ボルンの式

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

ボルンの式(ボルンのしき、テンプレート:Lang-en-short)は、イオン溶媒和テンプレート:仮リンク静電成分を示す式である。

ボルンの式は、溶媒を連続した誘電媒体と扱う(連続体溶媒和法と呼ばれる方法の1つ)。

マックス・ボルンが考案した[1][2]

ΔG=NAz2e28πε0r0(11εr)

ここで

導出

静電界分布に蓄えられるエネルギーUは次のように表される。U=12ε0εr|𝐄|2dV

比誘電率εrの媒体中のイオンの電場の大きさは |𝐄|=ze4πε0εrr2 であり、また体積要素 dVdV=4πr2dr, であらわされるため、エネルギーU は次のように表される:U=12ε0εrr0(ze4πε0εrr2)24πr2dr=z2e28πε0εrr0

したがって、イオンが真空(εr =1)から誘電率εr の媒質に溶解する際のエネルギーは次のようになる:ΔGNA=U(εr)U(εr=1)=z2e28πε0r0(11εr)

ここでイオン半径r0結晶イオン半径riを用いたものをボルン式と呼び、実際の溶媒和エネルギーに近づけるために溶媒のさやの厚みrsを加えた溶媒和イオン半径(ri+rs)を用いたものを改良ボルン式と呼ぶ。

アルカリ金属イオンに対する溶媒和イオン半径を表1に示す。この値は溶媒のルイス酸・塩基性(ドナー数)に依存し、ドナー数の大きいものがカチオンに対するrsが大きくなる。ドナー数は溶媒和における共有結合性に関連しており、溶媒和の連続体とみなせない部分の一部を補正する値とみなせる[3]

ボルン式の溶媒和補正項 rs
溶媒 ドナー数 rs / Å εr
ベンゾニトリル 11.9 0.83 25.2
アセトニトリル 14.1 0.82 38.0
スルホラン 14.8 0.80 43.0
プロピレンカーボネート 15.1 0.82 65.1
プロピオニトリル 16.1 0.80 26.1
エチレンカーボネート 16.4 0.86 89.6 (40℃)
アセトン 17.0 0.74 20.7
18.0 0.72 78.5
ジメチルホルムアミド 26.6 0.69 36.7
ジメチルスルホキシド 29.8 0.68 46.4

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク