半線型写像

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テンプレート:No footnotes 数学線型代数学あるいは特に射影幾何学における半線型写像(はんせんけいしゃぞう、テンプレート:Lang-en-short; 半線型変換)は、ベクトル空間の間の写像であって、「体の自己同型でひねる違いを除いて線型写像となっているようなものを言う(故に「半」線型)。

具体的に、 テンプレート:Mvar 上の体の自己同型 テンプレート:Mvar を一つ固定して(テンプレート:Math)、テンプレート:Mvar 上のベクトル空間 テンプレート:Mvar の間の写像 テンプレート:Math

  • ベクトルの加法に関して分配的: T(v+v)=T(v)+T(v) で、
  • スカラー倍に関しては捻られた関係式: T(λv)=λθT(v)

を満たすとき テンプレート:Mvar は半線型、特に固定した テンプレート:Mvar についての半双線型性であるから テンプレート:Mvar-半双線型であるという。可逆な半線型写像の(体の同型全てに亘る)全体は一般半線型群と呼ばれる群を成し、テンプレート:Math と書かれる。これは一般線型群 テンプレート:Math の類似であり、かつその拡大である。

(GL の G を対応する Γ で置き換えて ΓL としたように)行列群の頭のラテン文字をギリシャ文字で置き換える同様の記法が、ほかの種類の行列群線型代数群)の類似となる半線型群(厳密には行列群と体の同型の成すガロワ群との半直積)に対しても同様に用いられる。また例えば、行列群から作られる射影行列群の一種であるテンプレート:仮リンク テンプレート:Math に対応する半線型群は テンプレート:Math で表される。しかし、これらの一般化された半線型群は必ずしもうまく定義されるとは限らないことに注意すべきである。テンプレート:Harvtxt によれば、同型な古典群 テンプレート:Mathに対して、同型でない半線型拡大が存在し得る。半直積のレベルで言えば、これはガロワ群の与えられた抽象群に対する作用の仕方が異なるということに対応する。拡大が一意でないならば、半線型拡大はちょうど二種類存在する。例えば、対称群の半線型拡大は一意に定まるが、テンプレート:Mathテンプレート:Mvar が偶数で テンプレート:Mvar が奇数のとき、テンプレート:Math と同じように二種類の半線型拡大を持つ。

定義

以下、体 テンプレート:Mvar に対してその素体テンプレート:Mvar で表す。例えば、テンプレート:Mvar複素数テンプレート:Math のとき、その素体 テンプレート:Mvar有理数テンプレート:Math であり、また テンプレート:Mvar が素冪位数 テンプレート:Math有限体 テンプレート:Math のとき、素体 テンプレート:Math は素数位数 テンプレート:Math の有限体 テンプレート:Math である。

テンプレート:Mvar 上の体自己同型(素体 テンプレート:Mvar を固定する環自己同型)テンプレート:Mvar が与えられたとき、テンプレート:Mvar 上のベクトル空間 テンプレート:Math の間の写像 テンプレート:Math テンプレート:Mvar-半線型あるいは単に半線型であるとは、任意の テンプレート:Math および任意の テンプレート:Math が条件

を満足するときに言う。ただし、テンプレート:Math はスカラー テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar によるである。

ここで、単に加法的な写像 テンプレート:Mvar が与えられたとき、テンプレート:Mvar が加法性を保ったまま、テンプレート:Mvar-斉次性の条件を満足するようにしようと思えば、テンプレート:Mvar は体の同型でなければならないことに注意すべきである。実際、テンプレート:Mvar が素体 テンプレート:Mvar の元を動かさないものでなければならないことは、(テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の単位元で生成される部分体であるから)加法性により

nθf(x)=f(nx)=f(x++x)=nf(x)

が成り立つことから従う。同様にして、テンプレート:Mvar の加法と乗法についても加法性によって

(l1+l2)θf(x)=f((l1+l2)x)=f(l1x)+f(l2x)=(l1θ+l2θ)f(x)(l1l2)θf(x)=f(l1l2x)=l1θf(l2x)=(l1θl2θ)f(x)

が成り立つことから従う。

任意の線型写像は半線型だが、逆は一般には成り立たない。ただし、(テンプレート:Mvar を素体 テンプレート:Mvar 上のベクトル空間と見ることにより)テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の素体 テンプレート:Mvar 上のベクトル空間と見做せば、任意の テンプレート:Mvar-半線型写像は テンプレート:Mvar-線型写像になる。

実際には任意の線型写像からこのような方法によって半線型写像を作ることができる。これはこの後に述べる一般に成り立つ事実の一部である。

一般半線型群

与えられたベクトル空間 テンプレート:Mvar に対し、その可逆な半線型写像の(体自己同型全てに亘る)全体の成す集合は、一般半線型群 テンプレート:Math を成す。

テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 上のベクトル空間で、テンプレート:Mvar の素体を テンプレート:Mvar とするとき、一般半線型群 テンプレート:Math半直積

ΓL(V)=GL(V)Gal(K/k)

に分解される。ここで テンプレート:Math体の拡大 テンプレート:Mathガロワ群である。同様に、半線型写像の成す他の線型群もガロワ群のと半直積として、あるいはより内在的にベクトル空間の間のある性質を保存する半線型写像全体の成す群として、定義することができる。

テンプレート:Mvar の基底 テンプレート:Mvar を一つ固定して、ガロワ群 テンプレート:Math を、任意の テンプレート:Math に対して

bBlbbbBlbσb

で定義される半線型写像全体の成す テンプレート:Math の部分群と同一視する。同一視した部分群を テンプレート:Math と書くとき、これらの成分は テンプレート:Math において テンプレート:Math に対して、テンプレート:Math基底変換としての テンプレート:Math として正則に作用する。

上記のことを確かめよう。任意の線型写像は半線型ゆえ テンプレート:Math である。テンプレート:Mvar の基底 テンプレート:Mvar を固定して、体の自己同型 テンプレート:Math に関する任意の半線型写像 テンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Math

g(bBlbb):=bBf(lbσ1b)=bBlbf(b)

で定義する。テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の基底を成すから、これは テンプレート:Mvar が単に テンプレート:Mvar の基底変換となることを意味し、従って線型かつ可逆的、すなわち テンプレート:Math

ここで テンプレート:Math と置くと、テンプレート:Mvar の任意の元 テンプレート:Math に対し

hv=fg1v=bBlbσb

となるから、テンプレート:Mvar は固定された基底 テンプレート:Mvar に関する部分群としての テンプレート:Math に属する。この分解 テンプレート:Math は固定された基底 テンプレート:Mvar に対して一意的である。さらに テンプレート:Mathテンプレート:Math の作用によって正規化されるから、

ΓL(V)=GL(V)Gal(K/k)

となることが言える。

応用

射影幾何学

一般半線型群 テンプレート:Math は典型的なテンプレート:仮リンク テンプレート:Math の拡張である。このような写像を考えることの重要性は射影幾何学の研究からも生じてくる。一般線型群 テンプレート:Math の(テンプレート:Mvar に付随する)射影ベクトル空間 テンプレート:Math の上に誘導される作用は、射影一般半線型群 テンプレート:Math を成し、これは射影一般線型群 テンプレート:Math を拡張するものである。

ベクトル空間 テンプレート:Mvar 上の射影幾何 テンプレート:Math とは、テンプレート:Mvar の部分空間全体の成すを言う。典型的な半線型写像は線型ではないけれども、任意の半線型写像 テンプレート:Math は順序を保つ写像 テンプレート:Math を誘導する。つまり、任意の半線型写像は射影変換 を誘導する。(射影直線を除いて)このことの逆は、テンプレート:仮リンクである。以上から、半線型写像がベクトル空間の射影幾何上の自己同型群を定義するという意味において、これらは射影幾何学において有用である。

マシュー群

テンプレート:Main 射影一般半線型群 テンプレート:Mathテンプレート:仮リンク の一つであるマシュー群 テンプレート:Math の構成にも利用できる。すなわち、テンプレート:Mathテンプレート:Math の極大部分群であり、またこれをマシュー群全体に拡大する方法はいくつか存在する。

参考文献

  • Gruenberg, K. W. and Weir, A.J. Linear Geometry 2nd Ed. (English) Graduate Texts in Mathematics. 49. New York – Heidelberg – Berlin: Springer-Verlag. X, 198 pp. (1977).
  • テンプレート:Citation

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外部リンク