階乗モーメント

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階乗モーメント(かいじょうモーメント、テンプレート:Lang-en-short)は、確率論における数学的量の1つ。 確率変数の階乗冪に対する期待値として定義される。非負整数の値を持つ確率変数に関する研究で有用であり、[1]離散確率変数のモーメントを導出する際に確率母関数を利用する際にも出現する。

離散的な数学的構造を研究する数学分野である組合せ論における解析的ツールとしても階乗モーメントは機能する。[2]

定義

自然数 r に対して、実数または複素数の確率変数 X に関する確率分布の r-次階乗モーメントは次で定義される:[3]

E⁡[(X)r]=E⁡[X(X−1)(X−2)⋯(X−r+1)]

ここで、 E は 期待値 (を表す作用素) であり、

(x)r:=x(x−1)(x−2)⋯(x−r+1)⏟r 個≡x!(x−r)!

は下降階乗冪である。 なお、(x)r という記法によって表される数学的意味は文脈によって異なる場合があるので注意せよ。当然ながら、この定義は期待値が定義できる状況でのみ意味を持つ。すなわち、(X)r≥0 または E⁡[|(X)r|]<∞ である時のみ意味を持つ。

具体例

ポアソン分布

X が比母数 λ で特徴付けられるポアソン分布に従うとき、X の階乗モーメントは

E⁡[(X)r]=λr

となる。これは一般的な表示には第2種スターリング数を必要とするポアソン分布のモーメントに比べてはるかに簡単な形となっている。

二項分布

X が成功確率 p∈[0,1]および試行回数 n で特徴付けられる二項分布に従うとき、X の階乗モーメントは[4]

E⁡[(X)r]=(nr)prr!=(n)rpr

となる。なお、この式に出現する二項係数や下降階乗冪は r>n の時 0 となるものとする。

超幾何分布

確率変数 X が 母集団全体の要素数 N、成功状態の要素数 K∈{0,…,N}、非復元抽出数 n∈{0,…,N} をもつ 超幾何分布に従う場合、X の階乗モーメントは以下で与えられる:[4]

E⁡[(X)r]=(Kr)(nr)r!(Nr)=(K)r(n)r(N)r

ベータ二項分布

確率変数 X が母数 α>0,β>0 と試行回数 n を母数にもつベータ二項分布に従うとき、X の階乗モーメントは以下で与えられる:

E⁡[(X)r]=(nr)B(α+r,β)r!B(α,β)=(n)rB(α+r,β)B(α,β)

モーメントの計算

確率変数 X の r-次の(素朴な)モーメントと階乗モーメントとは、次の関係性をもつ:

E⁡[Xr]=∑j=1r{rj}E⁡[(X)j]

ただし、この式で波括弧で表されているのは第2種スターリング数である。

関連項目

出典

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