レヴィ–プロホロフ計量

数学の分野におけるレヴィ–プロホロフ計量（レヴィ–プロホロフけいりょう、テンプレート:Lang-en-short）とは、与えられた距離空間上の確率測度の系の上の計量のことを言う（すなわち、間隔の定義である）。フランスの数学者ポール・レヴィと、ソヴィエトの数学者テンプレート:仮リンクの名にちなむ。レヴィ計量の一般化として、1956年にプロホロフによって導入された。

定義

$(M,d)$ を、ボレル完全加法族 $ℬ(M)$ を備える距離空間とする。可測空間 $(M,ℬ(M))$ 上の全ての確率測度の系を $𝒫(M)$ で表す。

部分集合 $A\subseteq M$ に対し、そのテンプレート:仮リンクを

$A^{\epsilon }:=\{p\in M|\mathrm{\exists }q\in A,d(p,q)<\epsilon \}=\bigcup _{p\in A}{B}_{\epsilon }(p)$

で定義する。ここで $B_{\epsilon }(p)$ は $p$ を中心とする半径 $\epsilon$ の開球とする。

レヴィ–プロホロフ計量 $\pi :𝒫(M{)}^2\to [0,+\mathrm{\infty })$ は、二つの確率測度 $\mu$ と $\nu$ の間の距離を

$\pi (\mu ,\nu ):=\inf \{\epsilon >0|\mu (A)\le \nu (A^{\epsilon })+\epsilon \text{and}\nu (A)\le \mu (A^{\epsilon })+\epsilon \text{for all}A\in ℬ(M)\}$

と定めることによって、定義される。

確率測度に対して $\pi (\mu ,\nu )\le 1$ が成り立つことは明らかである。

人によっては、上述の定義の二つの不等式の内いずれかを省略したり、開あるいは閉のいずれかである $A$ のみを考えることもある。片方の不等式はもう片方を意味するが、開/閉を制限することは計量の定義を変える結果につながる。

性質

• $(M,d)$ が可分であるなら、レヴィ–プロホロフ計量における測度の収束はテンプレート:仮リンクと同値である。したがって、$\pi$ は弱収束の位相の距離化である。
• 距離空間 $(𝒫(M),\pi )$ が可分であるための必要十分条件は $(M,d)$ が可分であることである。
• $(𝒫(M),\pi )$ が完備であるなら $(M,d)$ も完備である。$𝒫(M)$ に含まれる全ての測度が可分な台を持つなら、その逆も成立する。すなわち、$(M,d)$ が完備であるなら $(𝒫(M),\pi )$ も完備となる。
• $(M,d)$ が可分かつ完備であるなら、部分集合 $𝒦\subseteq 𝒫(M)$ が相対コンパクトであることと、その $\pi$-閉包が $\pi$-コンパクトであることは同値である。

関連項目

• レヴィ計量
• ワッサースタイン計量

参考文献

• テンプレート:Cite book
• テンプレート:SpringerEOM