ワイルの指標公式

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数学において,表現論におけるワイルの指標公式テンプレート:Lang-en-short)はコンパクトリー群既約表現指標テンプレート:仮リンクのことばで記述する.テンプレート:Harvs によって証明された.

定義により,テンプレート:Mvar の表現 テンプレート:Mvar の指標は群 テンプレート:Mvar の元 テンプレート:Mvar の関数としての テンプレート:Mathトレースである.この場合既約表現はすべて有限次元である(これはテンプレート:仮リンクの一部である).よってトレースの概念は線型代数学の通常のものである.テンプレート:Mvar の指標 テンプレート:Mvar を知ることは テンプレート:Mvar 自身の良い代替であり,アルゴリズム的内容を持ち得る.ワイルの公式は テンプレート:Mvar から構成される他の対象と テンプレート:Mvarリー環のことばで テンプレート:Mvarテンプレート:仮リンクで表す.ここで問題の表現は複素でありしたがって一般性を失うことなくユニタリ表現である;したがって既約直既約,つまり2つの部分表現の直和でないことと同じ意味である.

ワイルの指標公式の主張

複素半単純リー環 𝔤既約表現 テンプレート:Mvar の指標は次で与えられるテンプレート:Sfn

ch(V)=wWε(w)ew(λ+ρ)eραΔ+(1eα)

ここで

ワイルの分母公式を用いて,指標公式は次のように書きなおすことができる:

ch(V)wWε(w)ew(ρ)=wWε(w)ew(λ+ρ).

指標はそれ自身たくさんの exponentials の和であることに注意.そして exponentials の交代和を指標に掛ける.指標公式の驚くべき部分は,この積を計算したとき,少ない個数の項しか実際には残らないことである.これよりも多くの項が指標やワイルの分母の積において少なくとも1度現れるが,これらの項のほとんどは打ち消しあって 0 になるテンプレート:Sfn.生き残る項は1度しか現れない項だけである,すなわち テンプレート:Mathテンプレート:Math の最高ウェイトとワイルの分母の最高ウェイトを取ることによって得られる)と テンプレート:Math のワイル群軌道のものである.

コンパクト連結リー群 テンプレート:Mvar の既約表現 テンプレート:Mvar の指標は

ch(V)=wWε(w)ξw(λ+ρ)ραΔ+(1ξα)

で与えられるテンプレート:Sfn,ただし テンプレート:Mvar は極大トーラス テンプレート:Mvar のリー環 𝔱0 上の微分 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 上の指標である.

テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の指標の微分であるとき,たとえば テンプレート:Mvar単連結であるときテンプレート:Sfn,これは次のように書き直せる:

ch(V)=wWε(w)ξw(λ+ρ)ξραΔ+(1ξα)=wWε(w)ξw(λ+ρ)wWε(w)ξw(ρ).

ワイルの分母公式

自明な1次元表現という特別な場合には指標は テンプレート:Math であり,したがってワイルの指標公式はワイルの分母公式 (Weyl denominator formula) となるテンプレート:Sfn

wWε(w)ew(ρ)=eραΔ+(1eα).

特殊ユニタリ群に対しては,これはヴァンデルモンドの行列式に対する次の式と同値であるテンプレート:Sfn

σSnsgn(σ)X1σ(1)1Xnσ(n)1=1i<jn(XjXi).

ワイルの次元公式

単位元のトレースへの特殊化により,ワイルの指標公式は最高ウェイト テンプレート:Math の有限次元表現 テンプレート:Math の次元に対するワイルの次元公式

dim(VΛ)=αΔ+(Λ+ρ,α)αΔ+(ρ,α)

を与える.(いつもどおり,テンプレート:Mvar はワイルベクトルであり,積は正ルート テンプレート:Mvar を走る.)特殊化は全く自明ではない,なぜならばワイルの指標公式の分子と分母はともに単位元において高次に消えるから,単位元に近づく元のトレースの極限を取る必要があるからであるテンプレート:Sfn

フロイデンタールの公式

ハンス・フロイデンタール (Hans Freudenthal) の公式はワイルの指標公式と同値なウェイトの重複度の再帰的公式であるが,和の項がはるかに少なく,計算に用いるのが容易なことがある.それは次のような公式である:

(Λ+ρ2λ+ρ2)mΛ(λ)=2αΔ+j1(λ+jα,α)mΛ(λ+jα)

ただし

ワイル・カッツの指標公式

ワイルの指標公式はカッツ・ムーディ代数の可積分最高ウェイト表現に対しても成り立ち,ワイル・カッツの指標公式と呼ばれる.同様にカッツ・ムーディ代数に対する分母公式もあり,アフィンリー環の場合にはマクドナルド恒等式と同値である.テンプレート:Math 型のアフィンリー環という最も単純な場合には,これはヤコビの三重積公式である:

m=1(1x2m)(1x2m1y)(1x2m1y1)=n=(1)nxn2yn.

指標公式は一般カッツ・ムーディ代数の可積分最高ウェイト表現にも拡張でき,指標は

wW(1)(w)w(eλ+ρS)eραΔ+(1eα)

によって与えられる.ここで テンプレート:Mvar は虚単純ルートのことばで

S=I(1)|I|eΣI

によって与えられる訂正項である,ただし和はどの2つも直交し最高ウェイト テンプレート:Mvar に直交する虚単純ルートのすべての有限部分集合 テンプレート:Mvar を走り,テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の濃度で,テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の元全体の和である.

テンプレート:仮リンクの分母公式は楕円モジュラー関数 テンプレート:Mvar の積公式

j(τ)j(τ)=1qn,m=1(1qnqm)cnm

である(ここでc_nはj関数のq展開におけるq^nの係数).

Peterson は対称化可能(一般)カッツ・ムーディ代数のルート テンプレート:Mvar の重複度 テンプレート:Math の再帰公式を与え,これはワイル・カッツの分母公式と同値であるが,計算に用いるのが容易である:

(β,β2ρ)cβ=γ+δ=β(γ,δ)cγcδ

ただし和は正ルート テンプレート:Math を渡り,

cβ=n1mult(β/n)n

である.

ハリシュ゠チャンドラの指標公式

ハリシュ゠チャンドラ (Harish-Chandra) は,ワイルの指標公式を実簡約群の表現へと一般化できることを示した.テンプレート:Mvarテンプレート:仮リンク テンプレート:Mvar をもつ実簡約群 テンプレート:Mvar の既約テンプレート:仮リンクとする.テンプレート:Mathテンプレート:Mvarハリシュ゠チャンドラ指標とする; it is given by integration against an analytic function on the regular set. テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:仮リンクテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の正則元全体の集合であるとき,

Θπ|H=wW/WλawewλeραΔ+(1eα)

である.ここで

残りの記号は上のとおりである.

係数 テンプレート:Mvar はまだよく理解されていない.これらの係数に関する結果はとりわけ テンプレート:仮リンク, Adams, Schmid, Schmid-Vilonen の論文に書かれている.

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献