円周群
テンプレート:出典の明記 テンプレート:Lie groups 数学における円周群(えんしゅうぐん、テンプレート:Lang-en-short; 円群)[1]とは、絶対値 テンプレート:Math の複素数(単位複素数)全体(つまり複素数平面上の単位円) のなす乗法群のことである。記号で
と表し、テンプレート:Math はアーベル群 テンプレート:Math の部分群である。
円周群は複素 テンプレート:Math次ユニタリ行列全体のなす群 テンプレート:Math と見ることもできて、これは複素数平面上で原点中心の回転として作用する。
円周群は角 テンプレート:Mvar による媒介変数表示が可能で、写像
は円周群に対する指数写像となる。
円周群はポントリャーギン双対性において中心的な役割を果たし、あるいはリー群論においても重要である。
円周群 テンプレート:Mathbf の回転群としての解釈は、標準位相に関して円周群が一次元トーラスに位相群として同型であるという事実に発する。より一般に、テンプレート:Mathbf の テンプレート:Mvar重直積群 テンプレート:Math は幾何学的に テンプレート:Mvar次元トーラスである。
位相構造
円周群は単に抽象代数的対象であるだけでなく、複素数平面の部分空間としてのテンプレート:Ill2を持つ。乗法および反転が テンプレート:Math 上の連続写像となることから、円周群は位相群の構造を持つ。さらに、単位円は複素数平面の閉集合であるから、円周群は位相群としての テンプレート:Math の閉部分群となる。
もっと言えば、円周群は一次元実多様体で、乗法および反転は円周群上の実解析的写像となるから、円周群はリー群の実例としてのテンプレート:Ill2の構造を持つ。実はこれは、同型を除いて唯一の一次元コンパクト連結リー群である。さらに、任意の テンプレート:Mvar次元コンパクト連結可換リー群は テンプレート:Math に同型となる。
位相群の同型
円周群は数学的に様々な形でその姿を明らかにする。よく知られた形のうちのいくつかを以下に挙げよう。特に知るべきは位相群の同型
である。斜線 テンプレート:Math は剰余群を表している。
テンプレート:Math次ユニタリ行列全体の成す集合は円周群に一致する。つまり、円周群は一次のユニタリ群に自然同型である。
純虚指数函数は実数の加法群 テンプレート:Mathbf から円周群 テンプレート:Mathbf への群準同型 テンプレート:Math
を与える。最後の等号はオイラーの公式である(あるいは複素指数函数を参照)。この実数 テンプレート:Mvar は単位円上で正の実軸から反時計回りに測った弧度法による角度に対応するものである。単位複素数同士の乗法は角度の和になるという事実:
により、上記の群準同型写像は同相である。またこの指数写像は明らかに テンプレート:Mathbf から テンプレート:Mathbf への全射となるが、単射でなく、準同型の核は テンプレート:Math の整数倍全体の成す集合となるから、第一同型定理により
を得る。角度にスケール変換を施せば テンプレート:Math も同様に言える。
複素数は実二次正方行列としても実現できる(複素数#行列表現を参照)。そのとき単位複素数は行列式 テンプレート:Math の直交行列に対応する。具体的には
と対応する。したがって、円周群は二次の回転群 テンプレート:Math に同型である。この同型を幾何学的に解釈すれば、単位複素数による乗法は複素数平面上の通常 (proper) の回転を与え、またそのような回転はこの形に書けるということを表している。
性質
次元が テンプレート:Math より大きい任意のコンパクトリー群 テンプレート:Mvar は円周群に同型な部分群を含む。これは対称性の言葉で言えば、連続的に作用するコンパクト対称変換群は、一径数円周群の作用を含むことが期待できるということを意味する。
円周群は部分群を多く持つが、真の閉部分群は [[1の冪根|テンプレート:Math の冪根]]からなる部分群に限られる。すなわち、各正整数 テンプレート:Mvar に対する [[1の冪根|テンプレート:Math の テンプレート:Mvar乗根]]全体の成す集合は位数 テンプレート:Mvar の巡回群となり、そのような部分群は同型を除いて一意に決まる。
表現
円周群の表現は容易に記述できる。それはアーベル群の既約複素表現が必ず一次元であるというシューアの補題から得られるものである。円周群はコンパクトであるから、任意の表現 テンプレート:Math は テンプレート:Math に値を取らなければならない。したがって円周群の既約表現とは単に、円周群上の位相群の自己準同型のことに他ならない。実はそのような準同型は
の形であり、これらの表現は全て同値でない。また表現 テンプレート:Math は テンプレート:Mvar のテンプレート:Ill2である ()。これらの表現はちょうど円周群上の指標であり、したがって明らかに テンプレート:Mathbf の指標群は テンプレート:Math の生成する無限巡回群である:
で尽くされる。ここで、テンプレート:Mvar を正整数としているのは、テンプレート:Math は テンプレート:Mvar と同値だからである。
抽象群構造
本節では位相構造を考えない単に代数的な群としての円周群の構造について扱う。
円周群 テンプレート:Mathbf は可除群である。そのねじれ部分群は任意の正整数に亙る テンプレート:Math の冪根全体の成す集合として与えられ テンプレート:Mathbf に同型である。可除群の構造定理と、選択公理を用いれば、テンプレート:Mathbf が テンプレート:Mathbf と適当な数の テンプレート:Mathbf のコピーとの直和に同型となることが分かるテンプレート:Citation needed。このときの テンプレート:Mathbf のコピーの数は(直和群の濃度が正しくなるためには)連続体濃度 テンプレート:Math でなければならないが、テンプレート:Mathbf の連続体濃度 テンプレート:Math 個のコピーの直和は テンプレート:Mathbf に同型(テンプレート:Mathbf が テンプレート:Mathbf 上の テンプレート:Math-次元ベクトル空間であるのと同様)なのだから、代数的な群の同型
を得る。同様にして、同型
も証明できる(テンプレート:Math もまた加除アーベル群で、そのねじれ部分群は テンプレート:Mathbf のねじれ部分群と同一であることによる)。
関連項目
脚注
参考文献
関連文献
- Hua Luogeng (1981) Starting with the unit circle, Springer Verlag, テンプレート:ISBN2.