速度ポテンシャル

速度ポテンシャル（そくどポテンシャル、テンプレート:Lang-en-short）は、流体力学において、渦なし流れの解析に用いられる。速度ポテンシャルを持つ流れをポテンシャル流と呼ぶ。

速度ポテンシャルΦは次式を満たすようなスカラー場である。

$𝒖=\mathrm{grad}\mathrm{\Phi }$

ただし、u は流体の速度であり、渦なし、つまり

$\mathrm{rot}𝒖=\mathrm{\nabla }\times 𝒖=0$

を満たす。これはベクトル解析における

$\mathrm{rot}(\mathrm{grad}\mathrm{\Phi })=0$

の性質を用いている（ナブラ#二階微分を参照）。

一般のポテンシャルと異なり、速度ポテンシャルの定義には負号がつかないことに注意。

性質

• 領域が単連結であれば速度ポテンシャルΦは一価関数、多重連結であれば多価関数である。
• 速度u および流線は速度ポテンシャルΦの等値面（等ポテンシャル面）に直交し、速度ポテンシャルの法線方向n の微分が速度を与える：

  $\frac{\partial \mathrm{\Phi }}{\partial n}=𝒏\cdot \mathrm{grad}\mathrm{\Phi }=𝒏\cdot 𝒖=u$

• 非圧縮性流体の渦なし流に対しては、速度ポテンシャルΦは調和関数となる。

関連項目

• 複素速度ポテンシャル