ルート系
数学において,ルート系(テンプレート:Lang-en-short,テンプレート:Lang-fr-short)とはある幾何学的な性質を満たすユークリッド空間のベクトルの配置である.これはリー群やリー環の理論において基本的な概念である.リー群(や代数群のような類似物)やリー環は20世紀の間に数学の多くの部分で重要になってきたから,ルート系の一見すると特別な性質に反してそれらは多くの分野に応用される.さらに,ディンキン図形によるルート系の分類体系は(テンプレート:仮リンクのような)リー理論とあからさまなつながりの全くない数学の分野において現れる.最後に,ルート系はスペクトルグラフ理論におけるように,それ自身重要である[1].
定義と基本的な例

最初の例として,図に示されているような,2次元ユークリッド空間 テンプレート:Math における6つのベクトルを考える.これらのベクトルは空間全体を張る.任意のルート テンプレート:Mvar に垂直な直線を考えると,その直線による テンプレート:Math の鏡映は任意の他のルート テンプレート:Mvar を別のルートに写す.さらに,写り先は テンプレート:Math に等しい,ただし テンプレート:Mvar は整数である(この場合 テンプレート:Mvar は テンプレート:Math である).これら6つのベクトルは以下の定義を満たし,したがってルート系をなす;このルート系は テンプレート:Math と呼ばれる.
定義
テンプレート:Mvar を有限次元ユークリッドベクトル空間とし,テンプレート:Math を標準ユークリッド内積とする.テンプレート:Mvar のルート系 (root system) とは,非零ベクトルの有限集合 テンプレート:Math であって,以下の条件を満たすもののことであるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn: テンプレート:Ordered list 条件3と4を書く同値な方法は以下である:
ルート系 テンプレート:Math に含まれるベクトルはルート(root)と呼ばれる.著者によってはルート系の定義に条件2と3のみを課すテンプレート:Sfn.この文脈では,整数性(条件4)も満たすルート系は結晶的(crystallographic)と呼ばれるテンプレート:Sfn.別の著者は条件 2 を省く;このとき条件 2 を満たすルート系は被約(reduced)と呼ばれるテンプレート:Sfn.この記事では,すべてのルート系は被約かつ結晶的と仮定する.
性質3より,整数性条件は次のように述べても同値である:テンプレート:Mvar とその鏡映 テンプレート:Math との差は テンプレート:Mvar の整数倍である.性質4によって定義される演算
は内積ではないことに注意.対称であるとは限らず,第一変数についてのみ線型である.
| ルート系 Aテンプレート:Sub × Aテンプレート:Sub テンプレート:Dynkin |
ルート系 Dテンプレート:Sub テンプレート:Dynkin |
| ルート系 A2 テンプレート:Dynkin |
ルート系 G2 テンプレート:Dynkin |
| ルート系 B2 テンプレート:Dynkin |
ルート系 C2 テンプレート:Dynkin |
ルート系 テンプレート:Math の階数 (rank) は テンプレート:Mvar の次元である.
2つのルート系は,それらの張るユークリッド空間を共通のユークリッド空間の互いに直交する部分空間と見ることで,つなげることができる.そのような結合から生じないルート系は既約 (irreducible) といわれる.例えば右に描かれているルート系 A2, B2, G2 は既約である.
2つのルート系 テンプレート:Math と テンプレート:Math が同型 (isomorphic) であるとは,可逆な線型変換 テンプレート:Math であって,テンプレート:Math と テンプレート:Math に送り,ルートの各対に対して,数 テンプレート:Math が保たれるものが存在することをいうテンプレート:Sfn.
ルート系 テンプレート:Math のルートに直交する超平面による鏡映によって生成される テンプレート:Mvar の等長変換の群
を テンプレート:Math のワイル群と呼ぶ.ワイル群は有限集合 テンプレート:Math に忠実に作用するから,必ず有限群である.
ルート系 テンプレート:Math のテンプレート:Anchorsルート格子 (root lattice) とは,テンプレート:Math で生成される テンプレート:Mvar の部分 テンプレート:Math 加群である.それは テンプレート:Mvar の格子である.
階数 2 の例
階数 1 のルート系は1つしかない,すなわち2つの非零ベクトルからなる テンプレート:Math である.このルート系は テンプレート:Math と呼ばれる.
階数 2 では,テンプレート:Math, テンプレート:Math に応じて,4つの可能性があるテンプレート:Sfn.ルート系はそれが生成する格子によっては決定されないことに注意:テンプレート:Math と テンプレート:Math はともに正方格子を生成するし,テンプレート:Math と テンプレート:Math はともにテンプレート:仮リンクを生成する.5種類ある2次元格子のうち2つだけである.
テンプレート:Math が テンプレート:Mvar のルート系で,テンプレート:Mvar が テンプレート:Math で張られる テンプレート:Mvar の部分空間であるときにはいつでも,テンプレート:Math は テンプレート:Mvar のルート系である.したがって,階数 2 の4つのルート系の完全なリストは,任意の階数のルート系から選ばれた任意の2つのルートの幾何学的可能性を示している.特に,2つのそのようなルートの角度は,必ず 0, 30, 45, 60, 90, 120, 135, 150, 180 度のいずれかである.
歴史
ルート系の概念は最初1889年頃ヴィルヘルム・キリング (Wilhelm Killing) によって導入された(ドイツ語,Wurzelsystemテンプレート:Sfn)テンプレート:Sfn.彼は複素数体上のすべての単純リー環を分類しようとしたときにそれらを用いた.キリングはもともと分類で間違いを犯していて,例外型の階数 4 のルート系を2つ挙げていたが,実際には1つしかなく,今では テンプレート:Math と呼ばれるものである.カルタンが後にこの誤りを,キリングの2つのルート系が同型であることを示すことで,訂正したテンプレート:Sfn.
キリングはカルタン部分環(と今では呼ばれているもの)テンプレート:Mvar を考えることによって,リー環 テンプレート:Mvar の構造を研究した.そして彼は特性多項式 テンプレート:Math, ただし テンプレート:Math, の根を研究した.ここでここで「根」(root) は テンプレート:Mvar の関数として考える,あるいは実際双対ベクトル空間 テンプレート:Math の元として考える.根のこの集合は上で定義されたように テンプレート:Math のルート系をなす,ただし内積はキリング形式であるテンプレート:Sfn.
ルート系の公理の初等的な結果

鏡映を法として,与えられた テンプレート:Mvar に対し,テンプレート:Mvar の非自明な可能性は5つしかなく,単純ルートの集合において テンプレート:Mvar と テンプレート:Mvar の間の可能な角度は3つしかない.サブスクリプトの文字は,与えられた テンプレート:Mvar が最初のルートとして,テンプレート:Mvar が二番目のルートとして(あるいは テンプレート:Math における中2つのルートとして)仕えることができるようなルート系の列に対応する.
2つのルートの間の角度の余弦は整数の平方根の半整数倍に制限される.なぜならば,テンプレート:Math と テンプレート:Math はともに仮定により整数で,
であるからである.
テンプレート:Math であるから,テンプレート:Math として可能な値は テンプレート:Math2 のみであり,対応する角度は テンプレート:Math, テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math, テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math, テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math, テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math, である.条件2により テンプレート:Mvar のスカラー倍でルートになるのは テンプレート:Math 倍と テンプレート:Math 倍だけであり,テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math で,これらの角度は テンプレート:Math や テンプレート:Math には対応しない.
正ルートと単純ルート
ルート系 テンプレート:Math が与えられると,必ず,正ルート(positive root)の集合を(何通りも)取ることができる.これは テンプレート:Math の部分集合 テンプレート:Math であって,以下を満たすものである:
- 各ルート テンプレート:Math に対して,ルート テンプレート:Math と テンプレート:Math のうちちょうど1つが テンプレート:Math に含まれる.
- 任意の2つの相異なる テンプレート:Math であって テンプレート:Math がルートであるものに対して,テンプレート:Math である.
正ルートの集合 テンプレート:Math が選ばれると, テンプレート:Math の元は負ルート(negative root)と呼ばれる.
テンプレート:Math の元が単純ルート(simple root)であるとは,テンプレート:Math の2つの元の和で書けないことをいう.単純ルート全体の集合 テンプレート:Math は テンプレート:Mvar の基底であって,テンプレート:Math の任意のベクトルが係数がすべて非負かすべて非正の テンプレート:Math の元の線型結合であるという性質を持つテンプレート:Sfn.正ルートの各選択に対して,対応する単純ルートの集合は次のような一意的なルートの集合 テンプレート:Math である:正ルート全体はちょうど,非負係数の テンプレート:Math の元の線型結合として表せるもの全体であり,これらの線型結合は一意である.
ルートの半順序

正ルート全体の集合は テンプレート:Math を テンプレート:Math が単純ルートの非負線型結合であることとして自然に順序付けられる.この半順序集合は
によってテンプレート:仮リンク,多くの注目すべき組合せ論的性質を持つ.その1つはこの半順序集合から対応するワイル群の基本不変式の次数を決定できることであるテンプレート:Sfn.ハッセグラフはルート半順序集合の順序の可視化である.
双対ルート系とコルート
テンプレート:See also テンプレート:Math が テンプレート:Mvar のルート系であるとき,ルート テンプレート:Mvar のコルート テンプレート:Math は
によって定義される.コルートの集合も テンプレート:Mvar のルート系 テンプレート:Math をなし,双対ルート系(あるいはときどき逆ルート系)と呼ばれる.定義により テンプレート:Math であるから,テンプレート:Math は テンプレート:Math の双対ルート系である.テンプレート:Math で張られる テンプレート:Mvar の格子はコルート格子と呼ばれる.テンプレート:Math と テンプレート:Math は同じワイル群 テンプレート:Mvar を持ち,テンプレート:Math に対して,
である.テンプレート:Math が テンプレート:Math の単純ルートの集合であれば,テンプレート:Math は テンプレート:Math の単純ルートの集合であるテンプレート:Sfn.
ディンキン図形によるルート系の分類

ルート系が既約であるとは,2つの真の部分集合の和集合 テンプレート:Math であって,すべての テンプレート:Math と テンプレート:Math に対して テンプレート:Math となるようなものに分割できないことをいう.
既約ルート系はテンプレート:仮リンクにちなんで名づけられているディンキン図形というグラフと対応する.これらのグラフの分類は単純な組合せ論であり,既約ルート系の分類をもたらす.
ルート系が与えられたとき,前の節にあるように単純ルートの集合 テンプレート:Math を選ぶ.付随するディンキン図形の頂点は テンプレート:Math のベクトルに対応する.ベクトルの直交しない各対の間に辺が描かれる.なす角度が テンプレート:Math ラジアンのときは,無向の一重辺であり,テンプレート:Math のときは有向二重辺であり,テンプレート:Math のときは有向三重辺である.「有向辺」という用語は二重・三重辺は短い方のベクトルを指す記号が付けられることを意味する.
与えられたルート系の単純ルートの集合の可能性は1つではないが,ワイル群はそのような選び方に推移的に作用する[2].したがって,ディンキン図形は単純ルートたちの選び方には依らず,ルート系自身によって決定される.逆に,同じディンキン図形をもつ2つのルート系が与えられると,基底のルートから合わせ始めて,2つが実は同じであることを示すことができる.
したがってルート系の分類の問題は可能なディンキン図形の分類の問題に帰着する.ルート系が既約であることとそのディンキン図形が連結であることは同値である.ディンキン図形は基底 テンプレート:Math のことばで テンプレート:Mvar の内積の情報を持っており,この内積が正定値でなければならないという条件は所望の分類を得るのに必要なすべてであることが判明する.
実際の連結図形は以下のとおりである.サブスクリプトは図形の頂点の個数(したがって対応する既約ルート系の階数)を指し示す.
既約ルート系の性質
| テンプレート:Math | テンプレート:Math | テンプレート:Math | テンプレート:Mvar | テンプレート:Mvar | テンプレート:Math |
|---|---|---|---|---|---|
| An (n ≥ 1) | n(n + 1) | n + 1 | (n + 1)! | ||
| Bn (n ≥ 2) | 2n2 | 2n | 2 | 2 | 2n n! |
| Cn (n ≥ 3) | 2n2 | 2n(n − 1) | 2n−1 | 2 | 2n n! |
| Dn (n ≥ 4) | 2n(n − 1) | 4 | 2n − 1 n! | ||
| テンプレート:仮リンク | 72 | 3 | 51840 | ||
| テンプレート:仮リンク | 126 | 2 | 2903040 | ||
| テンプレート:仮リンク | 240 | 1 | 696729600 | ||
| テンプレート:仮リンク | 48 | 24 | 4 | 1 | 1152 |
| テンプレート:仮リンク | 12 | 6 | 3 | 1 | 12 |
既約ルート系は対応する連結ディンキン図形にしたがって名づけられる.4つの無限族(An, Bn, Cn, Dn で,古典型ルート系と呼ばれる)と5つの例外的な場合(例外型ルート系)が存在する[3].サブスクリプトはルート系の階数を意味する.
既約ルート系において長さ テンプレート:Math の値は高々2種類であり,短いルートと長いルートである.すべてのルートが同じ長さを持っているときは長いと定義し,ルート系は simply laced といわれる.これは A, D, E の場合におこる.同じ長さの任意の2つのルートはワイル群の同じ軌道に入る.Simply laced でない場合 B, C, G, F では,ルート格子は短いルートによって張られ,長いルートは部分格子を張り,これはワイル群で不変で,コルート格子の テンプレート:Math 倍に等しい,ただし テンプレート:Mvar は長いルートの長さである.
添付の表において,テンプレート:Math は短いルートの個数を表し,テンプレート:Mvar は長いルートによって生成される部分格子のルート格子における指数を表し,テンプレート:Mvar はカルタン行列の行列式を表し,テンプレート:Math はワイル群の位数を表す.
既約ルート系の明示的な構成
An
| e1 | e2 | e3 | e4 | |
|---|---|---|---|---|
| α1 | 1 | −1 | 0 | 0 |
| α2 | 0 | 1 | −1 | 0 |
| α3 | 0 | 0 | 1 | −1 |
| テンプレート:Dynkin2 | ||||
テンプレート:Mvar を座標の和が テンプレート:Math になる テンプレート:Math の部分空間とし,テンプレート:Math を テンプレート:Mvar の長さ テンプレート:Math の整数ベクトルすなわち テンプレート:Math において整数座標を持つベクトル全体の集合とする.そのようなベクトルは2つを除くすべての座標が テンプレート:Math で,1つの座標は テンプレート:Math で,1つは テンプレート:Math でなければならず,したがって全部で テンプレート:Math 個のルートがある.単純ルートの取り方の1つを標準基底で表すと:テンプレート:Math に対して テンプレート:Math.
テンプレート:Math に垂直な超平面を通る鏡映 テンプレート:Mvar は隣り合う テンプレート:Mvar 番目と テンプレート:Math 番目の置換と同じである.そのような互換は全置換群を生成する.隣り合う単純ルートに対して,
である,つまり,鏡映は1倍を足すことに等しい.しかし,隣り合わない単純ルートに垂直な単純ルートの鏡映はそれを変えず,0倍を引くことである.
テンプレート:Math ルート格子,つまり テンプレート:Math ルートによって生成される格子は,成分の和が テンプレート:Math である テンプレート:Math の整数ベクトルの集合として最も容易に記述される.
テンプレート:Math ルート格子は結晶学者に面心立方 (fcc)(あるいは立方最密)格子と呼ばれている[4].

テンプレート:Math ルート系は(他の階数 3 のルート系も)ゾムツール・コンストラクション・セットで模型を作れるテンプレート:Sfn.
Bn
| 1 | −1 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | −1 | 0 |
| 0 | 0 | 1 | −1 |
| 0 | 0 | 0 | 1 |
| テンプレート:Dynkin2 | |||
テンプレート:Math とし,テンプレート:Math を テンプレート:Mvar の長さ テンプレート:Math か テンプレート:Math のすべての整数ベクトルからなるとする.ルートの総数は テンプレート:Math である.単純ルートたちの1つの選び方は:テンプレート:Math に対して テンプレート:Math と(テンプレート:Math に対する上の単純ルートの取り方),短ルート テンプレート:Math である.
短ルート テンプレート:Math に垂直な超平面に関する鏡映 テンプレート:Mvar はもちろん単に テンプレート:Mvar 番目の座標の テンプレート:Math 倍である.長単純ルート テンプレート:Math に対し,テンプレート:Math であるが,短ルートに垂直な鏡映に対しては,テンプレート:Math であり,1倍ではなく2倍である.
テンプレート:Math ルート格子,つまり,テンプレート:Math ルートによって生成される格子は,すべての整数ベクトルからなる.
テンプレート:Math は テンプレート:Math によるスケーリングによって,テンプレート:Math に同型であり,したがって異なるルート系ではない.
Cn
| 1 | −1 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | −1 | 0 |
| 0 | 0 | 1 | −1 |
| 0 | 0 | 0 | 2 |
| テンプレート:Dynkin2 | |||
テンプレート:Math とし,テンプレート:Math を長さ テンプレート:Math の テンプレート:Mvar のすべての整数ベクトルと,テンプレート:Mvar を長さ テンプレート:Math の整数ベクトルとして テンプレート:Math の形のすべてのベクトルからなるとする.ルートの総数は テンプレート:Math である.単純ルートの1つの選び方は:テンプレート:Math に対して テンプレート:Math と(Aテンプレート:Sub に対する単純ルートの上の選び方),長い方のルート テンプレート:Math である.
鏡映 テンプレート:Math であるが,テンプレート:Math である.
テンプレート:Math ルート格子,つまり テンプレート:Math ルートによって生成される格子は,成分の和が偶数な整数ベクトル全てからなる.
テンプレート:Math は テンプレート:Math によるスケーリングと 45 度の回転によって テンプレート:Math と同型であり,したがって相異なるルート系ではない.
![]()
ルート系 テンプレート:Math を立方体と正八面体の中の点として描いたもの
Dn
| 1 | −1 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | −1 | 0 |
| 0 | 0 | 1 | −1 |
| 0 | 0 | 1 | 1 |
テンプレート:Math とし,テンプレート:Math を長さ テンプレート:Math の テンプレート:Mvar のすべての整数ベクトルからなるとする.ルートの総数は テンプレート:Math である.単純ルートたちの1つの選び方は:テンプレート:Math に対して テンプレート:Math と(Aテンプレート:Sub に対する単純ルートの上の選び方),テンプレート:Math である.
テンプレート:Math に垂直な超平面を通る鏡映は隣り合う テンプレート:Mvar 番目と テンプレート:Math 番目の座標をテンプレート:仮リンク テンプレート:Math 倍するのと同じである.任意の単純ルートと別の単純ルートに垂直なその鏡映との差は二番目のルートの0倍か1倍であり,それより大きくはない.
テンプレート:Math ルート格子,つまり,テンプレート:Math ルートによって生成される格子は,成分の和が偶数であるような整数ベクトル全部からなる.これは テンプレート:Math ルート格子と同じである.
テンプレート:Math は テンプレート:Math と一致し,したがって相異なるルート系ではない.
テンプレート:Math は テンプレート:仮リンク と呼ばれる追加の対称性を持つ.
E6, E7, E8
テンプレート:仮リンク の 72 個の頂点は テンプレート:仮リンク のルートベクトルを表す (緑の頂点はこの Eテンプレート:Sub コクセター平面射影では倍増にされている) |
テンプレート:仮リンク の 126 個の頂点は テンプレート:仮リンク のルートベクトルを表す |
テンプレート:仮リンク の 240 個の頂点は テンプレート:仮リンク のルートベクトルを表す |
- テンプレート:Math ルート系は次の集合に合同な テンプレート:Math のベクトルの任意の集合である:
このルート系は240個のルートを持つ.いま挙げた集合は,テンプレート:Math ルート格子の長さ テンプレート:Math のベクトル全部の集合である.この格子は単に テンプレート:仮リンクや テンプレート:Math とも呼ばれる.これは テンプレート:Math の次のような点全体の集合である:
したがって,
- ルート系 テンプレート:Math は,テンプレート:Math の固定された1つのルートに垂直な テンプレート:Math のベクトル全部の集合である.ルート系 テンプレート:Math は126個のルートを持つ.
- ルート系 テンプレート:Math は,テンプレート:Math の固定された1つのルートに垂直な テンプレート:Math のベクトル全部の集合ではない,実際,そのようにして テンプレート:Math を得る.しかしながら,テンプレート:Math は テンプレート:Math の適切に選ばれた2つのルートに垂直な テンプレート:Math の部分系である.ルート系 テンプレート:Math は72個のルートを持つ.
| 1 | −1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | −1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 1 | −1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 1 | −1 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | −1 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | −1 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| −½ | −½ | −½ | −½ | −½ | −½ | −½ | −½ |
特に便利な テンプレート:Math 格子の別の記述は,テンプレート:Math のつぎのような全ての点の集合 テンプレート:Math である:
- すべての座標は整数であり,座標の和は偶数である,あるいは,
- すべての座標は整数でない半整数であり,座標の和は奇数である.
格子 テンプレート:Math と テンプレート:Math は同型である;一方から他方へ,任意の奇数個の座標の符号を変えることによって行ける.格子 テンプレート:Math は テンプレート:Math の偶座標系と呼ばれることがあり,格子 テンプレート:Math は奇座標系と呼ばれることがある.
テンプレート:Math に対する単純ルートの1つの選び方は,上のディンキン図形での頂点の順序によって行を順序づけた偶座標系において:
- テンプレート:Math に対して テンプレート:Math と
- テンプレート:Math
( テンプレート:Math に対する単純ルートの上の選び方)と
| 1 | −1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | −1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 1 | −1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 1 | −1 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | −1 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | −1 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | −1 |
| −½ | −½ | −½ | −½ | −½ | ½ | ½ | ½ |
テンプレート:Math に対する単純ルートの1つの選び方は,上のディンキン図形での頂点の順序によって行を順序づけた奇座標系において:
- テンプレート:Math に対して テンプレート:Math
(テンプレート:Math に対する単純ルートの上の選び方)と
- テンプレート:Math, ただし
- テンプレート:Math.
(テンプレート:Math を使っても同型な結果を与える.テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math を使うと単に テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math を与える.テンプレート:Math については,その座標の和は テンプレート:Math であり,同じことは テンプレート:Math に対しても正しく,したがってそれらは座標の和が テンプレート:Math になる 7 次元部分空間しか張らない;実は テンプレート:Math は基底 テンプレート:Math において座標 テンプレート:Math を持つ.)
テンプレート:Math との直交性は最初の2つの座標が等しいことを意味するから,テンプレート:Math は最初の2つの座標が等しい テンプレート:Math の部分集合であり,同様に テンプレート:Math は最初の3つの座標が等しい テンプレート:Math の部分集合である.これは テンプレート:Math と テンプレート:Math の明示的な定義を容易にする:
- E7 = {α ∈ Z7 ∪ (Z+½)7 : ∑αi2 + α12 = 2, ∑αi + α1 ∈ 2Z},
- E6 = {α ∈ Z6 ∪ (Z+½)6 : ∑αi2 + 2α12 = 2, ∑αi + 2α1 ∈ 2Z}.
テンプレート:Math を消して テンプレート:Math を消すと,テンプレート:Math と テンプレート:Math の単純ルートの集合を与えることに注意.しかしながら,単純ルートのこれらの集合は上に書いたのとは異なる テンプレート:Math の テンプレート:Math および テンプレート:Math 部分空間に属する,なぜならばそれらは テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math に直交しないからである.
F4
| 1 | −1 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | −1 | 0 |
| 0 | 0 | 1 | 0 |
| −½ | −½ | −½ | −½ |
| テンプレート:Dynkin2 | |||

テンプレート:Math に対して,テンプレート:Math とし,テンプレート:Math を長さが テンプレート:Math か テンプレート:Math のベクトル テンプレート:Mvar であって テンプレート:Math の座標がすべて整数ですべて偶数かすべて奇数なもの全体の集合とする.この系には48個のルートがある.単純ルートの1つの選び方は:テンプレート:Math に対して上で与えられた単純ルートの選び方と,テンプレート:Math.
テンプレート:Math ルート格子,つまり テンプレート:Math ルート系によって生成される格子は,テンプレート:Math の点であってすべての座標が整数であるかまたはすべての座標が整数でない半整数であるようなもの全体の集合である.この格子はテンプレート:仮リンクの格子に同型である.
G2
| 1 | −1 | 0 |
| −1 | 2 | −1 |
| テンプレート:Dynkin2 | ||
ルート系 テンプレート:Math は12個のルートを持ち,六芒星の頂点をなす.上の絵を参照.
単純ルートの1つの選び方は:テンプレート:Math, ただし テンプレート:Math に対して テンプレート:Math は テンプレート:Math に対する単純ルートの上の選び方である.
テンプレート:Math ルート格子,つまり,テンプレート:Math ルートによって生成される格子は,テンプレート:Math ルート格子と同じである.
ルート系とリー理論
既約ルート系はリー理論におけるいくつかの関連した対象を分類する,特に
- 以下を含む単純リー群(テンプレート:仮リンクを参照):
極大トーラス テンプレート:Mvar をもつ単連結単純コンパクトリー群 テンプレート:Mvar の場合には,ルート格子は自然に テンプレート:Math と同一視でき,コルート格子は テンプレート:Math とできる,ただし テンプレート:Math は円周群である;テンプレート:Harvtxt を参照.
例外型ルート系とそれらのリー群とリー環との関係は,テンプレート:仮リンク, テンプレート:仮リンク, テンプレート:仮リンク, テンプレート:仮リンク, テンプレート:仮リンク を参照.
関連項目
脚注
参考文献
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation. The classic reference for root systems.
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- Killing, Die Zusammensetzung der stetigen endlichen Transformationsgruppen Mathematische Annalen, Part 1: Volume 31, Number 2 June 1888, Pages 252-290 テンプレート:DOI; Part 2: Volume 33, Number 1 March 1888, Pages 1–48 テンプレート:DOI; Part3: Volume 34, Number 1 March 1889, Pages 57–122 テンプレート:DOI; Part 4: Volume 36, Number 2 June 1890,Pages 161-189 テンプレート:DOI
- テンプレート:Citation.
- テンプレート:Cite book
関連文献
- Dynkin, E. B. The structure of semi-simple algebras. テンプレート:Ru icon Uspehi Matem. Nauk (N.S.) 2, (1947). no. 4(20), 59–127.
外部リンク
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ これは テンプレート:Harvnb Proposition 8.23 から従う.
- ↑ テンプレート:Citation.
- ↑ Conway, John Horton; Sloane, Neil James Alexander; & Bannai, Eiichi. Sphere packings, lattices, and groups. Springer, 1999, Section 6.3.