クレインの条件

数学の解析学の分野におけるクレインの条件（クレインのじょうけん、テンプレート:Lang-en-short）とは、指数関数の和

$\{\sum _{k=1}^n{a}_k\exp (i{\lambda }_{k}x),a_k\in ℂ,{\lambda }_k\ge 0\},$

が実数直線上のある重み付き L₂ 空間において稠密であるための必要十分条件を与えるものである。マルク・クレインによって1940年に発見された。他にもクレインの条件と呼ばれるある系（corollary）があり、こちらはテンプレート:仮リンクの不定性のための十分条件を与えるものである。

内容

μ を、実数直線上のある絶対連続な測度で、dμ(x) = f(x) dx が満たされるものとする。指数関数の和

$\sum _{k=1}^n{a}_k\exp (i{\lambda }_{k}x),a_k\in ℂ,{\lambda }_k\ge 0$

が L₂(μ) において稠密であるための必要十分条件は

$\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{\mathrm{\infty }}{\int }}\frac{-\ln f(x)}{1+x^2}dx=\mathrm{\infty }$

が成立することである。

モーメント問題の不定性

μ を上述のように定められる測度とする。μ のすべてのモーメント

$m_n=\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{\mathrm{\infty }}{\int }}{x}^{n}d\mu (x),n=0,1,2,\dots$

は有限であると仮定する。もし

$\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{\mathrm{\infty }}{\int }}\frac{-\ln f(x)}{1+x^2}dx<\mathrm{\infty }$

が成立するなら、μ についてのテンプレート:仮リンクは不定である。すなわち、R 上の別の測度 ν ≠ μ で

$m_n=\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{\mathrm{\infty }}{\int }}{x}^{n}d\nu (x),n=0,1,2,\dots$

を満たすようなものが存在する。この事実は、上述のクレインの定理の必要性（only if）の部分より従う。

例

今

$f(x)=\frac{1}{\sqrt{\pi }}\exp \{-{\ln }^{2}x\}$

とする。このとき測度 dμ(x) = f(x) dx はスティルチェス＝ウィガート測度と呼ばれる。今

$\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{\mathrm{\infty }}{\int }}\frac{-\ln f(x)}{1+x^2}dx=\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{\mathrm{\infty }}{\int }}\frac{{\ln }^{2}x+\ln \sqrt{\pi }}{1+x^2}dx<\mathrm{\infty }$

が成立するため、μ についてのハンバーガーのモーメント問題は不定である。