エタール基本群

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テンプレート:読み仮名 ruby不使用とは、基本群代数幾何学版である。任意のスキームに対して定義されるで、位相空間の基本群と似た性質を持つ。テンプレート:読み仮名 ruby不使用とも呼ばれる。

定義の背景

代数的位相幾何学では、基点付き位相空間 テンプレート:Math の基本群 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar を基点とする閉曲線のホモトピー類全体のなすとして定義した。この定義は実多様体や複素多様体のような空間に対してはうまくいくが、ザリスキー位相を備えさせた代数多様体に対しては望ましい結果が得られないテンプレート:Sfn

一方、基本群はテンプレート:仮リンク被覆変換群と思うこともできたのであった。こちらの特徴づけを使って代数多様体への拡張を考えるとうまくいく。まず被覆空間の代数幾何学での類似物としては有限エタール射が適当なものとして使える。残念なことに、代数多様体 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 上有限な「普遍被覆」を滅多に持たないテンプレート:Sfn。それゆえ テンプレート:Mvar の有限エタール被覆すべてを考えなければならない。そしてすべての有限エタール被覆の自己同型群の射影極限としてエタール基本群を定義する。

正式な定義

X を連結な局所ネータースキームxX幾何学的点とする。圏 C を、対象はスキーム Y と有限エタール射 f:YX の組 (Y,f) (Y,f)(Y,f)X 上のスキームとしての射 YY として定義する。

C から集合の圏への関手 F

F(Y)=HomX(x,Y)

で定義する。幾何学的に言えば、これは YXx 上のファイバーを取る関手である。圏論的に言えば、これは X 上のスキームの圏の中で x によってテンプレート:仮リンクされる米田関手である。関手 F は通常 C において表現可能ではないが、C の(一般には)無限個の対象によって表現可能な、pro-representable 関手であるテンプレート:Sfn。つまり有向集合 I によって添字付けされる C の対象 XiiI)からなる射影系 {XjXii<jI} が存在し

F(Y)=limiIHomC(Xi,Y)

が成り立つ。さらに Xi はすべてガロア被覆で取れる。ガロア被覆とは #AutX(Xi)=deg(Xi/X) が成り立つものであるテンプレート:Sfn。射影系を構成する射 XjXi は群準同型 AutX(Xj)AutX(Xi) を誘導するので、射影系 {Xi} から有限群の射影系 {AutX(Xi)} が生じる。有限群を離散位相で位相群とみてこの射影系の射影極限をとったものを

π1(X,x)=limiIAutX(Xi)

と書く。これを Xx を基点とするエタール基本群と呼ぶテンプレート:Sfn

F(Y)π1(X,x) が連続に作用する有限集合と自然に思えるので、FC から連続な π1(X,x) 作用を持つ有限集合の圏への関手と思える。この関手はこの2つの圏の圏同値を与えるテンプレート:Sfn[1]

例と定理

基本群の最も基本的な例は テンプレート:Mvar の基本群 テンプレート:Math である。この群は絶対ガロア群 テンプレート:Math と同型であることが定義から簡単に示されるテンプレート:Sfn。ガロア群のこの解釈はグロタンディークのガロア理論と呼ばれている。

完全系列

テンプレート:Mvar 上の幾何的に連結な任意の代数多様体 テンプレート:Mvar (つまり テンプレート:Math が連結となるような テンプレート:Mvar)に対して副有限群の完全系列

テンプレート:Math

が成り立つテンプレート:Sfn

標数0の体上のスキーム

複素数体 テンプレート:Math 上の有限型スキーム テンプレート:Mvar に対しては テンプレート:Mvar のエタール基本群と テンプレート:Mvar に付随する複素解析空間 テンプレート:Math の通常の位相幾何学的な意味での基本群との間に密接な関係がある。代数的基本群(この場合にはよくこう呼ばれる)は通常の意味での基本群 テンプレート:Mathテンプレート:仮リンクと同型であるテンプレート:Sfn。これは、テンプレート:Math のすべての有限エタール被覆は テンプレート:Mvar のそれから来ることを主張するテンプレート:仮リンクの帰結である。特に テンプレート:Math 上の滑らかな曲線(開リーマン面である)の基本群の構造はよく知られているので、そのエタール基本群の構造もよく分かっていると言える。

一般に、代数的閉体上の代数多様体の基礎体を別の代数的閉体に拡大しても代数的基本群は変化しないテンプレート:Sfn。これを使えば、標数0の任意の代数的閉体上の固有スキームの基本群は複素数体上の代数多様体に帰着させることで計算できるテンプレート:要出典

正標数の体上のスキームと順分岐基本群

正標数の代数的閉体 テンプレート:Mvar 上の代数多様体の場合は、アルティン・シュライアー被覆の存在により結果は異なる。例えば、アフィン直線 𝐀k1 の基本群は位相的に有限生成とはならない[2]。スキーム テンプレート:Mvar順分岐基本群(tame fundamental group)とは、テンプレート:Mvar のエタール基本群の商であって、テンプレート:Mvar に沿って順分岐な被覆のみを考慮したものである。ここで テンプレート:Mvar は適当なコンパクト化で テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar における テンプレート:Mvar の補集合である[3][4]。例えばアフィン直線の順分岐基本群は自明な群である。

標数 テンプレート:Mvar の体上のアフィン・スキーム

すべてのアフィン・スキーム X𝐀knK(π,1) 空間であることが知られている。これは、X 上の局所系のエタール・コホモロジーがエタール基本群の群のコホモロジーと同型になるという意味であり、高次のエタール・ホモトピー群が自明な群になるという意味である[5]。ここで π=π1et(X,x)X の幾何学的点 x を基点とするエタール基本群である。

その他の話題

圏論的には、基本群は関手

{基点付きスキーム} → {副有限群}

である。

ガロアの逆問題はこの関手の性質についての問題と言える。副有限群の圏の対象でどのようなものが基点付きスキームの圏からこの関手によってやって来るか、つまりどのような群が基本群(やガロア群)として現れるかを問うのがこの問題であった。

遠アーベル幾何学もこの関手の研究をする学問と言える。例えばこの関手で送ったら同型になる2つの代数多様体がもとの圏で同型かどうかを問うのがグロタンディークの予想である。また、グロタンディークのテンプレート:仮リンクは、この関手から定まる写像 テンプレート:Math の性質に関する予想と言える[6]

テンプレート:Harvtxt はスキームのエタール・ホモトピー型を使って高次エタール・ホモトピー群の研究を行った。

pro-étale基本群

テンプレート:Harvtxtpro-étale基本群と呼ばれるエタール基本群の変形版を導入した。これは有限エタール被覆の代わりにエタールかつ固有性の付値判定法を満たす射を考えることで構築されるテンプレート:Sfn。正規スキームなどの幾何的単枝スキーム(geometrically unibranch scheme)に対してはこの2つのアプローチは一致するテンプレート:Sfn。しかし一般にはpro-étale基本群はよりよい不変量である。そのテンプレート:仮リンクはエタール基本群になるテンプレート:Sfn

関連項目

脚注

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注釈

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出典

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参考文献