強圧的函数

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

数学において強圧的函数(きょうあつてきかんすう、テンプレート:Lang-en-short)とは、それが定義されている空間の極限において「急速に成長する」函数である。文脈によって異なる定義が存在する。

強圧的ベクトル場

ベクトル場 f : RnRn強圧的(coercive)であるとは、

f(x)xx+ as x+,

が成り立つことをいう。ここで "" は通常のドット積で、x はベクトル x の通常のユークリッドノルムである。

コーシー=シュワルツの不等式より、xn{0} に対して f(x)(f(x)x)/x が成り立つことから、強圧的ベクトル場は特にノルム強圧的でもある。しかし、ノルム強圧的な写像 f : RnRn は必ずしも強圧的ベクトル場ではない。例えば、90° の回転 f : R2R2, f(x) = (-x2, x1) はノルム強圧的であるが、すべての x2 に対して f(x)x=0 であるため、強圧的ベクトル場ではない。

強圧的な作用素と形式

H を実ヒルベルト空間とするとき、自己共役作用素 A:HH強圧的(coercive)であるとは、ある定数 c>0 が存在して

Ax,xcx2

H 内のすべての x に対して成り立つことをいう。

双線型形式 a:H×H強圧的であるとは、ある定数 c>0 が存在して

a(x,x)cx2

H 内のすべての x に対して成り立つことをいう。

リースの表現定理より、任意の対称(H 内のすべての x,y に対して a(x,y)=a(y,x))、連続(H 内のすべての x,y とある定数 k>0 に対して |a(x,y)|kxy)かつ強圧的な双線型形式 a は、ある自己共役作用素 A:HH に対して次の表現を持つことが従う:

a(x,y)=Ax,y.

この作用素 A は強圧的作用素であることが分かる。また逆に、強圧的な自己共役作用素 A が与えられたとき、上式で定義される双線型形式 a は強圧的である。

任意の自己共役作用素 A:HH が強圧的作用素であるための必要十分条件は、それが(ドット積をより一般の内積に置き換える必要があるが、ベクトル場の強圧性の意味において)強圧的な写像であることである。ベクトル場、作用素および双線型形式に対する強圧性の定義は、密接に関連しており、互いに矛盾しないものである。

ノルム強圧的写像

二つのノルムベクトル空間 (X,)(X,) の間の写像 f:XXノルム強圧的(norm-coercive)であるとは

f(x)+ as x+

が成立することをいう。より一般に、二つの位相空間 XX の間の函数 f:XX強圧的であるとは、X のすべてのコンパクト部分集合 K に対して、X のあるコンパクト部分集合 K が存在して、次が成り立つことをいう。

f(XK)XK.

強圧的写像に対応する全単射固有写像合成は、強圧的である。

(拡大実数値)強圧的函数

(拡大実数値)函数

f:n{,+}

強圧的であるとは、次が成り立つことをいう。

f(x)+ as x+.

実数値強圧的函数 f:n は特にノルム強圧的である。しかし、ノルム強圧的函数 f:n は必ずしも強圧的ではない。例えば、 上の恒等函数はノルム強圧的であるが、強圧的ではない。

放射非有界函数の記事も参照されたい。

参考文献

テンプレート:参照方法

テンプレート:PlanetMath attribution