テオドロスの螺旋

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斜辺17である直角三角形までのテオドロスの螺旋

テオドロスの螺旋(テオドロスのらせん、テンプレート:Lang-en-short)は、 キュレネのテオドロスの名を冠する、高さが1、底辺が前の直角三角形である直角三角形の渦巻であるテンプレート:R

構築

テオドロスの螺旋は、底辺高さが1である直角二等辺三角形から始まる。次の三角形を、底辺が前の直角三角形の斜辺(長さは2の正の平方根)、高さが1である、先の直角三角形の外側にある直角三角形とする。

さらに次の三角形を、底辺が先の直角三角形の斜辺(長さは3の正の平方根)、高さが1である、先の直角三角形の斜辺と高さの間の点を直角とし、外側にある直角三角形とする。

以後、一般にn1回目の直角三角形の外側に、その三角形の長さnの斜辺を底辺、斜辺と高さの間の点を直角とする、高さ1の直角三角形を作り続ける。この連なりをテオドロスの螺旋と言う。例えば16回目の直角三角形は底辺は16=4、高さは1、斜辺は17である。

歴史

テオドロスの功績は失われたが、プラトンの作品であるテアイテトスの回想部で彼の功績が伝えられた。テオドロスは、テオドロスの螺旋を用いて平方数でない3から17の数の平方根無理数であることを示したと言われているテンプレート:R

テオドロスが2の平方根の証明に関与していないことはよく知られていたため、プラトンもそれをテオドロスに帰さなかった。テオドロスとテアイテトスは、異なる方法で有理数と無理数を分別したテンプレート:R

斜辺

n個目の三角形の斜辺をhnとすると、hn自然数nの正の平方根となる。

テオドロスに教えられたプラトンは、なぜテオドロスは17で止めてしまったのか疑問に思った。一般に、その理由は17は直角三角形が重ならない最後の三角形の斜辺であったからであると考えられているテンプレート:R

三角形の重なり

1958年、カレブ・ウィリアムズ(Kaleb Williams)は、テオドロスの螺旋のどの斜辺も重ならないことを示した。また、長さ1の辺の延長は、ほかのどの頂点も通らないことも証明したテンプレート:R

拡張

テオドロスは螺旋を斜辺が17になるところで止めてしまったが、螺旋を無限に続けることができる。

成長率

φk

k

番目の三角形の螺旋の中心がある頂点の角として

tan(φk)=1k.

である。したがって、

φk

は次の式で表せるテンプレート:R

φk=arctan(1k).

最初の直角三角形の底辺と、

n

番目の三角形の斜辺の成す角

φ(n)

は、1から

n

までの

φk

の和である。これは有界関数

c2

を用いて次の様に表せるテンプレート:R

φ(n)=k=1nφk=k=1narctan(1k)=2n+c2(n)

ただし

limkc2(k)=2.157782996659

(テンプレート:OEIS)

螺旋の一部

半径

螺旋の半径の成長は任意のnについて次の式で表せる。Δr=n+1n.

アルキメデスの螺旋

テオドロスの螺旋はアルキメデスの螺旋によって近似できるテンプレート:R。アルキメデスの螺旋の2つの渦の距離は数学定数である円周率πに近づいていくように、テオドロスの螺旋の2つの渦巻きの距離は無限に近づくにつれて、急速にπに近づくテンプレート:R

渦の数 渦の距離の平均 渦の距離の平均とπの近似精度
2 3.1592037 99.44255%
3 3.1443455 99.91245%
4 3.14428 99.91453%
5 3.142395 99.97447%
π 100%

5回目の渦でさえ、その近似率は99.97%であるテンプレート:R

連続的な曲線

フィリップ・J・デイヴィスのによるテオドロスの螺旋を解析的につなげたもの。数字は整数である原点との距離。青は反対方向に螺旋を拡張したもの。

離散的なテオドロスの螺旋をどのように内挿して滑らかな曲線にするかという問題は2001年にフィリップ・J・デイヴィスによって提案、解決された。階乗ガンマ関数に内挿するのにオイラーの公式を用いることを類推して、デイヴィスは次の式を用いたテンプレート:Sfnp:T(x)=k=11+ik1+ix+k(1<x<)T(x)実数xにおいて、螺旋の複素平面上の座標を表す。テンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクはさらにこの関数を研究した。次の関数方程式の解は一意的にT(x)のみに定まる。f(x+1)=(1+ix+1)f(x),初期条件はf(0)=1かつ、偏角絶対値において、単調増加であることである[1]

解析的なデイヴィスの連続化は原点から反対方向の螺旋へと拡張できるテンプレート:Sfnp

図に、元の離散的なテオドロスの螺旋の節を緑の円で示してある。青い円は螺旋を反対方向に繋げたもので、整数の範囲でn番目の点の極半径がrn=±|n|となっている。破線の円は原点Oにおける曲率円である。

関連項目

出典

テンプレート:Reflist

参考文献