塩化ウラン(VI)

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テンプレート:Chembox 塩化ウラン(VI)または六塩化ウランは化学式 UCl6 で表されるウラン塩素化合物で、ウランの酸化数は +6である[1][2]。暗緑色の結晶性固体で、複数の波長で蛍光する。蒸気圧は100 ℃(373.15 K)で1 - 3 mmHg である[3]。塩化ウラン(VI)は室温では真空中や乾燥空気、窒素ヘリウム雰囲気中で安定である。四塩化炭素に溶ける。他のハロゲン化ウランに比べると、多少はよく知られている。

構造

塩化ウラン(VI)は点群 Oh に属する八面体構造をとる。 結晶格子のサイズは 10.95 ± 0.02Å × 6.03 ± 0.01Å で単位胞あたり3つの分子が六角形をなしている。U-Cl 間の結合長は理論的には 2.472Å であるが、X線結晶構造解析による実測値としては2.42Å が得られている[4]。隣接する塩素原子間の距離は 3.65Å である。

性質

塩化ウラン(VI)は吸湿性が高く、空気中では速やかに分解する[5]。このため、真空中か乾燥空気中で取り扱わなければならない。

熱分解

塩化ウラン(VI)は120 - 150 ℃までは安定である。塩化ウラン(VI)の固体は別の構造に転移する[6]。一方、塩化ウラン(VI)の気体は熱分解で固体の塩化ウラン(V)に変化する。この反応の活性化エネルギーは約40 kcal/mol である。

2UClA6(g)2UClA5(s) +ClA2(g)

溶解度

塩化ウラン(VI)は溶媒への溶解度があまり高くない。四塩化炭素には溶けて褐色の溶液となる。臭化イソブチルやフロン (C7F16) にはわずかに溶ける[6]

溶媒 温度 (oC) 溶解度(溶媒100 g に対する UCl6 の溶解量)
四塩化炭素 - 2.64
四塩化炭素 0 4.9
四塩化炭素 20 7.8
6.6% 塩素:93.4% 四塩化炭素 - 2.4
12.5% 塩素:87.5% 四塩化炭素 - 2.23
12.5% 塩素:87.5% 四塩化炭素 0 3.98
液体塩素 - 2.20
クロロメタン - 1.16
ベンゼン 80 不溶
フロン113 45 1.83

フッ化水素との反応

塩化ウラン(VI)は無水フッ化水素酸 (HF) と室温で反応してフッ化ウラン(V)を生じる[6]

2UClA6 +10HF2UFA5 +10HCl +ClA2

合成

塩化ウラン(VI)は四塩化炭素中で酸化ウラン(VI)(UO3) と熱した塩素を反応させることで得られる。この反応の収率は塩化ウラン(V)が存在すると高くなる[3]。酸化ウラン(VI)はまず塩化ウラン(V)となり、さらに塩素と反応して塩化ウラン(VI)となる。反応物の量にもよるが、 温度を65 - 170 ℃(理想的には 100 - 125 ℃)の範囲とすると反応が進む。反応に伴って圧力が変化するため、グローブボックスなどの気密容器中で反応させる。

第1段階: 2UOA3 +5ClA22UClA5 +3OA2
第2段階: 2UClA5 +ClA22UClA6
全体: 2UOA3 +6ClA22UClA6 +3OA2

また、塩化ウラン(IV)に350 ℃で塩素を反応させても得られる[7]

第1段階: 2UClA4 +ClA22UClA5
第2段階: 2UClA5 +ClA22UClA6
全体: UClA4 +ClA2UClA6

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:ウランの化合物