フッ化バナジウム(V)

テンプレート:Chembox フッ化バナジウム(V)(Vanadium pentafluoride)は、化学式VF₅の無機化合物で、既知の唯一のバナジウム五ハロゲン化物である。固体状態では、ポリマーを形成する。室温かつ通常の圧力下では、無色で揮発性のある液体であり、五配位のモノマーからなる。

合成

金属バナジウムのフッ素化により得られる。

$2\mathrm{V}+5\mathrm{F}{\phantom{A}}_2⟶2\mathrm{V}\mathrm{F}{\phantom{A}}_5$

または、フッ化バナジウム(IV)の不均化によって、固体のフッ化バナジウム(III)と揮発性のVF₅が等量生成する。

$2\mathrm{V}\mathrm{F}{\phantom{A}}_4⟶\mathrm{V}\mathrm{F}{\phantom{A}}_3+\mathrm{V}\mathrm{F}{\phantom{A}}_5$

この変換は、650℃で起きる。

性質

他の求電子性のハロゲン化金属と同様に、加水分解されて、まずオキシハロゲンになる。

$\mathrm{V}\mathrm{F}{\phantom{A}}_5+\mathrm{H}{\phantom{A}}_2\mathrm{O}⟶\mathrm{V}\mathrm{O}\mathrm{F}{\phantom{A}}_3+2\mathrm{H}\mathrm{F}$

その後、二元酸化物になる。

$2\mathrm{V}\mathrm{O}\mathrm{F}{\phantom{A}}_3+3\mathrm{H}{\phantom{A}}_2\mathrm{O}⟶\mathrm{V}{\phantom{A}}_2\mathrm{O}{\phantom{A}}_5+6\mathrm{H}\mathrm{F}$

塩基の存在下では、加水分解が加速する。このような加水分解の傾向にもかかわらず、この物質は、アルコールに溶解する。

また、この物質は、ルイス酸である。

$\mathrm{V}\mathrm{F}{\phantom{A}}_5+\mathrm{K}\mathrm{F}⟶\mathrm{K}\mathrm{V}\mathrm{F}{\phantom{A}}_6$

関連文献

• Arnold F. Holleman, Nils Wiberg: Lehrbuch der Anorganischen Chemie, 102. Auflage, de Gruyter, Berlin 2007, S. 1545, ISBN 978-3-11-017770-1.