水酸化亜鉛

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水酸化亜鉛(すいさんかあえん、Zinc hydroxide)は、化学式 テンプレート:Chem で表される亜鉛水酸化物である。

合成

硫酸亜鉛などの水溶液に2倍モル量の水酸化ナトリウム水溶液を加えると無定形コロイド状の白色沈殿が得られる。

Zn2+(aq)+2OHA(aq)Zn(OH)A2

酸化亜鉛を、熱濃水酸化ナトリウム水溶液に溶解したのち、希釈して2〜3週間放置するとε−相の水酸化亜鉛の結晶が析出する[1]

ZnO+2OH-+HA2O [Zn(OH)A4]A2
[Zn(OH)4]2- Zn(OH)A2 +2OHA

または硫酸亜鉛の希薄水溶液に2倍モル量のアンモニア水を加えて生成した粗沈殿を、濃アンモニア水に溶解してアンミン錯体水溶液とし、これを濃硫酸入りデシケーターに入れて1〜2週間放置すると、水およびアンモニアが硫酸に吸収されてε−相の水酸化亜鉛の結晶が析出する。

Zn2++2NH3+2HA2OZn(OH)2+2NHA4A+
Zn(OH)2+4NHA3 [Zn(NH3)4]2++2OHA
[Zn(NH3)4]2++2OHAZn(OH)2+4NHA3

性質

非晶質無定形のものの他に5種類の同質異像の構造(α、β、γ、δ、ε)が存在するとされ、斜方晶系のε−相が最も安定であり[1][2]、その格子定数はa = 5.16Å、b = 8.53Å、c = 4.92Åである。 ε−相の結晶構造はOHを共有するZn(OH)4四面体を基本とする格子よりなる。α−相は六方晶系水酸化カドミウム型構造である。

水には極僅かにしか溶解せず、希酸に容易く溶解する。その溶解度積は以下の通りである[3]

Zn(OH)2Zn2+(aq)+2OHA(aq),Ksp=1.2×1017

アルカリ水溶液に容易く溶解してテトラヒドロキシド亜鉛酸塩を生じる。

Zn(OH)2+2OHA [Zn(OH)A4]A2

アンモニア水には正四面体型4配位のテトラアンミン亜鉛イオンと呼ばれる錯体を生成して溶解する。

Zn(OH)2+4NHA3[Zn(NH3)4]2++2OHA

125℃程度の加熱により分解し、水を失って酸化亜鉛になる。

Zn(OH)A2ZnO+HA2O

亜鉛イオンの水酸化物イオンに対する逐次錯生成定数は以下の通りである[4]

ZnA2+ +OHAZnOH+,  logK1=5.04
ZnOHA+ +OHAZn(OH)2,  logK2=3.30(β2=logK1+logK2=8.34)
Zn(OH)A2+OHA[Zn(OH)A3]A,  logK3=5.49(β3=logK1+logK2+logK3=13.83)
[Zn(OH)A3]A +OHA [Zn(OH)A4]A2 ,logK4=4.33(β4=logK1+logK2+logK3+logK4=18.16)

従って水酸化亜鉛の塩基解離定数は以下のようになる。

Zn(OH)2ZnOH++OHA , pKb1=3.30
ZnOH+Zn2++OHA , pKb2=5.04

また亜鉛酸の酸解離定数は以下のようになる。

Zn(OH)2+H2O H++[Zn(OH)A3]A  ,pKa1=8.51
[Zn(OH)3]-+H2O H++[Zn(OH)A4]A2 ,pKa2=9.67

脚注・参考文献

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:亜鉛の化合物

  1. 1.0 1.1 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年
  2. 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  3. 日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂2版』 丸善、1975年
  4. 日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂4版』 丸善、1993年