ヴィーンの放射法則

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テンプレート:混同

温度 8 mK の黒体のヴィーン、プランクレイリーの3式の比較

ヴィーンの放射法則(ヴィーンのほうしゃほうそく、テンプレート:Lang-en)、あるいはヴィーンの公式ヴィーンの分布式とは、熱輻射により黒体から放出される電磁波スペクトルを与える理論式である。 この法則は1896年にヴィルヘルム・ヴィーンによって導かれた[1][2]。短波長(高周波数)領域における近似式であり、ヴィーン近似とも呼ばれる。 長波長(低周波数)領域では実験とずれが生じて記述できないが[2]、全ての波長領域で正しく記述されるようにプランクの法則の形に修正された。英語の発音に基づくウィーンのカナ表記、呼称も用いられる。

内容

ヴィーンの放射法則によれば、熱力学温度 テンプレート:Mvar の熱平衡にある黒体の輻射による波長 テンプレート:Mvar で表した放射発散度のスペクトルは テンプレート:Indent で与えられる[2]。ここで係数 テンプレート:Math はそれぞれ第一放射定数、第二放射定数と呼ばれる。 波長 テンプレート:Mvar周波数 テンプレート:Mvar の関係 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar光速度)と テンプレート:Indent を用いれば、周波数 テンプレート:Mvar で表したスペクトルは テンプレート:Indent となる[3]

分光放射輝度で表せば、波長で表したスペクトルは テンプレート:Indent となり、周波数で表したスペクトルは テンプレート:Indent となる。

性質

ヴィーンの放射法則による分光発散度は テンプレート:Indent の形をしている。 長波長(低周波数)領域におけるスペクトルの精度の高い近似を与える理論式として、レイリー卿によるレイリー・ジーンズの法則が用いられる[2][3]。 レイリーの公式は テンプレート:Math の場合として含まれている。

分光発散度を波長で偏微分すると テンプレート:Indent となる。分光発散度を最大となる波長 テンプレート:Math は関数 テンプレート:Math の適当な零点 テンプレート:Math によって テンプレート:Indent と表される。 ヴィーンの公式では テンプレート:Math となってヴィーンの変位則を説明することができる。 しかし、レイリーの公式では テンプレート:Math において零点を持たず、ヴィーンの変位則を説明できない。

分光発散度を波長 テンプレート:Mvar で積分した放射発散度は テンプレート:Indent となる。 ヴィーンの公式では積分が収束し、シュテファン=ボルツマンの法則と整合する。 しかし、レイリーの公式では積分が収束せず、放射発散度が無限大になってしまう。

長波長の極限 テンプレート:Math ではヴィーンの公式では テンプレート:Indent となる。長波長領域で精度の高い近似であるレイリーの公式では テンプレート:Math であり、これと整合しない。ヴィーンの公式は長波長領域では実験を正しく記述できていない。

プランクによる修正

ヴィーンの法則は熱輻射のスペクトルを完全に説明する法則として提案されたものであったが、長波長(低周波数)領域のスペクトルで実験を正しく記述することができなかった。その後まもなくマックス・プランクによりプランクの法則の形で修正された。プランクの法則は全ての波長領域で実験を正しく記述することができた。ヴィーンの法則はプランクの法則の極限として導かれる。

プランクの法則によれば、温度 テンプレート:Mvar の熱平衡における分光放射輝度は

L(ν,T)=2hν3c21ehν/kT1

で与えられる[3]。ここで テンプレート:Mvarプランク定数テンプレート:Mvarボルツマン定数である。

プランクの式において テンプレート:Math で近似すれば

1ehν/kT1ehν/kT

となり、ヴィーンの式が導かれる[3]。二つの係数は

c1=2πhc2= テンプレート:Val
c1L=2hc2= テンプレート:Val
c2=hck= テンプレート:Val

として他の物理定数と理論的に関係付けられる。値は全て2018CODATA推奨値である[4][5][6]

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目