ハムサンドイッチの定理
数学の測度論におけるハムサンドイッチの定理(ハムサンドイッチのていり、テンプレート:Lang-en-short)、またはストーン・テューキーの定理(テンプレート:Lang-en-short. テンプレート:仮リンクとジョン・テューキーに因む)とは、テンプレート:Mvar 次元空間内に与えられた テンプレート:Mvar 個の可測な「物体」に対して、それぞれの量を一度に等分することが出来るような テンプレート:Math 次元超平面が存在することについて述べた定理である。ここでの「量を等分する」という文が意味を持つために、そのような「物体」は有限測度(あるいは有限外測度)の集合でならなければならない。
名前の由来
ハムサンドイッチの定理は、テンプレート:Math である場合、3つの「物体」としてハムとそれを挟む2枚のパン(すなわち、サンドイッチ)を考えることで、1回のナイフカット(数学的に言うと平面)でそれらすべての量をそれぞれ半分に出来るような切り方が必ず存在する、と言い換えることが出来る。2次元 (テンプレート:Math) の場合、この定理はパンケーキの定理として知られ、皿の上に載せられた2枚の限りなく薄いパンケーキを、一回のナイフカット(数学的に言うと直線)でそれらすべての量をそれぞれ半分に出来るような切り方が必ず存在する、と言い換えられる。
ハムサンドイッチの定理はしばしばハムチーズサンドイッチの定理とも呼ばれ、この場合 テンプレート:Math での3つの物体としては
が選ばれる。この場合の定理は「与えられたハムチーズサンドイッチに対し、そのハム、チーズ、パンの量がそれぞれ半分となるようなサンドイッチの切り方が必ず存在する」と言い換えられる。
なお、はさみうちの原理を指してサンドイッチ定理 テンプレート:En と呼ぶことがあるが、本項におけるハムサンドイッチの定理とは無関係である。
歴史
ハムサンドイッチの定理についてまとめた テンプレート:Harvtxt によれば、平面上の3つの物体を等分する テンプレート:Math のケースを考えた初めての研究は テンプレート:Harvtxt であるとされている。問題の提示はテンプレート:仮リンクによりなされ、その解決はステファン・バナフによりなされた(証明にはテンプレート:仮リンクが用いられた)。提示された問題には、2種類の文章が存在した。1つ目は公式的なものとして、「任意に配置された3つの物体を、ひとつの適切な平面によって等分することは常に可能であるか?」であり、2つ目は非公式的なものとして、「肉と骨と油が等分されるように、ミートカッターの下にハムを配置することは可能か?」であった。
より近代的なアプローチを示した文献として、ストーン・テューキーの定理とも呼ばれるきっかけとなった、テンプレート:Harvtxt が挙げられる。この論文では、測度を含むより一般的な設定の下での、定理の テンプレート:Mvar 次元版の証明が行われた。ある査読者からの情報によるとテンプレート:誰、テンプレート:Math の場合の証明はスタニスワフ・ウラムによるものとされているが、テンプレート:Harvtxt はこれを間違いだと指摘している(ボルサック・ウラムの定理によって「ウラムは確かに問題解決への根本的な貢献を与えた」とは注意されている)。
ボルサック・ウラムの定理への転化
ハムサンドイッチの定理は、テンプレート:仮リンクを用いることによって、以下に述べる手順で証明される。この証明は、ステインハウスや他の研究者によって与えられたものであり、テンプレート:Math の場合はステファン・バナフに従う。
今、2等分しようとしている テンプレート:Mvar 個の物体を テンプレート:Math と表す。テンプレート:Mvar 次元ユークリッド空間 テンプレート:Math に埋め込まれている、原点を中心とする テンプレート:Math 次元単位球面を テンプレート:Mvar と表す。その球面 テンプレート:Mvar の表面上の任意の点 テンプレート:Mvar に対して、原点から テンプレート:Mvar への法線ベクトルに直交する(必ずしも 0 を中心としない)有向アフィン超平面の連続体を、そのベクトルの指す方向である各超平面の「正の方向」によって定義することができる。
中間値の定理により、そのような超平面のすべての族には、有界な物体 テンプレート:Mvar を2等分するような超平面が少なくとも1つ含まれている。すなわち、一つの極端な場合には、そのような「正の方向」に含まれるような テンプレート:Mvar の体積は全くなく、またもう一方の極端な場合には、テンプレート:Mvar のすべての体積がそのような「正の方向」に含まれるため、その中間には必ずちょうど半分の テンプレート:Mvar の体積が「正の方向」に含まれるような場合が存在する、ということである。
もしもその族にそのような超平面が1つ以上含まれているのなら、テンプレート:Mvar が2等分される各 translations の間隔の中点を選ぶことにより、唯一つだけ超平面を決めることができる。したがって、球面 テンプレート:Mvar の表面上の各点 テンプレート:Mvar に対して、原点から テンプレート:Mvar へのベクトルと直交し、かつ テンプレート:Mvar を2等分するような超平面 テンプレート:Math を得ることができる。
その テンプレート:Math-球面から テンプレート:Math-次元ユークリッド空間 テンプレート:Math への関数 テンプレート:Mvar を、次のように定める:
- テンプレート:Math (テンプレート:Math の正の方向に含まれる テンプレート:Math の体積, テンプレート:Math の正の方向に含まれる テンプレート:Math の体積, ..., テンプレート:Math の正の方向に含まれる テンプレート:Math の体積).
この関数 テンプレート:Mvar は連続である。したがって、テンプレート:仮リンクにより、テンプレート:Math であるような球面 テンプレート:Mvar 上の対蹠点 テンプレート:Mvar と テンプレート:Mvar が存在する。そのような対蹠点 テンプレート:Mvar と テンプレート:Mvar は、正とする方向が正反対であることを除いて等しいような超平面 テンプレート:Math と テンプレート:Math に対応する。したがって、テンプレート:Math は、各 テンプレート:Math に対して、超平面 テンプレート:Math (あるいは テンプレート:Math)の正の方向と負の方向に含まれる テンプレート:Math の体積が等しいことを意味する。以上のことから、テンプレート:Math (あるいは テンプレート:Math)が、テンプレート:Math の体積を同時に2等分するような、求めるハムサンドイッチカットであることが分かる。
測度論の場合
測度論において、テンプレート:Harvtxt は1種類の、より一般的な形式のハムサンドイッチの定理を証明した。それらはいずれも、共通とする集合 テンプレート:Mvar に含まれる テンプレート:Mvar 個の部分集合 テンプレート:Math の2等分に関するものであった。ここで テンプレート:Mvar はカラテオドリ外測度を持ち、各 テンプレート:Math は有限外測度を持つとされる。
一つ目の一般的な形式化は、次のようなものである: 適切に制限された任意の実関数 に対して、テンプレート:Mvar-球面 テンプレート:Math に含まれるある点 テンプレート:Mvar が存在し、テンプレート:Mvar を テンプレート:Math と テンプレート:Math に分割するようなその表面が、 テンプレート:Math の各外測度を同時に2等分する。この証明には、再びボルサック・ウラムの定理が用いられる。この定理は、テンプレート:Math とすることによって標準的なハムサンドイッチの定理を一般化するものである。
二つ目の形式化は次のようなものである:正測度の テンプレート:Mvar の任意の部分集合において線型独立であるような、テンプレート:Mvar の テンプレート:Math 個の任意の可測関数 テンプレート:Math に対して、ある線型結合 テンプレート:Math が存在し、テンプレート:Mvar を テンプレート:Math と テンプレート:Math へ2等分するようなその表面 テンプレート:Math は、テンプレート:Math の各外測度を同時に2等分する。この定理は、テンプレート:Math とし、また各 テンプレート:Math に対して テンプレート:Math を テンプレート:Mvar の テンプレート:Mvar 番目の座標とすることによって、標準的なハムサンドイッチの定理を一般化するものである。
参考文献
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