ライプニッツの公式

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ライプニッツの公式(ライプニッツのこうしき、テンプレート:Lang-en)とは円周率の値を求めるための公式の一つである。以下の級数で表される。

113+1517+19=π4

これは初項が 1 で各項が奇数逆数である交項級数テンプレート:Math に収束することを意味する。総和の記号を用いると以下のようになる。

n=0(1)n2n+1=π4

この公式を名付けたのはライプニッツであるが、これはすでに15世紀インド数学者マーダヴァがライプニッツより300年ほど前に発見していたものである。公式の発見がマーダヴァの功績であることを示すためにマーダヴァ-ライプニッツ級数と呼ばれることもある。

証明

冪級数展開を用いる証明

三角関数の一つ テンプレート:Mathテンプレート:Mvar について微分すると

ddθtanθ=1+tan2θ

となる。ここで テンプレート:Math とおくと

dxdθ=1+x2,dθdx=11+x2(1)

が導かれる。

また以下の等比級数を考える。

1x2+x4x6+x8=11+x2(|x|<1)(2)

左辺は公比が テンプレート:Math であり、テンプレート:Math すなわち テンプレート:Math のとき テンプレート:Math収束する。(1), (2)式から

dθdx=1x2+x4x6+x8(|x|<1)

が得られる。この両辺を テンプレート:Mvar について項別積分すれば

θ=xx33+x55x77+x99(|x|<1)(3)

となる(この時、左辺をarctan xと表すとグレゴリー級数のかたちとなる)。(テンプレート:Mathのとき テンプレート:Math であるから定数項は テンプレート:Math である。)テンプレート:Math としたので テンプレート:Math のとき テンプレート:Math である。これを利用して(3)式に テンプレート:Mathテンプレート:Math を代入すると

π4=113+1517+19

という式が現れる。ただし テンプレート:Mathテンプレート:Mathの条件に反するので(3)式に テンプレート:Math を代入できるかどうかが問題になるが、この場合は代入してもよいことが分かっている(アーベルの連続性定理)。

フーリエ級数を用いた証明

方形波フーリエ級数で表す証明法もある。方形波 テンプレート:Math

f(x)={1πx<010x<π

と定義する(これは区分的に滑らかな関数で テンプレート:Math可積分である)と、フーリエ係数 テンプレート:Math はこの方形波が奇関数なので テンプレート:Math であり、テンプレート:Math は以下の式で表す。

bn=1πππf(x)sinnxdx=1π{π0(1)sinnxdx+0π1sinnxdx}

これを計算すると以下のようになる。

bn={4nπn=2k+1(k)0n=2k

したがって方形波のフーリエ級数は

f(x)=4π(sinx+13sin3x+15sin5x+)

となり、テンプレート:Mathテンプレート:Math において連続であるから、両辺に テンプレート:Math を代入すると

1=4π(113+15)

であるのでライプニッツの公式が得られる。

性質

この公式は単純な形をしているが、実際の円周率の計算に用いるには収束が非常に遅いために全く適していない。10進法での正確な値 (= 3.1415926535…) を10桁分計算するだけで100億回以上の計算を要するほどである。ちなみに最初の500万項の部分和を計算すると テンプレート:Mvar近似値として

3.1415924535897932384646433832795027841971693993873058…

が得られる。下線の引かれている桁だけ間違っているが、こういった誤差がいくらになるのか予想することは次の近似式で可能である。

π4n=0N2(1)n2n+112m=0E2mN2m+1

テンプレート:Mathオイラー数テンプレート:Mvar は 4 で割り切れる自然数である。テンプレート:Mvar に 10 の累乗数を代入すると、右辺の部分和からこの公式で求めた10進法表記での誤りが現れる桁の位置とその誤差を計算できる。

関連項目

テンプレート:級数