ガロア群

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ガロア群:Galois Group)とは、代数方程式または体の拡大から定義される群のことである。発見者であるフランス数学者エヴァリスト・ガロアから命名された。これらの群を用いて方程式などの数学的対称について研究する分野をガロア理論と呼ぶ。

定義

体の拡大のガロア群

テンプレート:Math テンプレート:Math の拡大体とし、その体の拡大を テンプレート:Math と表わすこととする。また テンプレート:Math自己同型を、 テンプレート:Math の各元を固定する テンプレート:Math の自己同型と定義する。このとき、 テンプレート:Math の自己同型全体は群を成す。これを テンプレート:Math と表わす。 テンプレート:Mathガロア拡大であるなら、 テンプレート:Math を拡大 テンプレート:Math のガロア群と呼び、 テンプレート:Math で表わす。 テンプレート:Math がガロア拡大でない場合は、 テンプレート:Math のガロア閉包 テンプレート:Math に対する自己同型群 テンプレート:Math を、テンプレート:Math のガロア群と定義することもある。

多項式のガロア群

テンプレート:Math が多項式 テンプレート:Mathテンプレート:Math 上の分解体( テンプレート:Math の根をすべて含む最小の テンプレート:Math の拡大体)であるとき、 テンプレート:Mathテンプレート:Mathテンプレート:Math 上のガロア群と呼ぶ。

下記の例において、 F は一般の体、 C, R, Qはそれぞれ複素数体実数体有理数体とする。また、 F(a) は体 F に元 a を添加した体、即ち F の全ての元と a をふくむ最小の体であるとする。

  • Gal(F/F)は恒等写像のみからなる自明な群。
  • Gal(C/R)は恒等写像と複素共役写像の2つの元からなる群[1]
  • Aut(R/Q)は自明な群であることが知られている。実際、Rの自己同型は順序を保つことが示せるので、必然的に恒等写像となる。
  • Aut(C/Q) は無限群になることが知られている。
  • Gal(Q(テンプレート:Math)/Q) は、恒等写像および、テンプレート:Mathテンプレート:Mathを入れ替える写像からなる。
  • K = Q(テンプレート:Math)とするとき、Aut(K/Q)は自明な群となる。これはK正規拡大でない(x3 − 2の根を全て含んでいない)ためである。これはK分解体ではないからと言いかえることもできる。
  • ω を1の3乗根とするとき、拡大体L = Q(テンプレート:Math, ω)は、多項式x3 - 2のQ上の分解体となり、自己同型群は、3次の置換群 S3と同型となる。
  • q を素数の累乗とし、F , E をそれぞれ 位数 q と位数 qn有限体とするとき、Gal(E/F) は位数 n の巡回群となる。
  • p を素数とするとき、 fp 次の有理係数既約多項式で、実数でない解をちょうど2つ持つならば、f のガロア群はp 次の置換群Spに等しい[2]

性質

ガロア理論の基本定理

テンプレート:Mainテンプレート:Mvar を体 テンプレート:Mvar の有限次ガロア拡大とする。テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の中間体 テンプレート:Mvarテンプレート:Math の部分群 テンプレート:Mvar について次の式が成立つ。

M=LGal(L/M),H=Gal(L/LH).

ただし、テンプレート:Math は拡大 テンプレート:Math のガロア群であり、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の元のうちで テンプレート:Mvar の下で不変になっているもののなす テンプレート:Mvar の部分拡大を指す。

したがって、テンプレート:Mvar の中間体 テンプレート:Mvar とガロア群 テンプレート:Math の部分群 テンプレート:Mvar の間の対応

ϕ:MH=Gal(L/M),ψ:M=LHH

は互いに逆で、これらは全単射になることがわかる。また、この対応はあきらかに包含関係を逆にしている。つまり、テンプレート:Math ならば テンプレート:Math なら テンプレート:Math となる。

代数方程式の可解性

テンプレート:Main 標数0の体上においては、代数方程式が四則演算及びべき根で解けることと、その方程式のガロア群が可解群となることは同値となる。またそのことより、5次以上の代数方程式にはべき根による一般的解法が存在しないことが示せる。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

  • テンプレート:Citation
  • テンプレート:Lang Algebra
  • 中島匠一:「代数方程式とガロア理論」、共立出版、ISBN 978-4-32001696-5 (2006年7月10日)。
  • 木村俊一「ガロア理論」,共立(数学のかんどころ14),ISBN 978-4-32001994-2 (2012年11月15日)。

外部リンク

  1. テンプレート:Citation
  2. David A. Cox (2004年)『Galois Theory』 Wiley-Interscience、ISBN 978-0471434191