双曲型トーラス自己同型写像

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力学系理論における双曲型トーラス自己同型写像(そうきょくがたトーラスじこどうけいしゃぞう、テンプレート:Lang-en-short)あるいはトーラス上の双曲型自己同型写像は、ユークリッド空間上の双曲型線型写像から誘導されるトーラス上の自己同型写像であるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnアノソフ系の代表的な例であり、力学系の中でも重要な対象でもあるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。ユークリッド空間上の線型写像が単純な振る舞いしか示さないのに対して、トーラス上の双曲型自己同型写像は非常に豊かな構造を有するテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

定義

正方形の上辺と下辺と同一視し、右辺と左辺を同一視することで、2次元トーラスを構成できる

まず、テンプレート:Math次元トーラス テンプレート:Math を導入する。幾何学的には、 テンプレート:Math は、平面上の正方形 テンプレート:Math の上辺と下辺と同一視し、さらに右辺と左辺を同一視して構成できるテンプレート:Sfn。代数的には、実数の組 テンプレート:Mathテンプレート:Math に対して テンプレート:Mathテンプレート:Math整数のときに テンプレート:Math であるという同値関係 テンプレート:Math を定義したときの同値類全体が2次元トーラスでもあるテンプレート:Sfn

次に テンプレート:Math 上の点を テンプレート:Math 上の点に写す自然な射影 テンプレート:Math を導入するテンプレート:Sfnテンプレート:Math2 の同値類を テンプレート:Math で表すと、 テンプレート:Math

π(x)=[x]

という連続写像であるテンプレート:Sfn。ここで テンプレート:Mtop転置の記号で、テンプレート:Mvar列ベクトルとする。

そして、平面 テンプレート:Math 上の線型写像 テンプレート:Math を導入するテンプレート:Sfn。すなわち、テンプレート:Math は平面上の点 テンプレート:Mvar変数として テンプレート:Math の定数係数行列 テンプレート:Mvar によって

LA(𝒙)=A𝒙=(a11a12a21a22)(xy)

と定義されるテンプレート:Sfn

ここで、テンプレート:Mvar成分が全て整数だとすると、テンプレート:Mvarテンプレート:Mathテンプレート:Math に写すテンプレート:Sfn。すなわち、テンプレート:Math が成り立つテンプレート:Sfn。したがって、テンプレート:Math としたときに、 A(xy)A(x+ny+m) をそれぞれ テンプレート:Math でトーラス上に射影した点は、 πA(xy)=πA(x+ny+m) という関係が成り立つテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。そのため整数係数行列 テンプレート:Mvar を持つ平面上の写像 テンプレート:Mvar により、テンプレート:Math で定義されるトーラス上の写像 テンプレート:Math が矛盾なく導入できるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

写像 テンプレート:Mvarヤコビ行列テンプレート:Mvar であるような微分可能な写像であるテンプレート:Sfn。さらに、整数係数行列 テンプレート:Mvar行列式テンプレート:Math であるとすれば、テンプレート:Mvar逆行列を持ち、その逆行列 テンプレート:Math も整数行列となるテンプレート:Sfnテンプレート:Math 行列 テンプレート:Mvar の場合、この条件は テンプレート:Math という条件となるテンプレート:Sfnテンプレート:Math による テンプレート:Mvar逆写像は、テンプレート:Math であり、テンプレート:Math によっても上記と同様にトーラス上の写像を導入できるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。よって、テンプレート:Mvar が整数行列でなおかつ テンプレート:Math であれば、写像 テンプレート:Mvar可微分同相写像であるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

テンプレート:Math および テンプレート:Math加法 テンプレート:Math2 によってリー群の構造を持つテンプレート:Sfn。トーラスから自分自身への写像 テンプレート:Math は、テンプレート:Math という性質を持ち、なおかつ同相写像であることから、テンプレート:Mvarテンプレート:Math のリー群としての自己同型写像を成すテンプレート:Sfn。このような テンプレート:Mvar をトーラス自己同型テンプレート:Sfn、トーラス自己同型写像テンプレート:Sfn、トーラス上の自己同型写像テンプレート:Sfnなどと呼ぶ。

テンプレート:Math 上の線型写像が絶対値 1 の固有値を持たないとき、その線型写像あるいは係数行列 テンプレート:Mvar は双曲型であるというテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。すなわち、係数行列 テンプレート:Mvar の全ての固有値の絶対値が 1 ではないときに双曲型であるテンプレート:Sfnテンプレート:Math 行列 テンプレート:Mvar の場合、固有値は固有方程式 テンプレート:Math の解 テンプレート:Math より求められるテンプレート:Sfnテンプレート:Mvar が双曲型であるようなトーラス自己同型写像 テンプレート:Mvar を、双曲型トーラス自己同型テンプレート:Sfn、双曲型トーラス自己同型写像テンプレート:Sfn、トーラス上の双曲型自己同型写像テンプレート:Sfnなどと呼ぶ。

以上はテンプレート:Mathトーラス上での導入だが、一般の テンプレート:Mvar 次元トーラス テンプレート:Math 上の双曲型自己同型写像を同様に定義することもできるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

振る舞い

ユークリッド空間上の線型写像が示す振る舞いは単純な構造であるのに対し、それから誘導される双曲型トーラス自己同型写像の構造は非常に豊かであるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnテンプレート:Mvar は以下のような性質を持つ。

出典

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参照文献