体積要素

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数学において、体積要素(たいせきようそ、テンプレート:Lang-en-short)とは、関数球面座標系円柱座標系など様々な座標系において体積について積分する際に現われる概念である。次の式により表現される:

dV:=ρ(u1,u2,u3)du1du2du3.

ここで、テンプレート:Math座標であり、任意の集合 テンプレート:Mvar の体積を次のように計算できるものとする:

Volume(B):=Bρ(u1,u2,u3)du1du2du3.

たとえば、球面座標系においてはテンプレート:Math であり、従って テンプレート:Math である。

体積要素という概念は三次元に留まるものではない。二次元では面積要素(めんせきようそ、テンプレート:Lang)と呼ばれることも多く、面積分を行う際に有用である。座標変換の際、(変数変換公式により)体積要素は座標変換のヤコビ行列行列式絶対値だけ変化する。この事実から、体積要素は多様体の一種の測度として定義できることが従う。向き付け可能可微分多様体においては、典型的には体積要素は体積形式、すなわち最高次の微分形式から導かれる。向き付け不可能な多様体においては、典型的には体積要素は(局所的に定義される)体積要素の絶対値であり、テンプレート:仮リンクを定義する。

ユークリッド空間における体積要素

ユークリッド空間においては、体積要素はデカルト座標に沿った微分の積により与えられる。

dV=dxdydz

他の座標系においては、テンプレート:Math とするとヤコビ行列を用いて体積要素を以下のように計算できる。

dV=|(x,y,z)(u1,u2,u3)|du1du2du3

たとえば、球面座標系では

x=ρcosθsinϕy=ρsinθsinϕz=ρcosϕ

であるからヤコビアンは

|(x,y,z)(ρ,θ,ϕ)|=ρ2sinϕ

となり、したがって体積要素は以下のように書ける。

dV=ρ2sinϕdρdθdϕ.

このことは微分形式がテンプレート:仮リンク テンプレート:Math により以下のように変換することの例と見ることができる。

F*(udy1dyn)=(uF)det(Fjxi)dx1dxn

線形部分空間における体積要素

テンプレート:Mvar-次元ユークリッド空間 テンプレート:Math線形部分空間が次の線形独立ベクトルにより張られるものとする。

X1,,Xk

この部分空間における体積要素を計算する場合、テンプレート:Math の張る平行多胞体テンプレート:訳語疑問点が線形幾何学から テンプレート:Mathグラム行列行列式平方根により与えられることを知っておくと便利である。

det(XiXj)i,j=1k

この部分空間上の任意の点 テンプレート:Mvar はある座標 テンプレート:Math により以下のように表わされる。

p=u1X1++ukXk

テンプレート:Mvar において、辺を テンプレート:Math とする微小平行多胞体を作ると、その体積はグラム行列の行列式の平方根により与えられる。

det((duiXi)(dujXj))i,j=1k=det(XiXj)i,j=1kdu1du2duk

これにより線形部分空間における体積形式を定義することができる。

多様体の体積要素

向き付け可能な次元 nリーマン多様体における体積要素は定数関数の テンプレート:Mathホッジ双対に等しい。

ω=1

これと等価に、体積要素は正確にレヴィ=チヴィタテンソル テンプレート:Mvar と正確に一致する[1]。座標を用いて書けば、以下のようになる。

ω=ϵ=|detg|dx1dxn

ここで テンプレート:Math はその座標系における計量テンソル テンプレート:Mvar の行列式である。

曲面の面積要素

n-次元ユークリッド空間に埋め込まれた二次元曲面を考えることで、体積要素の単純な例を考察することができる。この場合、体積要素は面積要素と呼ばれることもある。部分集合 テンプレート:Math写像

φ:U𝐑n

を考えることにより、テンプレート:Math に埋め込まれた曲面を定義する。二次元では体積は面積であり、体積要素は曲面の任意の部分の面積を決定する方法を与える。したがって、体積要素は次の形式をとる。

f(u1,u2)du1du2

これにより曲面上の集合 テンプレート:Mvar の面積を積分を用いて以下のように計算できる。

Area(B)=Bf(u1,u2)du1du2

ここで、通常の意味での面積を与えるような体積要素を決定したい。写像のヤコブ行列は以下のように書ける。

λij=φiuj

ここで添字 テンプレート:Mvar は 1 から テンプレート:Mvar を、テンプレート:Mvar は 1 から 2 を走る。テンプレート:Mvar-次元空間のユークリッド計量から、集合 テンプレート:Mvar 上の計量 テンプレート:Math を計算でき、その行列要素は以下のように与えられる。

gij=k=1nλkiλkj=k=1nφkuiφkuj

この計量の行列式は次のようになる。

detg=|φu1φu2|2=det(λTλ)

正則曲面においては、この行列式はいたるところ非零、すなわちヤコブ行列のランクはいたるところで 2 である。

ここで、テンプレート:Mvar 上の座標を微分同相写像

により変換し、座標 テンプレート:Mathテンプレート:Math に移るものとする。すなわち、 テンプレート:Math となる。この変換のヤコブ行列は次のように与えられる。

Fij=fivj

この新しい座標では、

φivj=k=12φiukfkvj

となり、計量は以下のように変換される。

g~=FTgF

ここで、 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar 座標系に引き戻した計量である。この行列式は次のようになる。

detg~=detg(detF)2

以上から、体積要素が向きを保存する座標変換の下に不変であることがわかる。

二次元においては、体積は面積である。部分集合 テンプレート:Math の面積は次のように積分で得られる。

Area(B)=Bdetgdu1du2=Bdetg|detF|dv1dv2=Bdetg~dv1dv2

したがって、どちらの座標系においても体積要素は同一の形式を持ち、すなわち座標変換で不変に保たれる。

以上の議論に二次元特有のものは一切ないので、任意の次元について成り立つ。

例: 球

例として、半径 テンプレート:Mvar の中心を原点とする テンプレート:Math 上の球を考える。この球は球面座標系を用いて次の写像で表現される。

ϕ(u1,u2)=(rcosu1sinu2,rsinu1sinu2,rcosu2)

したがって、

g=(r2sin2u200r2)

となり、面積要素は次のように得られる。

ω=detgdu1du2=r2sinu2du1du2

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

  1. Carroll, Sean. Spacetime and Geometry. Addison Wesley, 2004, p. 90