ヘルダー平均
ヘルダー平均(ヘルダーへいきん、テンプレート:Lang-en)、またはべき平均(べきへいきん)、一般化平均(いっぱんかへいきん、テンプレート:Lang-en)、[1]とは、数の集合を集計する関数の族である。特別な場合としてピタゴラス平均(算術平均、幾何平均、調和平均)を含む。名称はオットー・ヘルダーにちなむ。
定義
テンプレート:Math を0でない実数とする。正の実数 テンプレート:Math に対して指数 テンプレート:Math のヘルダー平均は次で定義される[2]:
テンプレート:See also テンプレート:Math のときは、幾何平均(指数が0に向かうときの極限)で定義する。
さらに、重み テンプレート:Math (正の数のセット。ただし)に対して重み付きヘルダー平均は次で定義される:
重みを考えない平均は、すべての重みを テンプレート:Math としたものに相当する。
特別な場合

いくつかの特定の テンプレート:Math の値に対しては、特別の名前が付けられている[3]。
の証明 (幾何平均) 指数関数を使ってテンプレート:Math の定義式を書き変える。
テンプレート:Math の極限で指数関数の引数にロピタルの定理を適用する。分子と分母をそれぞれ テンプレート:Math で微分することで
を得る(重み テンプレート:Math の合計が必ず1になることを利用した)。指数関数の連続性により上の関係を代入し直して
を得る[2]。
および の証明 (必要なら添え字を付けなおすなどして)と仮定する。すると
を得る。については
より導出できる。
性質
ヘルダー平均は次の性質をもつ[1]:
- 引数 テンプレート:Math の最小値と最大値の間にある。
- 引数に対して対称である。つまり引数を並べ替えてもその値を変えない。引数の置換演算子を テンプレート:Math とすると次式で表される:
- 他の平均と同様、引数 テンプレート:Math に対して斉次である。つまり テンプレート:Math を正の実数として次式が成り立つ:
- テンプレート:仮リンクと同様に、平均の計算は同じサイズのサブブロックの計算に分割できる。これにより、必要に応じて分割統治法を使用して平均を計算できる。
異なるヘルダー平均の間に成り立つ不等式
一般に テンプレート:Math ならば
である。また2つの平均が等しいのは テンプレート:Math のとき、かつそのときに限る。これはイェンセンの不等式より、任意の実数 テンプレート:Math に対して
が成り立つためである。
特に テンプレート:Math の場合を考えると、この不等式は調和平均 ≤ 幾何平均 ≤ 相加平均
を意味する。
応用
信号処理
ヘルダー平均より非線形移動平均が導かれる。これは小さい テンプレート:Math の場合には小さい信号値を強調し、大きい テンプレート:Math の場合は大きい信号値を強調する。移動算術平均の効率的な実装である smooth が使えるならば、次のHaskellコードに従って移動ヘルダー平均を実装できる。
powerSmooth :: Floating a => ([a] -> [a]) -> a -> [a] -> [a]
powerSmooth smooth p = map (** recip p) . smooth . map (**p)
- テンプレート:Math が大きい場合、整流された信号の包絡線検波が得られる。
- テンプレート:Math が小さい場合、マススペクトルのベースライン検出器が得られる。
一般化 f-平均
ヘルダー平均はさらにテンプレート:仮リンクに一般化できる。
この式は テンプレート:Math とすれば、極限を使うことなく幾何平均も表すことができる。ヘルダー平均は テンプレート:Math とすることで得られる。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 テンプレート:Cite book
- ↑ 2.0 2.1 P. S. Bullen: Handbook of Means and Their Inequalities. Dordrecht, Netherlands: Kluwer, 2003, pp. 175-177
- ↑ テンプレート:MathWorld (retrieved 2019-08-17)
関連項目
- 算術幾何平均
- 平均
- テンプレート:仮リンク
- テンプレート:仮リンク
- テンプレート:仮リンク – これもヘルダー平均と同様に冪乗に関係する平均である。
- ミンコフスキー距離