中心 (代数学)

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数学の分野である代数学において、多元環などの中心 (テンプレート:Lang-en-short, テンプレート:Lang-de-short) は考えている構造の部分集合であって、乗法に関してすべての元と交換する元全体からなる。

群の中心

テンプレート:Main G を群とすると、その中心は集合

Z(G):={zGgG:gz=zg}

である。

性質

G の中心は部分群である。なぜならば、xyZ(G) の元とすると、任意の gG に対して、

(xy)g=x(yg)=x(gy)=(xg)y=(gx)y=g(xy)

なので、xy も中心に入る。同様にして、x1 も中心に入る。

x1g=(g1x)1=(xg1)1=gx1.

群の単位元 e は常に中心に入る。eg=g=ge.

中心はアーベル群G正規部分群である。G特性部分群でもある、つまりすべての自己同型で不変である。中心は強特性 (strictly characteristic) でさえある、つまりすべての全射自己準同型で不変である。G がアーベル群であることと Z(G)=G は同値である。

中心はちょうど、z による共役、すなわち (gz1gz) が恒等写像であるような、G の元 z からなる。したがって中心を中心化群の特別な場合としても定義できる。CG(G)=Z(G) である。

(12)(13)=(132)(13)(12)=(123)
(12)(23)=(123)(23)(12)=(132)
(123)(12)=(13)(12)(123)=(23)
(132)(12)=(23)(12)(132)=(13)
  • 二面体群 D4 は正方形が全く動かないような平面の動きからなる。それは正方形の中心を中心とする角度 0°, 90°, 180°, 270°の回転と、2つの対角線および正方形の平行する辺の中点を通る2つの直線による4つの鏡映からなる。この群の中心はちょうど 0°と 180°の2つの回転からなる。
  • 実数を成分に持つ可逆 n×n-行列の乗法群の中心は単位行列の(0 でない)実数倍からなる。

環の中心

R中心は環の元であってすべての元と交換するものからなる。

Z(R)={zRza=az for all aR}.

中心 Z(R)R可換部分環である。環が中心と等しいことと可換であることは同値である。

結合多元環の中心

結合多元環 A中心は可換な部分多元環

Z(A)={zAza=az for all aA}

である。多元環がその中心と等しいことと可換であることは同値である。

リー代数の中心

定義

リー代数 𝔤中心は(可換な)イデアル

𝔷(𝔤)={z𝔤[x,z]=0 for all x𝔤}

である。ただし [,] はブラケット積、つまり 𝔤 の積を表す。リー代数がその中心に等しいことと可換であることは同値である。

Z(GL(n,K))={λEn:λK*}.

参考文献

  • Kurt Meyberg: Algebra - Teil 1. Hanser 1980, ISBN 3-446-13079-9, S. 36

外部リンク