不可説不可説転
不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)とは、華厳経に登場する自然数の数詞である。仏典に現れる具体的な数詞としては最大で、無量大数より大きい単位とされている。
定義
八十華厳
唐の『華厳経(八十華厳)』(訳:実叉難陀)[1]第45巻「阿僧祇品第三十」に次のように書かれている[2]。
つまり洛叉(10万)の100倍(テンプレート:Math=千万)である倶胝を基準とし、倶胝の2乗(テンプレート:Math=テンプレート:Math=百兆)を阿庾多、阿庾多の2乗(テンプレート:Math=テンプレート:Math=穣)を那由他(一般数詞の那由他(テンプレート:Math)とは異なる)、那由他の2乗(テンプレート:Math=テンプレート:Math=阿僧祇)を頻波羅としている。不可説不可説転はこの系列の最後(122番目)であり、以下の数式で示される。
1不可説不可説転=テンプレート:Math=テンプレート:Math(≒テンプレート:Mathのテンプレート:Math澗乗)[3]
このように単位を2乗すると新しい単位となるものを上数といい、二重指数関数に当たる増え方である。
大きさ
テンプレート:出典の明記 1無量大数は1068、1グーゴルは10100である。1不可説不可説転は無量大数のおよそ 5400溝乗で、これらよりも遥かに大きい。
1不可説不可説転の270那由他乗が、およそ1グーゴルプレックス()になる。
これはあくまでも実用の値ではなく、計算もできないほど莫大な数を示して、悟りの功徳の大きさを表す意図がある。
二重指数関数の増え方をしたり、テトレーションレベルに接近するほど巨大な数を想定しており、華厳経が書かれた当時の数少ない例の一つでもある。
別の華厳経による「不可説不可説転」と「不可説転転」
四十華厳
テンプレート:出典の明記 唐の『華厳経(四十華厳)』(訳:般若三蔵)[4]には、八十華厳のものとは異なる体系の命数が記載されており、この経典では105 を洛叉、100洛叉(107)を倶胝とし、倶胝以上を上数として144の命数が列挙されている。その体系で最大の命数も「不可説不可説転」と称するが、これは次のように、八十華厳のものとは値が異なる。
1不可説不可説転(四十華厳)=テンプレート:Math=テンプレート:Math ≒ テンプレート:Math
六十華厳
また、東晋の『華厳経(六十華厳)』(訳:仏駄跋陀羅)[5]にもまた別体系の命数が記載されており、この経典では1010を拘梨とし、拘梨以上を上数として121の命数が列挙されている。その体系で最大の命数は「不可説不可説転」ではなく「不可説転転」と称し、値は次の数式で示す。
1不可説転転(六十華厳)=テンプレート:Math=テンプレート:Math ≒ テンプレート:Math
脚注
関連項目
外部リンク
- ↑ 新訳華厳経、唐経、大正蔵279)
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 貞元経、大正蔵293)の第10巻「入不思議解脱境界普賢行願品」。
- ↑ 旧訳華厳経、晋経、大正蔵278)の第29巻「心王菩薩問阿僧祇品第二十五」。