標本平均 テンプレート:Mvar は期待値 テンプレート:Math からある精度で外れた値になる。実験では真の値は分からないので、期待値 テンプレート:Math の代わりに測定値の標本平均 テンプレート:Mvar が用いられ、標準偏差は測定値の平均値からの不偏分散の平方根によって推定される。不偏でない単純な標本標準偏差は二乗平均平方根の形で表されるが、不偏標本標準偏差 テンプレート:Mvar はそれとは異なる。

RMS[xx¯]=1ni=1n(xx¯)21n1i=1n(xx¯)2=ux

単純な標本標準偏差では分散の重心が期待値ではなく標本平均になっているため、これは真の値からの誤差を評価していない。

これらがほぼ等価であると言えるのは、測定精度に比べて充分多くの回数測定を行った場合だけである。

応用

テンプレート:Main RMSは「強さ」の指標として有用な特性を備えている[3](⇒ #特性)。そのため光学電子工学音響学などに「実効値[4]」という名称で応用されている。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

テンプレート:Notelist2

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目