三フッ化窒素

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テンプレート:Chembox

三フッ化窒素(さんフッかちっそ)は化学式 NF3で表される無機化合物。この窒素-フッ素化合物は無色、有毒、無臭、不燃性、助燃性の気体である。半導体化学でエッチングガスとして使われるため、使用は増加傾向にある。

用途

三フッ化窒素はシリコンウェハーテンプレート:仮リンクに使われる。特に液晶ディスプレイやシリコンベースの太陽電池フィルム用のプラズマCVD処理室の洗浄に使われる。このガスが分解してできるフッ素のラジカルテンプレート:仮リンク窒化ケイ素二酸化ケイ素と反応して分解させる。三フッ化窒素はケイ化タングステンテンプレート:仮リンク、WSi2)と一緒に化学気相成長させて、タングステンを作るのにも使われる。NF3は当初、テンプレート:仮リンク六フッ化硫黄のようなパーフルオロカーボンと比べて環境に与える悪影響が少ないと考えられていた[1] 。近年フッ素ガスが、三フッ化窒素よりも環境への負荷が小さい代替品として、フラットパネルや太陽電池の量産工程用として導入されている[2]。 三フッ化窒素は取り扱いの容易さと安定性から、化学レーザーの一種であるフッ化水素レーザーに用いられる。

合成方法と反応性

二元素から成るフッ化物の中で、NF3 はフッ素と窒素からは直接合成できない珍しい例である。ほとんどの元素はフッ素ガスと反応し、時には激しく反応する。しかし、N2 と F2 とを直接反応させることはできない。

NF3 を初めて合成したのはテンプレート:仮リンクであり、ラフは1903年に始めた最初の取り組みから25年後の1928年に、フッ化アンモニウムフッ化水素の溶融混合物を電気分解するという方法を使って NF3 を得ることができた[3]。これにより、三フッ化窒素は三塩化窒素よりもはるかに反応性が低いことが判明した。今日では、アンモニアとフッ素ガスを反応させる方法を使ったり、ラフの方法を改良した方法を使ったりする[4]

NF3は気体であり、高圧ボンベに入れて輸送される。

反応

NF3は水にわずかに溶ける。水と反応することはない。NF3双極子モーメントは小さく、0.2340 D である。一方 NH3 は塩基性であり、双極子モーメントは 1.47 D と高い[5]

NF3は弱い酸化剤としてはたらく。

塩化水素と反応して塩素を発生する:

2NFA3 +6HCl6HF +NA2 +3ClA2

高温で金属に接触すると、テンプレート:仮リンクを発生する。

2NFA3 +CuNA2FA4 +CuFA2

NF3はフッ素、五フッ化アンチモンと反応してテンプレート:仮リンク塩を発生する:

NFA3 +FA2 +SbFA5NFA4A+SbFA6A

温室効果ガス

NF3温室効果ガスの一種だが、使用量が少ないため、SF6パーフルオロカーボンと比較して地球の大気に対する環境に与える影響は小さいと言われてきた[6][7]テンプレート:Chem地球温暖化係数(GWP)はCO2の17,200倍である[8][9][10]。NF3 の温室効果ガスとしての寿命は740年である[8]。NF3 は排出量が少ないとして、京都議定書で定められた温室効果ガスには含まれていない。GWP 16,800、寿命 550年とする報告もある[6]

1992年までの生産量は100トンに達していなかったが、2007年の生産量は4000トンに上ると見られており、使用量は増加傾向にある[6]。2010年の全世界での生産量は8000トンになると見られている[11][12]。大気中の蓄積量は2006年には4200トン、2008年には5400トンに上ると見られている。2008年時点での温室ガスとしての影響は、二酸化炭素の0.15%にすぎない[13]

安全性

人体

時間加重平均限界値(TLV-TWA)は10ppmである[14]テンプレート:Chemは短時間なら皮膚と接触しての危険性は無く、粘膜や眼に与える影響も小さい。肺に吸い込んだ場合には窒素酸化物並みの毒性があり、ひどい場合には血中のヘモグロビンメトヘモグロビンに変化させてメトヘモグロビン血症[15]となる。

反応性

三フッ化窒素は助燃性がある[14]

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:窒素の化合物

  1. テンプレート:Cite journal
  2. テンプレート:Cite journal
  3. テンプレート:Cite journal
  4. Philip B. Henderson, Andrew J. Woytek "Fluorine Compounds, Inorganic, Nitrogen" in Kirk‑Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 1994, John Wiley & Sons, NY. テンプレート:DOI Article Online Posting Date: December 4, 2000
  5. Thomas M. Klapötke “Nitrogen–fluorine compounds” Journal of Fluorine Chemistry Volume 127, 2006, pp. 679-687. テンプレート:Doi
  6. 6.0 6.1 6.2 テンプレート:Cite journal
  7. テンプレート:Cite journal
  8. 8.0 8.1 テンプレート:Citation
  9. テンプレート:Cite journal
  10. テンプレート:Cite news
  11. テンプレート:Cite news
  12. テンプレート:Cite news
  13. MSN産経ニュース 温室効果ガスの三フッ化窒素、従来推定量の4倍以上が大気中に、2008年10月28日、2009年11月7日閲覧
  14. 14.0 14.1 NF3 三フッ化窒素
  15. テンプレート:Cite web