ゲルマン=ロウの定理

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場の量子論において、ゲルマン=ロウの定理(ゲルマンロウのていり、テンプレート:Lang-en-short)とは、断熱的相互作用を導入した際に、相互作用がある系の固有状態が相互作用がない系の固有状態の時間発展と対応づけられることを主張する定理[1]。ゲルマン=ロウの公式とも呼ばれる。1951年に米国の物理学者マレー・ゲルマンフランシス・S・ロウによって示された[2]。場の量子論ではn点相関関数ハイゼンベルク描像における場の演算子時間順序積真空期待値として定義されるが、ゲルマン=ロウの定理により、相互作用描像での真空期待値として計算することが可能になる[3]

定理

ハミルトニアンHH=H0+Vと固有値、固有状態が求まる可解なハミルトニアンの項H0と相互作用項Vに分けられるとする。このとき、次のように仮想的に相互作用の断熱的なオン・オフを行う。

H(t)=H0+eϵ|t|V

ここでϵは正の微小量であり、計算の最後にϵ0+とする極限をとるものとする。無限大の過去t=ではH()は相互作用がないH0である。t=から断熱的な変化として、徐々に相互作用を印加していくと、t=0H(0)H0+Vに一致する。t=0からは断熱的に相互作用を切っていき、無限大の未来t=+ではH(+)は再び相互作用がないH0に戻る。|Ψ0H0の固有値E0の固有状態とし、次の状態を導入する。

|Ψϵ±:=UϵI(0,±)|Ψ0Ψ0|UϵI(0,±)|Ψ0

ここで、UϵI(t,s)は相互作用表示における時間発展作用素

UϵI(t,s)=e+iH0tUϵ(t,s)eiH0t

である。

ゲルマン=ロウの定理は、ϵ0+とする極限をとった際に、|Ψϵ±の極限|Ψ±が存在すると、|Ψ±H=H0+Vの固有状態となることを主張する。

相関関数の計算

ϕ(x)をハイゼンベルク描像における場の演算子とする。相互作用のない固有状態として、基底状態、すなわち、自由真空|00をとる。|00に対し、相互作用のある系での真空|0とすると、ゲルマン=ロウの定理により、次の関係式が得られる。

0|Tϕ(x1)ϕ(x2)ϕ(xn)|0=00|TϕI(x1)ϕI(x2)ϕI(xn)exp(iVI(t)dt)|0000|Texp(iVI(t)dt)|00

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

論文
  • M. Gell-Mann and F. Low, "Bound States in Quantum Field Theory", Phys. Rev., 84, 350 (1951) テンプレート:Doi
書籍
  • Alexander L. Fetter and John Dirk Walecka, Quantum Theory of Many-Particle Systems, Dover Publications (2003) ISBN 978-0486428277
  • Michael Stone, The Physics of Quantum Fields (Graduate Texts in Contemporary Physics), Springer (2000) ISBN 978-0387989099

関連項目

  1. Alexander L. Fetter and John Dirk Walecka (2003)
  2. Gell-Mann and F. Low, Phys. Rev., 84, 350 (1951)
  3. Michael Stone (2000)