スチビニン

テンプレート:Chembox スチビニン(Stibinin)またはスチバベンゼン(Stibabenzene)は、化学式C₅H₅Sbの有機化合物である。ベンゼンの誘導体で、炭素原子1つがアンチモン原子に置き換わっている。有機アンチモン化合物の1つである。

合成

スチビニンの合成は、3段階で行うことができる。最終生成物は、かなり不安定だが単離できる。最初の段階は、ペンタ-1,4-ジインをジブチルスタナンで処理し、下記のような反応を起こす。 $\mathrm{C}{\phantom{A}}_5\mathrm{H}{\phantom{A}}_4+\mathrm{B}\mathrm{u}{\phantom{A}}_2\mathrm{S}\mathrm{n}\mathrm{H}{\phantom{A}}_2⟶\mathrm{C}{\phantom{A}}_{13}\mathrm{H}{\phantom{A}}_{24}\mathrm{S}\mathrm{n}$

第2段階では、第1段階の生成物である1,1-ジブチル-1,4-ジヒドロスタニンを三塩化アンチモンで処理し、1-クロロ-1-スチバシクロヘキサ-2,5-ジエンを生成する。 $\mathrm{C}{\phantom{A}}_{13}\mathrm{H}{\phantom{A}}_{24}\mathrm{S}\mathrm{n}+\mathrm{S}\mathrm{b}\mathrm{C}\mathrm{l}{\phantom{A}}_3⟶\mathrm{C}{\phantom{A}}_5\mathrm{H}{\phantom{A}}_6\mathrm{S}\mathrm{b}\mathrm{C}\mathrm{l}$

最終段階では、1-クロロ-1-スチバシクロヘキサ-2,5-ジエンを[[1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン]](DBN)等の塩基で処理し、スチビニンを得る。 $\mathrm{C}{\phantom{A}}_5\mathrm{H}{\phantom{A}}_6\mathrm{S}\mathrm{b}\mathrm{C}\mathrm{l}+\mathrm{D}\mathrm{B}\mathrm{N}⟶\mathrm{C}{\phantom{A}}_5\mathrm{H}{\phantom{A}}_6\mathrm{S}\mathrm{b}$

類似の化合物

ベンゼンの1つの炭素原子を15族元素で置き換えた誘導体も、スチビニンの合成と似た合成経路で合成することが可能である。1,1-ジブチル-1,4-ジヒドロスタニンと三塩化ヒ素、三臭化リン、三塩化ビスマスの反応で、各々アルサベンゼン、ホスファベンゼン、1-クロロ-1-ビスマシクロヘキサ-2,5-ジエンが生成する。1-クロロ-1-ビスマシクロヘキサ-2,5-ジエンをDBN等の塩基で処理すると、ビスマベンゼンが得られる。

1,1-ジブチル-1,4-ジヒドロスタニンからアルサベンゼン、ホスファベンゼン、ビスマベンゼン、スチバベンゼンの合成経路