双対基底

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数学線型代数学において、 テンプレート:Mvar 上のベクトル空間 テンプレート:Mvar とその基底 テンプレート:Math が与えられたとき、その双対集合(そうついしゅうごう、テンプレート:Lang-en-short)とは、(代数的)双対空間テンプレート:Math 内のベクトルの集合 テンプレート:Math で、テンプレート:Mathテンプレート:Math二重直交系を構成するもののことを言う。これは テンプレート:Mvarクロネッカーのデルタを表すとき

vi(vj)=δij(i,jI)

を満たすことを指す。双対集合 テンプレート:Math は常に線型独立であるが、テンプレート:Math張るのは テンプレート:Math が有限次元であるとき、かつそのときに限る。双対集合 テンプレート:Mathテンプレート:Math を張るとき、テンプレート:Math は基底 テンプレート:Math に対する双対基底(そうついきてい、テンプレート:Lang-en-short)と呼ばれる。

導入

ベクトルの演算を実行するにはその成分が必要となる。デカルト座標系において、ベクトルの成分を取り出すのに必要なのは標準基底ドット積であるテンプレート:Sfn。たとえば3次元空間のベクトル

𝒂=ax𝒊+ay𝒋+az𝒌

を考える(右図)。ここで テンプレート:Math はデカルト座標系における標準基底を表す。このときベクトル テンプレート:Mvar の各成分は

ax=𝒂𝒊,ay=𝒂𝒋,az=𝒂𝒌

のように取り出すことができる。そうすると、より抽象的に各成分を取り出す写像

𝒊*(𝒂)=𝒂𝒊,𝒋*(𝒂)=𝒂𝒋,𝒌*(𝒂)=𝒂𝒌

が考えたくなる。これにより、たとえば

𝒂=𝒊*(𝒂)𝒊+𝒋*(𝒂)𝒋+𝒌*(𝒂)𝒌

などと書けるようになる。この テンプレート:Math が標準基底 テンプレート:Math の双対基底である。

例えば、テンプレート:Mathデカルト平面)の標準基底ベクトル

{𝒆1,𝒆2}={(10),(01)}

であり、その双対空間 テンプレート:Math の標準基底ベクトルは

{𝒆1,𝒆2}={(10),(01)}

である。

三次元ユークリッド空間において、基底 テンプレート:Math が与えられたとき、その二重直交(双対)基底 テンプレート:Math は次の式によって得ることが出来る:

𝒆1=(𝒆2×𝒆3V),𝐞2=(𝒆3×𝒆1V),𝒆3=(𝒆1×𝒆2V)

ここで テンプレート:Math転置を表し、

V=(𝒆1;𝒆2;𝒆3)=𝒆1(𝒆2×𝒆3)=𝒆2(𝒆3×𝒆1)=𝒆3(𝒆1×𝒆2)

は基底ベクトル テンプレート:Math によって構成される平行六面体の体積である。

存在と一意性

双対集合は常に存在し、テンプレート:Math から テンプレート:Math への単射、すなわち、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar へ送る線形写像を与える。これは特に、双対空間 テンプレート:Math の次元は テンプレート:Math の次元以上であることを意味するテンプレート:Sfn

しかしながら、無限次元の テンプレート:Math に対して双対集合 テンプレート:Mathテンプレート:Math を張らない。例えば、すべての テンプレート:Math に対して テンプレート:Math で定義される線型汎関数 テンプレート:Math を考える。これは明らかに、すべての テンプレート:Mvar 上でゼロでない。もし テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の(有限)線型結合ならば——すなわち、テンプレート:Mvar のある有限部分集合 テンプレート:Mvar とスカラー テンプレート:Mvar によって iKαivi と表せるならば—— テンプレート:Mvar に含まれない任意の テンプレート:Mvar に対して f(vj)=(iKαivi)(vj)=0 が成立するが、これは テンプレート:Mvar の定義に矛盾する。したがって テンプレート:Mvar は双対集合 テンプレート:Mvar線型包に属さない。

無限次元空間の双対は、もとの空間よりもより高い次元(高次無限濃度)を持ち、したがって同一の添字集合を備えるような双対空間の基底は存在しない。しかしながら、ベクトルの双対集合は存在し、それはもとの空間と同型であるようなその双対空間の部分空間を定義する。さらに、線型位相空間に対し、連続的双対空間を定義することが出来、そのような場合には双対基底は存在し得る。

有限次元ベクトル空間

有限次元ベクトル空間の場合、双対集合は常に双対基底であり、各基底に対して一意的である。それらの基底を テンプレート:Math および テンプレート:Math と表す。ベクトル テンプレート:Mvar余ベクトル テンプレート:Mvar による評価をペアリング テンプレート:Math で表すとき、二重直交性の条件は次のようになる:

𝒆i,𝒆j=δij

このことは、「ベクトルのペアリング」を「対応する余ベクトルによる評価」と定義することによって、ドット積(内積)を定義することに繋がる。基底ベクトルに対して、これは テンプレート:Math を意味し、基底ベクトルは テンプレート:Math を満たす。

ここで、前述のデルタの上付き添字と下付き添字の記号は、通常、余ベクトルを使っているものとベクトルあるいは二つのベクトルを符合させるために変化するものである。形式的に言えば、テンプレート:Mvar は反変計量テンソルテンプレート:Mvar は共変計量テンソルと見なされ、これはテンプレート:仮リンク の最も簡単な例である。

ある双対基底と基底の組合せは、テンプレート:Math の基底の空間から テンプレート:Math の基底の空間への写像を与え、これはまた同型でもある。実数のような位相体に対して、双対の空間は位相空間であり、これはそれらの空間の基底のテンプレート:仮リンクの間の位相同型を与える。

有限次元においては、二重直交性の条件は双対の各元に対し テンプレート:Mvar 個の線型独立条件を課すことが代替的に分かる(なぜならば、テンプレート:Mvar 個の基底ベクトルが存在し、それらは線型独立であるからである)。したがって、双対空間の次元は テンプレート:Mvar であることにより、その双対集合の各元は一意的に定められる。

ある テンプレート:Math 次元ベクトル空間 テンプレート:Math 上の双対ベクトルの作用については、テンプレート:Math の元を テンプレート:Math の列ベクトルと見なし、双対空間 テンプレート:Math の元を 左テンプレート:仮リンクによる線型汎関数として作用する テンプレート:Math の行ベクトルと見なすことで分かる。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:Refbegin

テンプレート:Refend

関連項目

テンプレート:Linear algebra