パンシェルル微分

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数学におけるパンシェルル微分(パンシェルルびぶん、テンプレート:Lang-en-short)は多項式環上の線型作用素に対し、それと不定元による乗算作用素との交換子をとることによって与えられる新たな線型作用素である。この概念はイタリアの数学者テンプレート:仮リンク(1853–1936)の名にちなむ。

定義

テンプレート:Math テンプレート:Math 上の変数 テンプレート:Mvar に関する多項式全体の成すベクトル空間とし、

x~:𝕂[x]𝕂[x];p={p(x)}x~p={xp(x)}

テンプレート:Mvar による掛け算を行う作用素とする。

テンプレート:Math 上の線形作用素 テンプレート:Mathパンシェルル微分 テンプレート:Mvar は、自己準同型環 テンプレート:Math における テンプレート:Mvar の乗算作用素と T との交換子

T:=[T,x~]=Tx~x~T=ad(x)T,

すなわち任意の テンプレート:Math に対し

T{p(x)}=T{xp(x)}xT{p(x)}

を満たす線型自己準同型作用素である。

性質

任意の交換子がそうであるように、パンシェルル微分 テンプレート:Math は自己準同型環 テンプレート:Math 上のテンプレート:仮リンク(導分)である。すなわち、自己準同型環 テンプレート:Math に属する任意の二つの線形作用素 テンプレート:Mvar に対し、

  • (和の法則) (T+S)=T+S;
  • 積の法則(TS)=TS+TS

を満たす(ただし、積 テンプレート:Math写像の合成によって定める)。また テンプレート:Math を通常のリーブラケットとして、ヤコビ恒等式より

  • [T,S]=[T,S]+[T,S]

が成立する。

通常の微分 テンプレート:Math は多項式に対する作用素と見なせる。直接的な計算により、そのパンシェルル微分は テンプレート:Math(右辺の テンプレート:Mathテンプレート:Math 倍する乗算作用素)となり、数学的帰納法により

(Dn)=(dndxn)=nDn1

に一般化できる。このことから、微分作用素 テンプレート:Math のパンシュレル微分

=nandn1dxn1=nanDn1

もまた微分作用素であることが分かり、したがってパンシェルル微分は微分作用素全体の成す環 テンプレート:Math 上の微分子になる。

シフト作用素 テンプレート:Mathテイラー展開

Sh=n=0hnn!Dn

を考えることにより、そのパンシェルル微分

Sh=n=1hn(n1)!Dn1=hSh

を得る。すなわち、シフト作用素はパンシェルル微分の固有ベクトルであり、対応するスペクトルはスカラーの空間全体 テンプレート:Math である。

テンプレート:Mvarシフト同変、すなわち テンプレート:Mvarテンプレート:Math と可換(テンプレート:Math)ならば テンプレート:Math となり、テンプレート:Mvar もまた同じシフト テンプレート:Mvar に対してシフト同変であることが分かる。

離散時間デルタ作用素 テンプレート:Math は、作用素として

δ=1h(Sh1)

と書ける(積の順番に注意)から、そのパンシェルル微分 テンプレート:Math はシフト作用素である。

関連項目

外部リンク