相互作用描像

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テンプレート:出典の明記 量子力学時間発展において、相互作用描像 (そうごさようびょうぞう、テンプレート:Lang-en-short)または相互作用表示(そうごさようひょうじ)とは、シュレーディンガー描像ハイゼンベルク描像の中間というべき描像である。これら2つの描像では、状態ベクトルまたは演算子のどちらかのみが時間に依存するが、相互作用描像にたてばこの両者が可観測量の時間依存性に寄与する。ディラック描像とも。

シュレーディンガー描像およびハイゼンベルク描像では、テンプレート:Math などのように異なる時間における演算子を含む式は必ずしも意味をなさないが、相互作用描像では許される。これは非時間依存ユニタリ変換が、ある描像における演算子を他の描像における対応する演算子と関連づけるためである。演算子がどの描像におけるものなのかが明示されていない書物もあり、混乱と誤用を招くこともある。

定義

相互作用描像における演算子と状態ベクトルは、基底の変更(ユニタリ変換)によってシュレーディンガー描像におけるそれらと関連づけられる。

相互作用描像に移るために、シュレーディンガー描像のハミルトニアンテンプレート:Math のように二つにわける。[1]

もし、ハミルトニアンが陽に時間に依存する場合(例えば、量子系が時間変化する外部電場と相互作用する場合)、大抵の場合は テンプレート:Math に陽に時間に依る部分を含め、テンプレート:Math を時間非依存に選ぶのが好都合である。この場合を想定して話を進める。[2]

状態ベクトル

相互作用描像における状態ベクトル テンプレート:Math は、シュレーディンガー描像において対応する状態ベクトルを テンプレート:Math として、次のように定義される。

テンプレート:Indent


演算子

相互作用描像における演算子は次のように定義される。

テンプレート:Indent

(典型的には、テンプレート:Mathテンプレート:Mvar に依存しないので単にテンプレート:Math と書ける。これが テンプレート:Mvar に依存するのは、演算子が陽に時間に依存する場合のみである。)

ハミルトニアン演算子

演算子 テンプレート:Math 自体については、相互作用描像における演算子はシュレーディンガー描像におけるものと等しい。

テンプレート:Indent

(これは、演算子は自身の微分可能な関数とは交換することを用いて証明できる。)よって特にこの演算子は曖昧さを残さずテンプレート:Mathと呼ぶことができる。

摂動ハミルトニアン テンプレート:Math については次のようになる。

テンプレート:Indent

このように相互作用描像における摂動ハミルトニアンは時間非依存になる。(ただしテンプレート:Mathの場合。)

時間依存なハミルトニアン テンプレート:Math についても、相互作用描像を得ることができるが、指数関数部分を時間発展演算子に置き換える必要がある。

密度行列

密度行列は他の演算子と同じように相互作用描像でも表すことができる。特に、テンプレート:Mathテンプレート:Mathをそれぞれ相互作用描像、シュレーディンガー描像における密度行列とすると、物理状態|ψnが実現される確率をテンプレート:Mathとして、次のように表される。

ρI(t)=npn(t)|ψn,I(t)ψn,I(t)|=npn(t)eiH^0,St/|ψn,S(t)ψn,S(t)|eiH^0,St/=eiH^0,St/ρS(t)eiH^0,St/
発展 描像
ハイゼンベルク 相互作用 シュレーディンガー
ケットベクトル 一定 |ψI(t)=eiH^0,St/|ψS(t) |ψS(t)=eiH^St/|ψS(0)
可観測量 A^H(t)=eiH^St/A^SeiH^St/ A^I(t)=eiH^0,St/A^SeiH^0,St/ 一定
密度行列 一定 ρI(t)=eiH^0,St/ρS(t)eiH^0,St/ ρS(t)=eiH^St/ρS(0)eiH^St/

相互作用描像における時間発展方程式

状態の時間発展

シュレーディンガー描像から相互作用描像への書き換えにより、次を得る。

iddt|ψI(t)=H^1,I(t)|ψI(t)

この方程式は朝永-シュウィンガーの式として知られる。

演算子の時間発展

もし、テンプレート:Math が陽に時間に依らなければ、対応する時間発展 テンプレート:Math は次のように得られる。

iddtA^I(t)=[A^I(t),H^0]

相互作用描像では演算子は、ハイゼンベルク描像においてハミルトニアンをH'=H0としたときの演算子と同じように時間発展する。

密度行列の時間発展

朝永-シュウィンガーの式を、密度行列の言葉で書き直すと、(または同じ事だが、フォン・ノイマン方程式を相互作用描像で書きあらわすと)次を得る。

iddtρI(t)=[H^1,I(t),ρI(t)]

相互作用描像の使用

相互作用描像の目的は、テンプレート:Math が演算子に作用することによる時間依存性と、テンプレート:Math が状態ベクトルに作用することによる時間依存性を分離してしまうことにある。相互作用描像は、テンプレート:Math をハイゼンベルク描像にして、テンプレート:Mathをシュレーディンガー描像にした形式だと言える[3]

相互作用描像は、解が求まっている系のハミルトニアン テンプレート:Math に、小さな干渉項 テンプレート:Math が干渉することによる効果を検証する場合に便利である。相互作用描像を用いることにより、摂動法を用いて テンプレート:Math の効果を調べることができる。

場の量子論においても相互作用描像は用いられる。相互作用描像では演算子の時間依存性は自由ハミルトニアンテンプレート:Math のみにより、相互作用により変わる部分は状態ベクトルの中にある。したがってテンプレート:Mathがゼロならば状態ベクトルは時間に依らず、相互作用描像はハイゼンベルク描像に等しい。相互作用描像の便利な点は、相互作用がある場合でも場の演算子が自由場の方程式を満たすことであり、場の展開がそのまま使えることにある。状態ベクトルの満たす方程式はシュレーディンガー方程式に似ているが、テンプレート:Mathは時間に依存する自由場の演算子を含んでいる[4]

脚注

  1. 全てのわけかたから意味をもった相互作用描像を得ることができる。しかし、相互作用描像によって問題の解析を容易にするためには、典型的には テンプレート:Math は性質がよく理解されており、解が求まっているもの、テンプレート:Math に解析の難しい、摂動的なものが含まれるようにわけることが多い。
  2. もし、テンプレート:Math が時間依存する場合においては、テンプレート:Mathを対応する時間発展演算子に置き換えればここでの議論を適用できる。
  3. テンプレート:Cite book
  4. テンプレート:Cite book

参考文献

関連項目

テンプレート:量子力学

テンプレート:Physics-stub