イェンセンの公式

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複素解析という数学の分野において,イェンセンの公式テンプレート:Lang-en-short)は,テンプレート:Harvs によって導入されたもので,円上の解析関数の大きさの平均を円の内部のその零点の個数と関係付ける.整関数の研究において重要な主張である.

主張

テンプレート:Mvar を原点を中心とする半径 テンプレート:Mvar閉円板 テンプレート:Math を含む複素平面の領域上の解析関数とし,テンプレート:Math テンプレート:Math テンプレート:Math テンプレート:Mathテンプレート:Math の内部における重複を込めた テンプレート:Mvar の零点とし,テンプレート:Math とする.イェンセンの公式は次の公式である:

log|f(0)|=k=1nlog(|ak|r)+12π02πlog|f(reiθ)|dθ.

この公式は円板 テンプレート:Math 内の関数 テンプレート:Mvar の零点のモジュライと境界の円周 テンプレート:Math 上の テンプレート:Math の平均との間の関係を確立し,調和関数の平均値の性質の一般化と見ることができる.すなわち,テンプレート:Mvarテンプレート:Math 内に零点を持たないとき,イェンセンの公式は

log|f(0)|=12π02πlog|f(reiθ)|dθ

となり,これは調和関数 テンプレート:Math の平均値の性質である.

頻繁に用いられるイェンセンの公式の同値な主張は

12π02πlog|f(reiθ)|dθlog|f(0)|=0rn(t)tdt

である,ただし テンプレート:Math は半径 テンプレート:Mvar の原点を中心とする円板内の テンプレート:Mvar の零点の個数を表す.

イェンセンの公式は テンプレート:Math 上有理型でしかない関数に一般化できる.すなわち,

f(z)=zlg(z)h(z)

と仮定する,ただし テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Math 内の解析関数で零点をそれぞれ a1,,an𝔻{0}b1,,bm𝔻{0} に持つとすると,有理型関数に対するイェンセンの公式の主張は

log|g(0)h(0)|=log|rmna1anb1bm|+12π02πlog|f(reiθ)|dθ

となる.

イェンセンの公式は円の中の解析関数の零点の個数を評価するのに使うことができる.すなわち,テンプレート:Mvar が半径 テンプレート:Mvarテンプレート:Math を中心とする円板内で解析的な関数で,テンプレート:Math がその円盤の境界上 テンプレート:Mvar でおさえられていれば,半径 テンプレート:Math の同じ点 テンプレート:Math を中心とする円の中の テンプレート:Mvar の零点の個数は

1log(R/r)logM|f(z0)|

を超えない.

イェンセンの公式は整関数や有理型関数の値の分布の研究において重要な主張である.とくに,ネヴァンリンナ理論の出発点である.

ポワソン・イェンセンの公式

イェンセンの公式はより一般的なポワソン・イェンセンの公式の帰結であり,これは逆にイェンセンの公式から テンプレート:Mvarメビウス変換を施すことによって得られる.それはロルフ・ネヴァンリンナ (Rolf Nevanlinna) によって導入され命名された.テンプレート:Mvar が単位円板内で解析的な関数であって,零点 a1a2, ..., an が単位円板の内部に位置しているとき,単位円板内のすべての z0=r0eiφ0 に対して,ポワソン・イェンセンの公式 (Poisson–Jensen formula) の主張は以下である:

log|f(z0)|=k=1nlog|z0ak1a¯kz0|+12π02πPr0(φ0θ)log|f(eiθ)|dθ.

ここで,

Pr(ω)=nr|n|einω

は単位円板上のポワソン核である.関数 テンプレート:Mvar が単位円板内に零点を持たないとき,ポワソン・イェンセンの公式は

log|f(z0)|=12π02πPr0(φ0θ)log|f(eiθ)|dθ

となり,これは調和関数 テンプレート:Math に対するポワソンの公式である.

参考文献