レスラー方程式

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xy位相平面におけるレスラー・アトラクタの軌道(a = 0.2、b = 0.2、c = 5.7)

レスラー方程式(レスラーほうていしき、Rössler equation)とは、3次元連続時間力学系の一種。次のような自励系の3変数連立常微分方程式で示されるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

{dxdt=yzdydt=x+aydzdt=b+xzcz

ここで、t連続時間独立変数)、xyzt従属変数abc定数(パラメータ)。レスラー系とも呼ばれるテンプレート:Sfn

西ドイツの化学者オットー・レスラーにより、1976年の論文 "An equation for continuous chaos" で最初に提唱されたテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。レスラーは、1963年にアメリカの気象学者エドワード・ローレンツが発表したローレンツ方程式カオスに触発され、ローレンツ方程式をより単純化した方程式からカオスが生み出されることを考察するために導入したテンプレート:Sfn。ローレンツ方程式は気体熱対流計算モデルから方程式を導いたのに対してテンプレート:Sfn、レスラー方程式は実在の物理現象をベースにせずカオスの研究のために作為的に導入されたものであるテンプレート:Sfn

カオスが発生するには、力学系は必ず非線形性を持つ必要がありテンプレート:Sfn、なおかつ連続時間力学系の場合は3変数以上が必要になるテンプレート:Sfn。レスラー方程式の非線形項は第3式目の xz のみとなっており、カオスを発生させる連続時間力学系の中でも非常に単純な非線形しか持たない点が特筆されるテンプレート:Sfn

軌道

3次元空間のレスラー・アトラクタの軌道
分岐図の例。a = 0.2、c = 5.7で固定し、bを変化させていったときの分岐を示す。

レスラー方程式は特定のパラメータの範囲でストレンジアトラクターを持つ。特に、パラメータ a = 0.2、b = 0.2、c = 5.7 はレスラーにより最初に導入されたときのパラメータ値でテンプレート:Sfn、このパラメータ値のときのストレンジアトラクターはレスラー・アトラクタ(Rössler attractor)として良く知られているテンプレート:Sfn。このアトラクタの形は、メビウスの帯のような、リボンを一回ひねって両端を合わせた形になっているテンプレート:Sfn

分岐は、パラメータが3つあるため組合せが複雑だが、周期倍分岐サドルノード分岐などが発生するテンプレート:Sfn。例えば、c = 2.5 では、系のアトラクタはリミットサイクルとなるテンプレート:Sfnac をレスラー・アトラクタの値で固定し、b を変化させていったときの分岐図を右図に示す。図右側の不動点から始まって、周期点の倍加(周期倍分岐)を経て、カオス(赤線で塗り潰された範囲)に至っている。ロジスティック写像と同じように、カオスに至った後にも b を減少させていくと、カオス領域から、サドルノード分岐により窓と呼ばれる周期点の領域の分岐するテンプレート:Sfn

脚注

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参考文献

外部リンク