区分行列

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区分行列(くぶんぎょうれつ)もしくはブロック行列 (block matrix) とは、いくつかの長方形のブロックに「区分け」された行列である。

区分け

例えば、4つの行列

A=[215141812],B=[361341],C=[426],D=[91]

を並べてできる 4 × 5 行列

[ABCD]=[21536141138124142691]

を、A, B, C, Dブロックとする区分行列と呼ぶ。ブロックは小行列とも呼ばれる。行列をブロックに分けることを区分けという。

一般の区分けでは、行や列をそれぞれいくつに分割してもよい。Aij たちをブロックとする区分行列

[A11A12A1qA21A22A2qAp1Ap2Apq]

が区分けの一般的な形である。ただし、同じ行にあるブロックの行数は等しくなければならず、同じ列にあるブロックの列数は等しくなければならない。Ai jmi × nj 行列である場合、この形の区分けを (m1, …, mq; n1, …, nr) 型と呼ぶ。

区分行列の積

ふたつの区分行列

A=[A11A12A1qA21A22A2qAp1Ap2Apq],B=[B11B12B1rB21B22B2rBq1Bq2Bqr]

の区分けがそれぞれ (l1, …, lp; m1, …, mq) 型、(m1, …, mq; n1, …, nr) 型であるとき、その積 AB の (l1, …, lp; n1, …, nr) 型の区分け

AB=[C11C12C1rC21C22C2rCp1Cp2Cpr]

の各ブロックは

Cij=k=1qAikBkj

で与えられる。すなわち、区分行列の積は(適切に区分けされていれば)各ブロックをあたかも行列の成分のように見なして計算できる。

対称区分け

正方行列 P の区分け

P=[A11A12A1rA21A22A2rAr1Ar2Arr]

において、主対角線上のブロック A1 1, A2 2, … Ar r がすべて正方行列であるとき、これを対称区分けという。特に、主対角線より下のブロックが全て零行列である場合、その行列式について

|P|=k=1r|Akk|

が成り立つ。よって、そのような P正則であるための必要十分条件は、主対角線上のブロックが全て正則であることである。

2 × 2 の区分行列の逆行列

本節では、A正則行列D正方行列とし、区分行列

P=[ABCD]

逆行列を与える。

まず、行列式について、

|P|=|A||DCA1B|

が成り立つ。よって、P が正則であるための必要十分条件は、DCA−1B も正則であることであり、このとき逆行列は

[ABCD]1=[A1+A1B(DCA1B)1CA1A1B(DCA1B)1(DCA1B)1CA1(DCA1B)1]

で与えられる。D も正則な場合は

[ABCD]1=[(ABD1C)1A1B(DCA1B)1(DCA1B)1CA1(DCA1B)1]

と表される。さらに C が零行列 O に等しい場合は

[ABOD]1=[A1A1BD1OD1]

となる。

参考文献

テンプレート:参照方法

  • 『数学入門辞典』岩波書店、2005年、ISBN 978-4000802093

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