多重ガンマ関数

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数学における多重ガンマ関数(たじゅうガンマかんすう、テンプレート:Lang-en-shortΓN はオイラーのガンマ関数バーンズのG函数の一般化である。二重ガンマ関数は テンプレート:Harvtxt において導入された。同論文の締めくくりにおいて多重ガンマ関数の存在性が示唆され、実際に テンプレート:Harvtxt においてさらなる研究が行われた。

二重ガンマ関数 Γ2テンプレート:仮リンクと、三重ガンマ関数 Γ3テンプレート:仮リンクとそれぞれ密接な関係がある。

定義

ai>0 において、

ΓN(w|a1,...,aN)=exp(sζN(s,w|a1,...,aN)|s=0)

として多重ガンマ関数を定める。ここで ζNバーンズのゼータ函数である(バーンズによるオリジナルの定義からは定数倍のズレが有る)。

性質

w の有理型関数として見たとき、 ΓN(w|a1,...,aN) は零点を持たず、 w=i=1Nniai に一位の極を持つ(ここで ni は非負整数)。exp(多項式)という因子を除いて、ΓN(w|a1,...,aN) はこれら有限位数の零点と極を持つ唯一の有理型関数である。

N=0,1 での例を挙げる:

  • Γ0(w|)=1w ,
  • Γ1(w|a)=aa1w122πΓ(a1w) ,

以下は多重ガンマ関数の周期性と呼ばれる性質であり、通常のガンマ関数における関係式 Γ(x+1)=xΓ(x) の一般化であるといえる。

  • ΓN(w|a1,...,aN)=ΓN1(w|a1,...,aN1)ΓN(w+aN|a1,...,aN) .

無限積表示

多重ガンマ関数はヴァイエルシュトラス型の無限積表示を持ち、有理型関数である様子がはっきりと見て取れる。また、この表示からは極のありかも一目瞭然である。 二重ガンマ関数の場合は以下のようになる: [1]

Γ2(w|a1,a2)=eλ1w+λ2w2w(n1,n2)2(n1,n2)(0,0)ewn1a1+n2a212w2(n1a1+n2a2)21+wn1a1+n2a2 ,

ここで、λ1,λ2w と独立な係数

λ1=Res0s=1ζ2(s,0|a1,a2) ,
λ2=12Res0s=2ζ2(s,0|a1,a2)+12Res1s=2ζ2(s,0|a1,a2) ,

であり、 Resns=s0f(s)=12πis0(ss0)n1f(s)dss0 における位数 n の留数である。

また、上記のものとは別に新谷型と呼ばれる無限積表示も テンプレート:Harvtxt において発見されている。

漸近表示

通常のガンマ関数におけるスターリングの公式の類似として、多重ガンマ関数にも漸近表示が存在する:

logΓr(w+a,ω)=n=0r(1)nrS1(rn+1)(a;ω)(w)rn(rn)!(Hrnlogw)(1)rrS2(a;ω)2w+O(w2).

この表示は テンプレート:Harvtxt において示された。

一般正規多重ガンマ関数

多重ガンマ関数の定義は所謂ゼータ函数正規化の発想によるものである。ミルナーの深い正規積を用いて多重ガンマ関数を一般化したものを一般正規多重ガンマ関数という:

ΓN,k(w|a1,...,aN)=exp(sζN(s,w|a1,...,aN)|s=k)

一般正規多重ガンマ関数に対しては、オイラー=ルジャンドルの倍角公式およびラーベの公式の一般化が発見されている。

二重ガンマ関数と共形場理論

b>0,Q=b+b1 において、函数

Γb(w)=Γ2(w|b,b1)Γ2(Q2|b,b1) ,

は変換 bb1 のもとで不変であり、関係式

Γb(w+b)=2πbbw12Γ(bw)Γb(w),Γb(w+b1)=2πbb1w+12Γ(b1w)Γb(w) .

を満たす。また、w>0 において積分表示

logΓb(w)=0dtt[ewteQ2t(1ebt)(1eb1t)(Q2w)22etQ2wt] .

を満たす。Γb(w) から二つの関数を構成する:

Sb(w)=Γb(w)Γb(Qw),Υb(w)=1Γb(w)Γb(Qw) .

これは関係式

Sb(w+b)=2sin(πbw)Sb(w),Υb(w+b)=Γ(bw)Γ(1bw)b12bwΥb(w) ,

とこれらを bb1 とした別の関係式を満たす。また、0<w<Q における積分表示も存在する:

logSb(w)=0dtt[sinh(Q2w)t2sinh(12bt)sinh(12b1t)Q2wt] ,
logΥb(w)=0dtt[(Q2w)2etsinh212(Q2w)tsinh(12bt)sinh(12b1t)] .

函数 Γb,Sb,Υb二次元共形場理論の相関関数にあらわれ、パラメータ bヴィラソロ代数中心電荷と関係している[2]。とくに、リウヴィル場理論 における3点相関関数は Υb で書ける。

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

関連文献