二項級数
数学の特に初等解析学における二項級数(にこうきゅうすう、テンプレート:Lang-en-short)は二項式のテンプレート:読み仮名のマクローリン級数を言う。
定義
具体的に、テンプレート:Mvar を任意の複素数として、函数 テンプレート:Mvar が テンプレート:Math2 で与えられるとき、マクローリン展開 テンプレート:Numblk の右辺に現れる冪級数を二項級数と言う。ここで、上の式は一般二項係数
が用いられている。
- 冪指数 テンプレート:Mvar が自然数 テンプレート:Mvar のときは、上記の級数の テンプレート:Math2 番目以降の項はすべて零になる(明らかに、各項の因子に テンプレート:Math2 が現れる)から、このとき級数は有限和であって、代数的な二項定理が導出される。
- 任意の複素数 テンプレート:Mvar に対して、二項級数を
なる形に書くことができるが、これは特に テンプレート:EquationNote において負の整数冪を扱う際に有用である。この式自体は テンプレート:EquationNote において テンプレート:Math2 を代入して、二項係数の等式 を適用すれば導出される。
収束性
級数 テンプレート:EquationNote の収束は冪指数 テンプレート:Mvar と変数 テンプレート:Mvar の値に依存する。より具体的に、 テンプレート:Ordered list
いま テンプレート:Mvar は非負整数ではないとし、テンプレート:Math の場合を考えると、上で述べたことから次のことが追加で言える:
- テンプレート:Math ならば絶対収束する。
- テンプレート:Math ならば、テンプレート:Math では条件収束し、テンプレート:Math では発散する。
- テンプレート:Math ならば発散する。
二項級数の和の計算について通常の論法は以下のようにする: 二項級数を収束円板 テンプレート:Math 内で項別微分して式 テンプレート:EquationNote を用いれば、この級数の和が常微分方程式 テンプレート:Math を初期値 テンプレート:Math のもとで解いた解析函数解であることが知れる。この初期値問題の唯一の解は テンプレート:Math であり、それはつまり(少なくとも テンプレート:Math において)二項級数の和である。級数が収束する限りにおいて、この等式を テンプレート:Math にまで延長できることは、アーベルの連続性定理を テンプレート:Math の連続性に基づいて適用した帰結である。
歴史
自然数冪以外の二項級数に関する結果が初めて得られたのは、アイザック・ニュートンによる、ある種の曲線の下に囲われる面積の研究においてであった。この結果を テンプレート:Mvar が有理数であるところの テンプレート:Math2 の形の式として利用して、ジョン・ウォリスは(現代的な記法で書けば)後続する テンプレート:Math の係数列 テンプレート:Mvar は先行する係数に(自然数冪のときと同様に)テンプレート:Math を掛けることで求められることを発見した。これは二項係数に関する公式を陰伏的に与えたに等しい。ウォリスは以下の実例を陽に記しているテンプレート:Sfn
それゆえに、二項級数はニュートンの(一般)二項定理とも呼ばれる。のちにニールス・アーベルは1826年に『クレレ誌』に掲載された論文においてこの主題を取り上げ、特筆すべき収束問題として扱っているテンプレート:Sfn。
関連項目
- 二項定理:ニュートンの一般二項定理
- テンプレート:仮リンク