オイラー標数

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種数 テンプレート:Mvar向き付け可能連結曲面 テンプレート:Mvar のオイラー標数は テンプレート:Math である[1]

オイラー標数(オイラーひょうすう、テンプレート:Lang-en-short)とは、位相空間のもつある種の構造を特徴付ける位相不変量のひとつ。オイラー多面体の研究においてこの不変量を用いたことからこの名がある。オイラー数と呼ばれることもある[2]が、オイラー数は別の意味で使われることも多い[3]

定義

位相空間 テンプレート:Mvar のオイラー標数 テンプレート:Math交代和

χ(X)=n=0(1)nbn

で定義される[4]。ただし、テンプレート:Mvar は位相空間 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 次元ベッチ数、すなわちホモロジー群 テンプレート:Mathアーベル群としての階数である。

性質

例:正多面体
多面体
テンプレート:Mvar
頂点
テンプレート:Mvar

テンプレート:Mvar

テンプレート:Mvar
オイラー標数
テンプレート:Math
4 6 4 2
8 12 6 2
6 12 8 2
20 30 12 2
12 30 20 2

ホモロジー群位相不変量であるため、オイラー標数も位相不変量である。閉曲面の分類定理により、向き付け可能連結曲面においてはオイラー標数は位相同型に関する完全不変量になっている。

有限CW複体 テンプレート:Mvar に含まれる テンプレート:Mvar 次元単体の個数を テンプレート:Mvar とすると、

χ(K)=n=0(1)nqn

である[5]。つまり、この場合はホモロジー群を計算しないで含まれている単体さえわかればオイラー標数を計算できる。特に テンプレート:Mvar が有限連結グラフである場合、 頂点の数を テンプレート:Math, 辺の数を テンプレート:Math としてオイラー標数は χ(K)=ve と書ける。もしグラフ テンプレート:Mvar閉路をもたないならば χ(K)=1 である。また テンプレート:Mvar多面体である場合、頂点の数を テンプレート:Math, 辺の数を テンプレート:Math, 面の数を テンプレート:Math としてオイラー標数は

χ(K)=ve+f

と書ける。凸多面体ならばこれは常に 2 に等しく、これをオイラーの多面体定理という。

オイラーの多面体定理の証明

双対グラフによる証明

正十二面体の多面体グラフ(青)とその双対(赤)。双対グラフの頂点の一つは無限遠に存在する。
正十二面体の多面体グラフの全域木(青)とその双対(赤)。グラフの全域木とその双対が持つ関係からオイラーの多面体定理が導かれる。

まず、多面体の頂点や辺の関係は平面グラフに落とし込むことができることに着目する。これは次のようにして可能である。まず多面体の面の一つを取り除き、空いた穴を広げて残りの面を平面に近づけていく。こうしてできたグラフの外側の領域を最初に取り除いた面と対応させれば、多面体の頂点と辺の関係を持つ平面グラフが得られる。 次に、平面グラフの全域木とその双対を考える。グラフの全域木とはグラフのすべての頂点を接続し、なおかつ閉路を含まないようなグラフである。また、双対グラフとは、元となるグラフの面に対応する頂点をもち、元グラフの面どうしを繋ぐ辺に対応する辺をもつグラフである。全域木の双対は、元グラフの双対のうち、全域木に含まれない辺に対応する辺を含むグラフである。全域木の双対は元グラフの双対の全域木となることは、以下のようにしてわかる。

いま、平面グラフテンプレート:Mvarとその双対テンプレート:Mvarを考える。テンプレート:Mvarの全域木テンプレート:Mvarに対し、テンプレート:Mvarのうちテンプレート:Mvar に含まれないグラフをテンプレート:Mvarとする。また、テンプレート:Mvarのうちテンプレート:Mvarに対応するグラフをテンプレート:Mvarとする。テンプレート:Mvarは閉路を持たないため、テンプレート:Mvarの各々の面を囲む辺のうち、少なくとも1つはテンプレート:Mvarに含まれる。このことを双対の世界で言い直すと、テンプレート:Mvarの各頂点は必ずテンプレート:Mvarがもつ辺により連結されるということになる。ここでもしテンプレート:Mvarが閉路を持つとすると、同様の議論によって、テンプレート:Mvarの頂点のうち少なくとも1つがテンプレート:Mvarにより連結されないことになる。しかし、これはテンプレート:Mvarが全域木であることと相容れないため、テンプレート:Mvarは閉路を持たない。よって、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの全ての頂点を連結し、閉路を持たない。すなわちテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの全域木である。

このことから、平面グラフの全ての辺は全域木と、グラフの双対の全域木に対応する辺に分解することができる。

木グラフは一つの頂点から初めて、頂点と辺をそれぞれ一つずつグラフに付け加えていくことによって作ることができる。このため、木グラフの頂点の数テンプレート:Mvarと辺の数テンプレート:Mvarは、テンプレート:Math という関係をもつ。 いま、グラフテンプレート:Mathについてその全域木テンプレート:Mathが与えられたとする。テンプレート:Mathの辺の数をテンプレート:Mathとすると、テンプレート:Math が成り立つ。またテンプレート:Mathの双対テンプレート:Mvarの辺の数をテンプレート:Mathとすると、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の全域木であるため、テンプレート:Mvarの頂点の数、すなわちテンプレート:Mathの面の数テンプレート:Mvarについて同様な関係 テンプレート:Mathが成り立つ。テンプレート:Mathの辺の数とテンプレート:Mvarの辺の数を足すとテンプレート:Mathの辺の数に等しく、またテンプレート:Mvarの各辺はテンプレート:Mvarの各辺に一対一に対応するため、

e=(v1)+(f1)

が成り立つ。これはオイラーの公式に他ならない。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

他の読み物

  • 佐久間一浩:『トポロジー集中講義:オイラー標数をめぐって』、培風館、ISBN 4-563-00365-4 (2006年7月20日).

関連項目

テンプレート:Div col

テンプレート:Div col end

外部リンク