ベル多項式
組合せ数学におけるベル多項式(ベルたこうしき、テンプレート:Lang-en-short)とは、エリック・テンプル・ベルの名に因む、次の多項式で与えられる三角形配列のことである。
ただしこの和は、
を満たすすべての非負整数の列 テンプレート:Math2 について取られている。
完全ベル多項式
次の和
はしばしば n 次完全ベル多項式と呼ばれる。それらと比較するために、上で定義された多項式 テンプレート:Math はしばしば「部分」ベル多項式と呼ばれる。
完全ベル多項式は次の等式を満たす。
組合せ論的な意味
例
例えば、次が得られる。
なぜならば
- 6 の集合を 5 + 1 に分割する方法は 6 通り
- 6 の集合を 4 + 2 に分割する方法は 15 通り
- 6 の集合を 3 + 3 に分割する方法は 10 通り
だからである。同様に
が得られる。なぜならば
- 6 の集合を 4 + 1 + 1 に分割する方法は 15 通り
- 6 の集合を 3 + 2 + 1 に分割する方法は 60 通り
- 6 の集合を 2 + 2 + 2 に分割する方法は 15 通り
だからである。
性質
スターリング数
ベル多項式 Bテンプレート:Sub(xテンプレート:Sub,xテンプレート:Sub, …) のすべての x が 1 に等しいときの値は、第二種スターリング数である。すなわち
である。
畳み込みの等式
数列 テンプレート:Math に対し、ある種の畳み込みを次のように定める。
- .
ここで直和の上下限は 0 と n ではなく、1 と n− 1 であることに注意されたい。
を次の列の第 n 番目の項とする。
このとき、次が成り立つ。
例えば、 を計算する。このとき
であるため、
となる。
ベル多項式の応用
ファー・ディ・ブルーノの公式
テンプレート:Main ベル多項式を用いることで、テンプレート:仮リンクは次のように書き表すことができる。
同様に、冪級数版のファー・ディ・ブルーノの公式も、ベル多項式を用いて次のように表すことができる。今
とすれば、
となる。特に、完全ベル多項式は、形式的冪級数の指数関数の中に、次のように現れる。
モーメントとキュムラント
次の和
は、初めの n 個のキュムラントが κテンプレート:Sub, …, κテンプレート:Sub であるような確率分布の n 次モーメントである。言い換えると、n 次モーメントとは初めの n 個のキュムラントによって評価される n 次完全ベル多項式である。
二項型の多項式列による表現
任意のスカラー列 aテンプレート:Sub, aテンプレート:Sub, aテンプレート:Sub, … に対し、次を定める。
このとき、この多項式列は二項型多項式列である。すなわち、二項等式
が n ≥ 0 に対して成立する。実際、次の結果が得られる。
- 定理 すべての二項型の多項式列はこの形式で表現できる。
今
とすれば、冪級数を純粋に形式的に取ることで、すべての n に対し
が成り立つ。
ソフトウェア
- ベル多項式、完全ベル多項式および一般化ベル多項式は、Mathematicaにおいては BellY[1] で、Maple においては BellB[2] で、Sage においては bell_polynomial[3] で計算することができる。
脚注
関連項目
参考文献
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite journal (contains also elementary review of the concept Bell-polynomials)
- テンプレート:Cite arxiv
- テンプレート:Cite journal
Faà di Bruno の公式(ファー・ディ・ブルーノの公式)については、たとえば