レイリー商

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テンプレート:翻訳中途 テンプレート:Anchors 数学における、与えられた複素エルミート行列 テンプレート:Mvar と零でないベクトル テンプレート:Mvar に対するレイリー商(れいりーしょう、テンプレート:Lang-en-short)またはレイリー・リッツ比(レイリー・リッツひ、テンプレート:Lang-en-short)は次のように定義されるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

R(𝑴,𝒙):=𝒙*𝑴𝒙𝒙*𝒙.

名称は物理学者レイリー卿ヴァルター・リッツに因む。

行列および実ベクトルについて、エルミート行列である条件は対称行列である条件に、共役転置 テンプレート:Math は単なる転置 テンプレート:Math に一致し、また任意の零でない実スカラー テンプレート:Mvar に対してレイリー商は テンプレート:Math を満たす。エルミート(または実対称)行列の性質より、その固有値は実数であるから、レイリー商 テンプレート:Math最小値は行列 テンプレート:Mvar の最小の固有値 テンプレート:Math に等しく、このときベクトル テンプレート:Mvar は最小固有値に対応する固有ベクトル テンプレート:Math に等しい。同様にレイリー商の最大値は行列 テンプレート:Mvar の最大固有値 テンプレート:Math に等しく、このときベクトル テンプレート:Mvar は最大固有値に対応する固有ベクトル テンプレート:Math に等しい。

レイリー商はテンプレート:仮リンクにおいて行列のすべての固有値の厳密な値を求めることに利用される。また固有値計算アルゴリズムにおいて近似的な固有ベクトルから固有値の近似値を求めることにも利用される。具体的には、テンプレート:仮リンクに基づく。

エルミート行列に限らない一般のレイリー商の値域テンプレート:仮リンクと呼ばれる(あるいは関数解析学においてはスペクトルという)。エルミート行列のレイリー商について、その数域はスペクトルノルムに等しい。関数解析学においては、テンプレート:Mathスペクトル半径として知られる。[[C*-環|テンプレート:Math代数]]や代数的量子力学の文脈では、固定された テンプレート:Mvar と代数上で動く テンプレート:Mvar に対するレイリー商 テンプレート:Math を、テンプレート:Mvar の代数上のベクトル状態 テンプレート:En と見なすことがある。

エルミート行列の境界

エルミート行列 テンプレート:Mvar の固有値 テンプレート:Mvar と固有ベクトル テンプレート:Mvar の間の関係は

𝑴𝒗i=λi𝒗i

である。上で述べたとおり テンプレート:Mvar に対するレイリー商 テンプレート:Math実数で、その範囲は テンプレート:Mvar の固有値の最小値 テンプレート:Math と最大値 テンプレート:Math の間となる:

R(𝑴,𝒙)[λmin,λmax].

このことは、ベクトル テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar固有ベクトル テンプレート:Math によって展開できることから示すことができる。 テンプレート:Mvar規格化された固有ベクトル(テンプレート:Mathクロネッカーのデルタ)で以下のように展開する:

𝒙=ici𝒗i.

展開係数は固有ベクトルとの内積

ci=𝒗i*𝒙

である。 テンプレート:Mvar の固有ベクトルによる展開をレイリー商に適用すれば、レイリー商が テンプレート:Mvar の固有値の重み付き平均に等しくなることが示される:

R(𝑴,𝒙)=𝒙*𝑴𝒙𝒙*𝒙=iλi|ci|2i|ci|2.

重み付き平均の形から、レイリー商の値域とその境界が固有ベクトル テンプレート:Math によって定められることが確認できる。

レイリー商が固有値の重み付き平均に等しいという事実から、すべての固有値を特定することができる。それぞれの固有値が テンプレート:Math と降順に並べてあるとすると、テンプレート:Mvar が基底 テンプレート:Math直交するという条件の下では、テンプレート:Math であり、レイリー商 テンプレート:Math の最大値は テンプレート:Math となる。またこのとき テンプレート:Math である。

ラグランジュの未定乗数法による導出

レイリー商に関する関係はラグランジュの未定乗数法を用いても導くことができる。問題は

R(𝑴,𝒙)=𝒙*𝑴𝒙,subject to 𝒙2=𝒙*𝒙=1

停留点を求めることである。拘束条件として テンプレート:Mvar のノルムを1にしているのは、0以外でスカラー倍してもレイリー商は変わらないためである。

ラグランジュ関数 と未定乗数 テンプレート:Mvar で書き直すと、

(𝒙)=𝒙*𝑴𝒙λ(𝒙*𝒙1).

の停留点 δ(𝒙)=0 を求めることになる。変分を計算すると、

δ𝒙*(𝑴𝒙λ𝒙)+(𝒙*𝑴λ𝒙*)δ𝒙=0𝑴𝒙=λ𝒙.

なので、停留点において未定乗数 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の固有値で、テンプレート:Mvar は対応する固有ベクトルであり、レイリー商は

R(𝑴,𝒙)=𝒙*𝑴𝒙𝒙*𝒙=λ,

すなわち の停留値となる。この性質は主成分分析テンプレート:仮リンクの基礎となっている。

一般化

レイリー商の一般化として以下のようなものがある。

与えられた行列の組 テンプレート:Math および零でないベクトル テンプレート:Mvar に対する一般化されたレイリー商 テンプレート:En は以下のように定義される:

R(𝑨,𝑩;𝒙):=𝒙*𝑨𝒙𝒙*𝑩𝒙.

一般化されたレイリー商は狭義のレイリー商 テンプレート:Math へ簡約することができる。ここで

𝑫:=𝑪1𝑨𝑪*1

であり、テンプレート:Math正定値エルミート行列 テンプレート:Mvarコレスキー分解である。

与えられた零でないベクトルの組 テンプレート:Math およびエルミート行列 テンプレート:Mvar に対する一般化されたレイリー商は次のように定義される:

R(𝑯;𝒙,𝒚):=𝒚*𝑯𝒙𝒚*𝒚𝒙*𝒙.

これは テンプレート:Math の場合に狭義のレイリー商 テンプレート:Math と一致する。

関連項目

出典

テンプレート:Reflist

参考文献