炭化ジルコニウム

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炭化ジルコニウム(たんかジルコニウム、ZrC)は非常に硬い耐火性のセラミック材料である。商業的には、切削工具バイトに使用される。通常は焼結により加工される。

物性

ZrC の熱膨張係数[1]
T αV
100 °C 0.141
200 °C 0.326
400 °C 0.711
800 °C 1.509
1200 °C 2.344

立方晶系結晶構造を持つ、灰色の金属粉末である。耐食性が高い。第4族遷移金属侵入型炭化物であり、テンプレート:仮リンク (UHTC) に分類される。金属結合が存在するため、熱伝導率テンプレート:Val および電気抵抗率テンプレート:Val と、金属ジルコニウムに近い値を示す。Zr-C間の強力な共有結合のため、非常に高い融点 (テンプレート:Val) および弾性率 (テンプレート:Val)、硬度 (テンプレート:Val) を示す。ZrCの密度テンプレート:Val と、WC (テンプレート:Val) や TaC (テンプレート:Val)、HfC (テンプレート:Val) などといった他の炭化物に比べて低い。その低い密度と耐熱性から、これらの性質が重要となる大気圏突入機やロケットスクラムジェットエンジン超音速機に適していると考えられるテンプレート:要出典

耐火金属の炭化物のほとんどと同様、炭化ジルコニウムは準化学量論的化合物であり、炭素欠陥を含む。およそ テンプレート:Chem を超える炭素含有率を有する材料は、遊離炭素を含む[2]テンプレート:Chemは0.65から0.98の炭素・金属比範囲で安定である。

TiCテンプレート:ChemSiCは実用上強酸性溶液 (HCl) および強塩基性溶液 (NaOH) に対してテンプレート:Val においてさえ不活性であるが、テンプレート:ChemHF とは反応する。

炭化ジルコニウムと炭化タンタル混合物は、サーメット材料として重要であるテンプレート:要出典

応用

ハフニウムを含まない炭化ジルコニウムおよび炭化ニオブは、原子炉における耐火被覆材として応用可能である。中性子吸収断面積が低く、放射線照射下における損傷感受性が低いため、核燃料酸化ウランおよび酸化トリウム被覆材としての用途がある。また、超高温ガス炉用燃料粒子の被覆材料としての研究が行われている[3]

テンプレート:仮リンク内で熱CVDにより被覆を行うことが多い。また、高温において放射率および電流容量が高いため、熱光発電デバイスにおけるラジエータや電界放出エミッタチップ材料としても有望であるテンプレート:要出典

研磨材テンプレート:仮リンクサーメット白熱フィラメント、切削工具などにも用いられるテンプレート:要出典

製造法

以下に示すようないくつかの方法がある。

  • マグネシウム還元法[5]
ZrOA2(s)+2Mg(s,l)+CHA4(g)1000℃ZrC(s)+2MgO(s)+2HA2(g)

また、粉末 テンプレート:Chemテンプレート:Val 以上で焼結させることにより緻密化 ZrC が製造される。ZrCをホットプレスすることにより焼結温度を下げると同時にきめ細かい完全緻密化 テンプレート:Chem を製造することができる。放電プラズマ焼結による完全緻密化 テンプレート:Chem の製造も行われている[7]

複合材

テンプレート:Val 以上での酸化耐性の低さにより、テンプレート:Chem の応用範囲は制限される。酸化耐性を高める一つの方法は、複合材の製造である。提案されている複合材の中でも、テンプレート:Chem-テンプレート:Chemテンプレート:Chem-テンプレート:Chem-テンプレート:Chem が重要である。これらの複合材は テンプレート:Val までの温度での使用に耐えるテンプレート:要出典

出典

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  3. 沢和弘, 植田祥平, 相原純 ほか、「超高温ガス炉用セラミック被覆燃料開発」『日本原子力学会和文論文誌』 2007年 6巻 2号 p.113-125, テンプレート:Doi, 日本原子力学会
  4. Matsumoto, O. and T. Miyazaki: Denki-Kaguaku, 39, [5], 388 (1971)
  5. 5.0 5.1 5.2 山根健二,木田伸一,森利之 ほか、「マグネシウム還元法によるジルコニアからの炭化ジルコニウム超微粉体の合成」『粉体工学会誌』 1986年 23巻 9号 p.665-670, テンプレート:Doi, 粉体工学会
  6. テンプレート:Cite journal
  7. テンプレート:Cite journal