デ・ディクトとデ・レ

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デ・ディクト(テンプレート:Lang)とデ・レ(テンプレート:Lang)は、内包的言明における区別を標示するために用いられる二つの語句であり、多くのそうした言明における内包的演算子と結びついている。この区別は、分析的形而上学や言語哲学において日常的に用いられる[1]。

語句デ・ディクトの字義どおりの訳は「言われたことについて」であり[2]、デ・レは「ものについて」と訳される[3]。この区別は内包的文脈の例によって理解でき、ここではそのうち三つ、すなわち思考の文脈、欲求の文脈、様相の文脈を考察する。

思考の文脈

「ピーターは誰かが自分を狙っていると信じている」という文には、二つの可能な解釈がある。

デ・ディクト解釈では、「誰か」は不特定であり、ピーターは全般的な被害妄想を患っている。彼はある人物が自分を狙っているのが真であると信じているが、その人物が誰でありうるかについて必ずしも何らかの信念を持っているわけではない。ピーターが信じているのは、「誰かがピーターを狙っている」という述定が満たされていることである。

デ・レ解釈では、「誰か」は特定的であり、ある特定の個人を選び出す。ピーターが念頭に置いているある人物がいて、ピーターはその人物が自分を狙っていると信じている。

思考の文脈において、この区別は、人々がどのようにして一見自己矛盾的な信念を抱きうるかを説明するのに役立つ[4]。ロイス・レインがクラーク・ケントはスーパーマンより弱いと信じているとしよう。クラーク・ケントはスーパーマンであるため、デ・レに解すると、ロイスの信念は不合理である。名前クラーク・ケントとスーパーマンはともに同じ個人を選び出しており、ある人物(あるいは超人)が自分自身より強いということはありえないからである。しかしデ・ディクトに理解すれば、これはまったく理にかなった信念でありうる。ロイスはクラークとスーパーマンが一つの同じ存在であることに気づいていないため、彼女の信念は単に、ある個人が別の個人より強いというものにすぎないからである。

欲求の文脈

「ヤナはフルソム郡で最も背の高い男と結婚したいと思っている」という文を考えよう。これはデ・ディクトにもデ・レにも読めるが、その意味は異なる。一つの解釈は、ヤナはそれが誰であろうとフルソム郡で最も背の高い男と結婚したいと思っている、というものである。この解釈では、この言明が伝えるのは、ヤナがある不特定の欲求を抱いているということである。すなわち彼女が欲しているのは、「ヤナがフルソム郡で最も背の高い男と結婚している」が真となることである。その欲求は、どのようにそれが達成されるかにかかわらず、その状況へ向けられている。もう一つの解釈は、ヤナはある特定の男と結婚したいと思っており、その男が実際にはたまたまフルソム郡で最も背の高い男である、というものである。彼女の欲求はその男へ向けられており、彼女は自分が彼と結婚することを欲している。最初の解釈がデ・ディクト解釈である。なぜならヤナの欲求は「フルソム郡で最も背の高い男」という語に関係しているからである。そして二番目の解釈がデ・レ解釈である。なぜならヤナの欲求はその語が指示する男に関係しているからである。

この区別を理解するもう一つの方法は、身長9フィートの移民がフルソム郡に引っ越してきたら、ヤナは何を欲するかを問うことである。もし彼女が以前結婚したいと願っていたのと同じ男と引き続き結婚したいと思い(そしてこれを自分の欲求の変化を表すものとは捉えない)ならば、彼女は元の言明をデ・レの意味で意図していたと解しうる。もし彼女がもはやその男と結婚したいとは思わず、代わりに今やその移民——すなわちフルソム郡で新たに最も背の高い男——と結婚したいと願い、これを以前の欲求の継続と見なすならば、彼女は元の言明をデ・ディクトの意味で意図していたことになる。

様相の文脈

発見された化学元素の数は118である。「化学元素の数は必然的に100より大きい」という文を取り上げよう。ここでも、デ・ディクト/デ・レの区別に応じて二つの解釈がある。

  • デ・ディクト解釈 ◻∃Nchem(Nchem>100) は、到達可能な他の可能世界において、たとえ原子の内部構造が異なりうる(その結果 Nchem が異なる値を取る)としても、元素の数は依然として100以下にはなりえない、と述べる。
  • デ・レ解釈 ∃Nchem◻(Nchem>100) は、原子の内部構造はあるがままであり(すべての到達可能な可能世界において Nchem=118)、118という数は100より大きい、と述べる。

別の例:「2001年のアメリカ合衆国大統領がアル・ゴアであったということはありえなかった」。

  • デ・ディクト読み ◻∃Pres2001(Pres2001≠Al) は、到達可能な他の可能世界において、たとえ2000年の選挙結果が異なりえたとしても、2001年のアメリカ合衆国大統領が依然としてアル・ゴアであったということはありえなかった、と述べる。この主張は偽であるように思われる。おそらく、最高裁判所がブッシュが選挙に勝利したと判断しなかったような、到達可能な他のいくつかの可能世界では、その可能世界においてアル・ゴアが2001年のアメリカ合衆国大統領でありえただろう。
  • デ・レ読み ∃Pres2001◻(Pres2001≠Al) は、2001年のアメリカ合衆国大統領はその当人であり、それはすべての到達可能な可能世界においてジョージ・ブッシュであって、ジョージ・ブッシュがアル・ゴアでありえたということはなかった、と述べる。

様相論理におけるデ・ディクトとデ・レの表現

テンプレート:Also 様相論理において、デ・ディクトとデ・レの区別はスコープの区別である。デ・ディクトの主張では、いかなる存在量化子も様相演算子のスコープ内にあるのに対し、デ・レの主張では様相演算子が存在量化子のスコープ内に収まる。例えば:

デ・ディクト: ◻∃xAx 必然的に、ある x はそれが A であるようなものである
デ・レ: ∃x◻Ax ある x はそれが必然的に A であるようなものである

一般的に言って、◻∀xAx は ∀x◻Ax と論理的に同値であり、どちらもすべての可能世界におけるすべての x が A であることを意味する(すべての到達可能な可能世界において量化の範囲/議論領域が同じであると仮定する)。しかし、◻∃xAx は、各到達可能な可能世界がそれぞれ A であるような独自の x を持つが、それらは必ずしも同じではないことを意味するのに対し、∃x◻Ax は、すべての到達可能な可能世界において A であるような特別な x が存在することを意味する。

同様に、◊∃xAx は ∃x◊Ax と論理的に同値であり、どちらもある到達可能な可能世界において A であるような x が存在することを意味する。しかし、◊∀xAx は、ある到達可能な可能世界においてすべての x が A であることを意味するのに対し、∀x◊Ax は、量化の範囲/議論領域における各 x について、x が A であるような到達可能な可能世界が存在することを意味するが、ともに A である二つの x を持つ世界が存在しないということが真でありうる。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

  • Burge, Tyler. 1977. Belief de re. Journal of Philosophy 74, 338-362.
  • Donnellan, Keith S. 1966. Reference and definite descriptions. Philosophical Review 75, 281-304.
  • Frege, Gottlob. 1892. Über Sinn und Bedeutung. Zeitschrift für Philosophie und philosophische Kritik 100, 25-50. Translated as On sense and reference by Peter Geach & Max Black, 1970, in Translations from the philosophical writings of Gottlob Frege. Oxford, Blackwell, 56-78.
  • Kaplan, David. 1978. Dthat. In Peter Cole, ed., Syntax and Semantics, vol. 9: Pragmatics. New York: Academic Press, 221-243
  • Kripke, Saul. 1977. Speaker's reference and semantic reference. In Peter A. French, Theodore E. Uehling, Jr., and Howard K. Wettstein, eds., Midwest Studies in Philosophy vol. II: Studies in the philosophy of language. Morris, MN: University of Minnesota, 255-276.
  • Larson, Richard & Gabriel Segal. 1995. Definite descriptions. In Knowledge of meaning: An introduction to semantic theory. Cambridge, MA: MIT Press, 319-359.
  • Ludlow, Peter & Stephen Neale. 1991. Indefinite descriptions: In defense of Russell. Linguistics and Philosophy 14, 171-202.
  • Ostertag, Gary. 1998. Introduction. In Gary Ostertag, ed., Definite descriptions: a reader. Cambridge, MA: MIT Press, 1-34.
  • Russell, Bertrand. 1905. On denoting. Mind 14, 479-493.
  • Wettstein, Howard. 1981. Demonstrative reference and definite descriptions. Philosophical Studies 40, 241-257.
  • Wilson, George M. 1991. Reference and pronominal descriptions. Journal of Philosophy 88, 359-387.

外部リンク

テンプレート:形式意味論

  1. ↑ Semantics Archive discussion
  2. ↑ テンプレート:Cite web
  3. ↑ テンプレート:Cite web
  4. ↑ Salmani Nodoushan, M. A. (2018). "Which view of indirect reports do Persian data corroborate?" International Review of Pragmatics, 10(1), 76-100.